コンパクトデジカメ市場に異変? カシオがメーカーシェアトップを快走中
コンパクトデジタルカメラの市場は、ここ数年キヤノンがリードしてきた。ジャンル別に販売台数シェアの年間トップメーカーを表彰する「BCN AWARD」で、コンパクトデジカメ部門の「デジタルカメラ(レンズ一体型)」では、キヤノンが4年連続で栄冠に輝いている。しかし今年は少し様子が違う。変化の主役はカシオ。キヤノンを僅差で上回り、市場シェアのトップをひた走っているのだ。
09年1-9月で、コンパクトデジカメ市場のメーカーシェア推移を追ってみると、今年はカシオが好調をキープ。通算でも18.9%のシェアを獲得し、18.3%のキヤノンをわずかに上回っている。コンパクトデジカメ市場は例年、キヤノンとカシオに加え、パナソニックやソニーなど各社入り乱れての激しいシェア争いが繰り広げられてきた。しかし、年末に近づくとキヤノンが他社を突き放し、首位固めを始めるのが常だった。しかし、今年はカシオがそのキヤノンの地位を脅かしている。
「BCNランキング」で09年9月のコンパクトデジカメの機種別販売ランキングを見てみると、1位の「EXILIM Hi-ZOOM EX-H10 シルバー」をはじめ、トップ10のうち実に半分がカシオの製品。
1位の「EX-H10」は、「旅向けのデジカメ」をコンセプトにしたモデル。光学10倍ズームや、35mmフィルムカメラ換算で24mm相当からの広角撮影が可能など撮影機能が充実している。しかし、この製品が他と一線を画しているのは、フル充電で1000枚の連続撮影が可能だという点だ。
この「EX-H10」以外にも、動く合成写真が簡単に撮れる「ダイナミックフォト」搭載の「EXILIM ZOOM Z450/Z270」、スロー動画が撮影できる「HIGH-SPEED EXILIMシリーズ」、スリムなデザインを追求した「EXILIM CARDシリーズ」など、カシオのコンパクトデジカメには「一芸」に秀でたモデルが多い。
いまやコンパクトデジカメは、シャッターを押すだけでキレイな写真が撮れる、というのは当たり前。しかし、一歩間違うと、いわゆる機能の詰め込みすぎで、結果的にどの製品も横並びになりがちだ。売れるためには、いかに魅力ある機能を付加価値として訴求できるかが問われているといってもいいだろう。カシオの製品は、簡単にキレイな写真が撮れるという基本を押さえつつ、独自の魅力ある機能を備えている点がユーザーから支持されているようだ。
加えて、カシオ製品は価格の安さも魅力だ。09年9月のメーカーごとの税別平均単価を見てみると、カシオは2万280円。メーカーシェア2位のキヤノンが2万3680円、同3位のパナソニックが2万7597円と、カシオの安さが目立つ。1-9月までの累計シェアでは2位キヤノンとの差は僅かだが、このままカシオの好調が続けば、今年はコンパクトデジカメ市場に数年ぶりの大変化が起こるかもしれない。(BCN・山田五大)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。
09年1-9月で、コンパクトデジカメ市場のメーカーシェア推移を追ってみると、今年はカシオが好調をキープ。通算でも18.9%のシェアを獲得し、18.3%のキヤノンをわずかに上回っている。コンパクトデジカメ市場は例年、キヤノンとカシオに加え、パナソニックやソニーなど各社入り乱れての激しいシェア争いが繰り広げられてきた。しかし、年末に近づくとキヤノンが他社を突き放し、首位固めを始めるのが常だった。しかし、今年はカシオがそのキヤノンの地位を脅かしている。
「BCNランキング」で09年9月のコンパクトデジカメの機種別販売ランキングを見てみると、1位の「EXILIM Hi-ZOOM EX-H10 シルバー」をはじめ、トップ10のうち実に半分がカシオの製品。
順位 | メーカー名 | 品名 | 販売台数シェア(%) |
---|---|---|---|
1 | カシオ | EXILIM Hi-ZOOM EX-H10 シルバー | 2.1 |
2 | キヤノン | IXY DIGITAL 510 IS ピンク | 1.6 |
3 | カシオ | EXILIM ZOOM EX-Z1 パープル | 1.542 |
4 | キヤノン | IXY DIGITAL 930 IS パープル | 1.537 |
5 | カシオ | EXILIM ZOOM EX-Z1 シルバー | 1.47 |
6 | 富士フイルム | FinePix F70EXR シルバー | 1.44 |
7 | パナソニック | LUMIX FX60 スイートピンク | 1.40 |
8 | キヤノン | IXY DIGITAL 930 IS シルバー | 1.34 |
9 | カシオ | EXILIM ZOOM EX-Z270 ゴールド | 1.31 |
10 | カシオ | EXILIM ZOOM EX-Z270 ピンク | 1.27 |
「BCNランキング」 09年9月月次 <最大パネル>
1位の「EX-H10」は、「旅向けのデジカメ」をコンセプトにしたモデル。光学10倍ズームや、35mmフィルムカメラ換算で24mm相当からの広角撮影が可能など撮影機能が充実している。しかし、この製品が他と一線を画しているのは、フル充電で1000枚の連続撮影が可能だという点だ。
EXILIM Hi-ZOOM EX-H10
この「EX-H10」以外にも、動く合成写真が簡単に撮れる「ダイナミックフォト」搭載の「EXILIM ZOOM Z450/Z270」、スロー動画が撮影できる「HIGH-SPEED EXILIMシリーズ」、スリムなデザインを追求した「EXILIM CARDシリーズ」など、カシオのコンパクトデジカメには「一芸」に秀でたモデルが多い。
(左から)「ダイナミックフォト」搭載の「EX-Z450」、ハイスピードムービーが撮れる「EX-FC100」
いまやコンパクトデジカメは、シャッターを押すだけでキレイな写真が撮れる、というのは当たり前。しかし、一歩間違うと、いわゆる機能の詰め込みすぎで、結果的にどの製品も横並びになりがちだ。売れるためには、いかに魅力ある機能を付加価値として訴求できるかが問われているといってもいいだろう。カシオの製品は、簡単にキレイな写真が撮れるという基本を押さえつつ、独自の魅力ある機能を備えている点がユーザーから支持されているようだ。
加えて、カシオ製品は価格の安さも魅力だ。09年9月のメーカーごとの税別平均単価を見てみると、カシオは2万280円。メーカーシェア2位のキヤノンが2万3680円、同3位のパナソニックが2万7597円と、カシオの安さが目立つ。1-9月までの累計シェアでは2位キヤノンとの差は僅かだが、このままカシオの好調が続けば、今年はコンパクトデジカメ市場に数年ぶりの大変化が起こるかもしれない。(BCN・山田五大)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。