iPhotoと連携したMac用データベースソフト「Bento 3」、その便利さを体感!
Macユーザーにはおなじみの業務向けデータベースソフト「ファイルメーカー」。その開発元であるファイルメーカー社が、Mac専用の個人向けソフトとして世に送り出した製品が「Bento」だ。Macで操作しやすいユーザーインターフェイスで、Mac OS Xが標準装備するアプリケーションと高い親和性をもつ。その「Bento」が2009年9月、新機能を盛り込んだ「Bento 3」に進化した。iPhotoとの連携を中心に、実際にデータベースを作成しながら操作性をチェックした。
データベースソフトは、基本的にビジネスシーンで活躍するソフトだ。大量のデータを効率的に登録・閲覧するという作業は仕事で必要とされることが多い。また、ソフトそのものが高価なうえにSQL言語の知識が要求されるなど、導入に至るまでのハードルも高い。しかし、住所録や蔵書のように、日常生活に必要なデータを手軽に管理できれば、と感じているユーザーがいることも事実だ。
「Bento」は、こうした個人レベルでの利用を想定したデータベースソフトだ。2008年3月にMac OS X 10.5 Leopard専用ソフトとして初めて登場し、今回の「Bento 3」で最新のOS「Snow Leopard」に対応した。価格はシングルライセンスが5040円、5ライセンスのファミリーパックが1万290円。旧「Bento」シリーズのユーザーには、2000円分のQUOカードがもれなくもらえる「アップグレードリベートオファー」を期間限定で実施している(2010年1月29日まで)。
「Bento 3」最大の目玉は、Macが搭載する写真管理ソフト「iPhoto」との連携だ。iMovieやiWeb、GarageBandなどのマルチメディア系ソフトをセットにしたアップルの統合ソフト「iLife」にも入っており、多くのユーザーに支持されている。このiPhotoの写真ライブラリを、「Bento 3」から直接参照できるようになったのだ。iPhotoでおなじみのサムネイルが並ぶグリッド表示にも対応し、ユーザーが違和感なく利用できるデザインへと進化している。
最大5人のBentoユーザーとBento上に構築したライブラリを共有する機能や、「私の休暇」「ワインリスト」など10種類の新しいテンプレート、iPhoneアプリ「Bento for iPhone and iPod touch」との同期など、メジャーバージョンアップだけに新機能は豊富だ。
さっそく、iPhotoを使った具体的な操作方法を見ていこう。写真のライブラリには直接アクセスできるので、インポートなどの作業は不要。ライブラリの内容は常に最新のものを反映し、作成済みのアルバムや写真の「最後の読み込み」といった項目は画面左端のライブラリ欄に表示する。ライブラリ内の一つひとつの写真に情報を書き加えれば、オリジナルのデータベースができあがるというわけだ。
データベースでは、関連する情報を書き込むための領域を「フィールド」と呼ぶ。例えば、写真に加えることができるフィールドは、撮影者と件名、「屋内」「屋外」などのスタイル、「ホーム」「勤務先」「休暇」などのカテゴリ、キャプションとコメントなど。これらの項目は初期設定に用意してあって、必要に応じて自分で項目を追加することができる。
デジタルカメラで撮影した写真の場合、撮影地点を入力する「撮影場所」やWebサイトのURLを格納するための「Web」など、入れておきたい情報をフィールドに追加すると、データベースとしての価値が高まるだろう。では、iPhotoで作成したアルバムを元に、このフィールドを追加する手順を説明しよう。
まず、画面左端のライブラリ欄にあるiPhotoのアイコン左横の三角マークをクリックで展開してアルバム名を表示し、目的のアルバムを選択する。アルバムに収録した写真とともに、タイトルなどの情報を表示したデータ入力画面(フォーム)が現れるので、画面下部にある「フィールド」ボタンをクリックすれば情報を追加できる。
___page___
iPhotoで作成したアルバムを活用する以外に、ほかのデータベースに写真のフィールドを追加することもできる。例えば、アドレスブックには顔写真、iCalのイベントには関連する写真、といった使い方が考えられる。
アドレスブックやiCalのような項目数の多いデータベースを扱うときに便利なのが、改良された表形式画面だ。写真や動画などを扱うフィールド「メディアフィールド」では、格納しているデータの縮小画面を表示するので、どのようなデータかを識別するときに役立つ。対象行を選択した状態でスペースキーを押すか、横にある目の形をしたアイコンをクリックすれば、そのメディアフィールド内のデータをプレビューすることもできる。
