セキュリティソフト冬の陣 年末商戦緒戦を制したソフトは?

特集

2009/12/10 12:31

 今年の年末は、Windows 7が発売されたこともあり、PCを購入しようと考えている人も多いのではないだろうか。そのときあわせて買っておきたいモノの筆頭が、セキュリティソフト。各社の新製品が市場に出揃ったいま、売れているのはどれなのか、「BCNランキング」でチェックしてみた。

最新の2010年版、年末目前に売れてるのはどの製品?



 PCをネットに接続するとき、やはり気になるのがセキュリティ。例年ウイルスやマルウェアは増加しており、一説には「2.5秒に1件のペースで新種の不正プログラムが発生」(トレンドマイクロ)するという。ネット犯罪から身を守り、個人情報などの大切なデータを保護するためにも、セキュリティソフトは最新版を選んでおきたい。

 そこで、各社が秋口に発表した新製品が店頭に並びきった時期を考え、09年10-11月の販売本数シェアを合算した製品別ランキングで、セキュリティソフト最新版の売れ行きを調べた。

セキュリティソフト 製品別ランキング 09年10-11月
順位 メーカー名 製品名 販売本数シェア(%)
1 シマンテック Norton Internet Security 2010 初回限定版 16.1
2 トレンドマイクロ ウイルスバスター2010 1年版 15.4
3 トレンドマイクロ ウイルスバスター2010 3年版 14.1
4 ソースネクスト ウイルスセキュリティZERO 1台用
(Windows 7対応保証版) CD-ROM版
4.3
5 ソースネクスト ウイルスセキュリティZERO 3台用
(Windows 7対応保証版) CD-ROM版
3.9
6 トレンドマイクロ ウイルスバスター2010 PC同時購入版 3年版 3.3
7 トレンドマイクロ ウイルスバスター2010 更新パック 3.1
8 シマンテック Norton Internet Security 2010 ニコニコパック 2.6
9 シマンテック Norton 360 Ver3.0 2.4
10 シマンテック Norton AntiVirus 2010 初回限定版 2.3

「BCNランキング」 09年10-11月月次 <最大パネル>



 1位を獲得したのは、シマンテックの「Norton Internet Security 2010 初回限定版」。初回限定版では、遠隔操作による無料のPCチューンアップサービスを1回受けられる。

シマンテック「Norton Internet Security 2010」

 「Norton Internet Security 2010」は、新開発の保護システム「Quorum」を採用し、Web上の脅威に対して「レピュテーション(評価)」に基づいた検出・対処を行うのが特徴。評価の基盤は約3500万人(国内では約600万人)の「Norton」ユーザーで、各アプリケーションの安全性をユーザーからのフィードバックをもとに算出するため、未知のアプリケーションの信頼性を統計的に求められる。

ノートンダウンロードインサイト

 そのほか、「Quorum」による新機能として、ダウンロードファイルをインストールする前に警告する「ノートンダウンロードインサイト」や、最適化によってアプリケーションのパフォーマンスを回復し、PCの問題を調査・分析するための情報を提供する「ノートンシステムインサイト」などを備える。

(左から)「ウイルスバスター2010」と「ウイルスセキュリティZERO

 2位と3位に入ったのはトレンドマイクロの「ウイルスバスター 2010」。こちらも「Norton 2010」と同様、レピュテーションに基づいたセキュリティ機能を搭載しているほか、一つのソフトでWindows/Macの両OSに対応したことが特徴として挙げられる。

 続いてランクインしたのは、更新料ゼロ円が特徴のソースネクスト「ウイルスセキュリティZERO」。Windowsの公式サポート期間中であれば、定義ファイルや新機能を無料でアップデートでき、最新版ではWindows 7に対応している。

 今回のトップ10は、シマンテック、トレンドマイクロ、ソースネクストの、メーカーシェア3強の製品で占められており、今年最後の商戦に向けてのシェア争いがますます激しさを増しているようだ。

ユーザーからのフィードバックの活用で機能強化



 各社のセキュリティソフトの最新版をみてみると、バージョンアップ時の恒例ともいうべき高速化・軽量化を実現しているのは当たり前だが、Webサイトやファイルのレピュテーション機能の強化が目立つ。シマンテック、トレンドマイクロのほか、ジャストシステムも最新版で同様の機能強化を施している。

 これまでレピュテーションに使用していた各社自前のデータベースに加えて、ユーザーからのフィードバックもより効率的に取り込めるようにしたことで、新種の脅威に素早く対応できるようになったというわけだ。

 セキュリティソフトを購入しようと考えたとき、どの製品を選ぶかは悩みどころだ。各メーカーの製品を比べても、基本的なセキュリティ機能には、当たり前だが差はない。それぞれに細かな部分で差はあるとはいえ、総合的には甲乙つけがたいのが現状だ。結果的に店頭で最初に目に付いたモノや、価格といった部分で選ぶ場合が多いだろう。しかし、今年の傾向ともいえるレピュテーション機能の強化という点を考えると、売れている=使用しているユーザーが多い、というのが一つの選択ポイントになるかもしれない(BCN・山田五大)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで127品目を対象としています。