このように、iPhotoなどMac搭載ソフトをベースとした、自分が必要とするフィールドのカスタマイズが「Bento 3」の最もオーソドックスな活用法といえる。
一方、「Bento 3」が揃えるテンプレートを使う方法もある。付属する「レシピ」や「在庫目録」など35種類から目的に合ったものを選んで、データベースが作成できる。
ファイルメーカーが無償配布するテンプレートを入手すれば、さらに個性的なデータベースを作ることができる。同社ではBentoユーザー向けに専用Webサイト「Bentoテンプレートエクスチェンジ」を設置。目的に合ったテンプレートを選んでダウンロードしたり、自作テンプレートを投稿したりできる。テンプレートには旧バージョンの「Bento 2」向けのタイプもあるが、「Bento 3」でも、もちろん利用できる。
試しに、音楽CD用のテンプレート「CD Collection」を利用した。導入の手順はカンタン。画面にある「今すぐダウンロード」ボタンをクリックしてZIPファイルをダウンロード。解凍すると現れるテンプレートファイル「CD Collection.bentoTemplate」をダブルクリックすればOKだ。これで「Bento 3」にテンプレートが登録され、新しいライブラリ「CD Collection」が加わる。このライブラリにアーティスト名やCDタイトル、発売時期などを登録していけば、自分のCDコレクションをデータベース化できるというわけだ。
背景色など画面のデザインに凝りたい場合は、「テーマ」を変更すればいい。ファイルメーカーが11月24日に無償配布を開始した「Bento 3 ホリデーパック」は、クリスマスにふさわしいテーマとテンプレートをそれぞれ2種類用意。パーティーの準備やプレゼントリストの整理に活用できる。これらを使って雰囲気たっぷりのデータベースでクリスマスの準備、というのもしゃれている。
楽しみながら手軽にデータベースを作成できる「Bento 3」。iPhotoとの連携では、アルバムの最新履歴などを自動的に反映し、インポートなどの面倒な作業なしに使える点が最大の魅力だ。iPhotoの写真管理機能だけではもの足りず、旅先の記録や家族の思い出など、自分にとって価値のある情報を写真に加えたい、と考えるユーザーに適したソフトといえるだろう。(ライター・海上 忍)
iPhotoと連携、ライブラリを直接参照できる
データベースソフトは、基本的にビジネスシーンで活躍するソフトだ。大量のデータを効率的に登録・閲覧するという作業は仕事で必要とされることが多い。また、ソフトそのものが高価なうえにSQL言語の知識が要求されるなど、導入に至るまでのハードルも高い。しかし、住所録や蔵書のように、日常生活に必要なデータを手軽に管理できれば、と感じているユーザーがいることも事実だ。
Bento 3
「Bento」は、こうした個人レベルでの利用を想定したデータベースソフトだ。2008年3月にMac OS X 10.5 Leopard専用ソフトとして初めて登場し、今回の「Bento 3」で最新のOS「Snow Leopard」に対応した。価格はシングルライセンスが5040円、5ライセンスのファミリーパックが1万290円。旧「Bento」シリーズのユーザーには、2000円分のQUOカードがもれなくもらえる「アップグレードリベートオファー」を期間限定で実施している(2010年1月29日まで)。
「Bento 3」最大の目玉は、Macが搭載する写真管理ソフト「iPhoto」との連携だ。iMovieやiWeb、GarageBandなどのマルチメディア系ソフトをセットにしたアップルの統合ソフト「iLife」にも入っており、多くのユーザーに支持されている。このiPhotoの写真ライブラリを、「Bento 3」から直接参照できるようになったのだ。iPhotoでおなじみのサムネイルが並ぶグリッド表示にも対応し、ユーザーが違和感なく利用できるデザインへと進化している。
インストールはアイコンをドラッグ&ドロップするだけ
最大5人のBentoユーザーとBento上に構築したライブラリを共有する機能や、「私の休暇」「ワインリスト」など10種類の新しいテンプレート、iPhoneアプリ「Bento for iPhone and iPod touch」との同期など、メジャーバージョンアップだけに新機能は豊富だ。
「フィールド」をカスタマイズして情報を追加・整理
さっそく、iPhotoを使った具体的な操作方法を見ていこう。写真のライブラリには直接アクセスできるので、インポートなどの作業は不要。ライブラリの内容は常に最新のものを反映し、作成済みのアルバムや写真の「最後の読み込み」といった項目は画面左端のライブラリ欄に表示する。ライブラリ内の一つひとつの写真に情報を書き加えれば、オリジナルのデータベースができあがるというわけだ。
iPhotoの写真ライブラリをほぼリアルタイムに反映する
データベースでは、関連する情報を書き込むための領域を「フィールド」と呼ぶ。例えば、写真に加えることができるフィールドは、撮影者と件名、「屋内」「屋外」などのスタイル、「ホーム」「勤務先」「休暇」などのカテゴリ、キャプションとコメントなど。これらの項目は初期設定に用意してあって、必要に応じて自分で項目を追加することができる。
デジタルカメラで撮影した写真の場合、撮影地点を入力する「撮影場所」やWebサイトのURLを格納するための「Web」など、入れておきたい情報をフィールドに追加すると、データベースとしての価値が高まるだろう。では、iPhotoで作成したアルバムを元に、このフィールドを追加する手順を説明しよう。
iPhotoで作成したアルバムを元に、独自のフィールド「撮影場所」を追加。出来合いのテンプレートをベースにカスタマイズできるのがうれしい
まず、画面左端のライブラリ欄にあるiPhotoのアイコン左横の三角マークをクリックで展開してアルバム名を表示し、目的のアルバムを選択する。アルバムに収録した写真とともに、タイトルなどの情報を表示したデータ入力画面(フォーム)が現れるので、画面下部にある「フィールド」ボタンをクリックすれば情報を追加できる。
___page___
iPhotoで作成したアルバムを活用する以外に、ほかのデータベースに写真のフィールドを追加することもできる。例えば、アドレスブックには顔写真、iCalのイベントには関連する写真、といった使い方が考えられる。
表形式の画面からプレビューで写真を表示
アドレスブックやiCalのような項目数の多いデータベースを扱うときに便利なのが、改良された表形式画面だ。写真や動画などを扱うフィールド「メディアフィールド」では、格納しているデータの縮小画面を表示するので、どのようなデータかを識別するときに役立つ。対象行を選択した状態でスペースキーを押すか、横にある目の形をしたアイコンをクリックすれば、そのメディアフィールド内のデータをプレビューすることもできる。
このように、iPhotoなどMac搭載ソフトをベースとした、自分が必要とするフィールドのカスタマイズが「Bento 3」の最もオーソドックスな活用法といえる。
無償のテンプレートで広がる活用シーン
一方、「Bento 3」が揃えるテンプレートを使う方法もある。付属する「レシピ」や「在庫目録」など35種類から目的に合ったものを選んで、データベースが作成できる。
付属のテンプレートは35種類。趣味から仕事まで幅広いデータベース作成に対応する
ファイルメーカーが無償配布するテンプレートを入手すれば、さらに個性的なデータベースを作ることができる。同社ではBentoユーザー向けに専用Webサイト「Bentoテンプレートエクスチェンジ」を設置。目的に合ったテンプレートを選んでダウンロードしたり、自作テンプレートを投稿したりできる。テンプレートには旧バージョンの「Bento 2」向けのタイプもあるが、「Bento 3」でも、もちろん利用できる。
試しに、音楽CD用のテンプレート「CD Collection」を利用した。導入の手順はカンタン。画面にある「今すぐダウンロード」ボタンをクリックしてZIPファイルをダウンロード。解凍すると現れるテンプレートファイル「CD Collection.bentoTemplate」をダブルクリックすればOKだ。これで「Bento 3」にテンプレートが登録され、新しいライブラリ「CD Collection」が加わる。このライブラリにアーティスト名やCDタイトル、発売時期などを登録していけば、自分のCDコレクションをデータベース化できるというわけだ。
無償のテンプレート「CD Collection」で音楽CDのデータベースを作成
背景色など画面のデザインに凝りたい場合は、「テーマ」を変更すればいい。ファイルメーカーが11月24日に無償配布を開始した「Bento 3 ホリデーパック」は、クリスマスにふさわしいテーマとテンプレートをそれぞれ2種類用意。パーティーの準備やプレゼントリストの整理に活用できる。これらを使って雰囲気たっぷりのデータベースでクリスマスの準備、というのもしゃれている。
「プレゼントリスト」のテンプレートを使えば、パーティー参加者向けのプレゼントを管理することも可能
楽しみながら手軽にデータベースを作成できる「Bento 3」。iPhotoとの連携では、アルバムの最新履歴などを自動的に反映し、インポートなどの面倒な作業なしに使える点が最大の魅力だ。iPhotoの写真管理機能だけではもの足りず、旅先の記録や家族の思い出など、自分にとって価値のある情報を写真に加えたい、と考えるユーザーに適したソフトといえるだろう。(ライター・海上 忍)