くるくる回る円盤型ロボットにカメラを託す 顔がはみ出してもご愛嬌
近いうちに、カメラマンが不要になる時代がやってくるかもしれない。ソニーが9月4日に発売したUFOのような円盤型の物体「Party-shot(IPT-DS1)」は、対応するカメラを上に乗せると、自ら回転して構図を調整し、自動でどんどん撮影してくれるユニークな製品だ。果たしてどんな写真を撮ってくれるのか、家族の真ん中に置いて実験してみた。
「IPT-DS1」は、ソニーのコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」の対応機種と接続することで、カメラの顔検出機能などを利用し、自動で回転、角度調整、ズームをしながら、最大8人までの顔を検出。顔を見つけ出したら、被写体の顔の向き・数・大きさをもとに、構図をあわせて自動撮影してくれる、ロボットのような製品だ。
動作時は、サイバーショット内蔵の「スマイルシャッター」も同時に作動し、被写体が笑顔になった瞬間を捉えることができる。さらに、シーンに合った設定にカメラが自動調整して撮影する「おまかせオート撮影モード」も一緒に起動する。
使い方は簡単だ。「IPT-DS1」の電源を入れたらサイバーショットを本体の上にセットし、カメラの電源を入れるだけ。あとは自動で回転しながら構図を決めて、シャッターを切ってくれる。
細かい設定を変更することも可能。本体背面にあるメニューボタンを押すと、サイバーショットの液晶にメニュー画面が表示され、回転角度は90度/180度/無制限から、撮影頻度は高/標準/低から、フラッシュはオート/発光禁止から選択できる。例えば、本体を壁際などに置いた際、回転角度を180度に設定することで、無駄な回転を防ぐことができる。今回は、すべて回転角度は無制限、撮影頻度は「高」、フラッシュはオートで撮影してみた。
カメラの電源を入れると、「IPT-DS1」がすぐにくるくると回りだし、人の顔を探し始める。筆者の顔を見つけると、かすかなシャッター音をたてて撮影を開始した。顔を動かせば、ちゃんと動きについてきて撮影する。その様子があまりに可愛らしいので、ついつい意地悪をしたくなり、机の下にしゃがんでみた。すると、目標を見失ってしまった「IPT-DS1」は、上を向いたり下を向いたりしながら顔を捜して回転し始めた。「どう考えてもそんな下の方に人はいないだろう」と突っ込みたくなるくらい、カメラを傾けて捜している。その必死さに心打たれて顔を出すと、見つけたことを喜んでいるかのように、シャッターを切ってくれた。
では、この賢いわりに動きが面白い「IPT-DS1」は、一体どんな写真を撮影してくれるのだろう。子どもがいる知人の家に製品を貸し出して、実際に撮影してもらった。
一組目の家族は、ホテルのテーブルに「IPT-DS1」を置いて撮影してくれた。写真を見ると、カメラを覗き込んでいたり、ポーズをとったりしているショットが多い。貸し出した家族のお母さんによると、「子ども達はカメラをかなり意識。どんな写真が撮れているかを見たくて、カメラの後ろに回りこむ子までいた」という。
お父さんやお母さんまでポーズをとってしまうのだから、子どもが意識するのも当然だろう。ソニーは「IPT-DS1」で撮影することによって、「カメラを意識することがなくなり、自然な表情の写真を記録できる」としているが、カメラの存在に慣れて意識しなくなるためには、かなりの時間がかかりそうだ。しかし、子ども達のこの笑顔。「IPT-DS1」があるだけでこれだけ盛り上がることができるのだから、大勢が集まる場所にはうってつけの製品だろう。
「IPT-DS1」は、顔を認識している間にひたすらシャッターを切るのではなく、同じ構図で何枚か撮影した後は、他の人物の顔を探し始める。また、同じ人物でも、構図が変わった際、笑顔になるなど表情が変化した時にシャッターを切る。そのため、撮影頻度を「高」に設定していても、この時カメラが記録したのは20分間で61枚。1分間に約3枚のペースは、思ったより少ない印象だ。しかし、普通に写真を撮る場合と比べれば、やはりかなり多い数字と言えるだろう。
続いて、別の家族にも貸し出してみた。こちらはリビングのテーブルの上や、座敷に本体を設置。自宅での撮影でリラックスしているのか、同じ子どもでもこちらの子ども達はあまりカメラを意識していないようだ。カメラそっちのけでゲームをしたり、カードで遊んだりしている。そのため、お兄ちゃんが弟にキスする可愛らしい自然体のショットを撮影できた。さりげなく「IPT-DS1」を設置して、根気強く撮影すれば、通常の撮影では捉えることが難しい瞬間を、記録できるかもしれない。
さて、ここまで撮影された両家の写真のクオリティを見てみると、ブレているものが多い。どうやら、被写体の速い動きには対処できないようだ。また、複数で写っていて、何人かの顔が切れてしまっているものやズームしすぎて顔がはみ出してしまったもの、どこにピントを合わせたのかわからないものもあった。
これを失敗作と捉えるか、その場の雰囲気が伝わってくるいい写真と捉えるかは意見が分かれそうだが、いずれにしろ「IPT-DS1」を使って撮影する際は、撮影枚数を稼ぐために十分なメモリ容量を確保しておいた方がいいだろう。たくさんの写真の中からお気に入りを見つけるのも、本製品ならではの楽しみといえる。
現在、「IPT-DS1」に対応するサイバーショットは、「DSC-WX1」と「DSC-TX1」の2機種。「IPT-DS1」に付属する2種類のプレートのうち、それぞれの機種に合ったプレートを本体に設置することで、カメラと接続できる。今回は「DSC-WX1」を使用した。
「IPT-DS1」の電源は単3形アルカリ乾電池2本で、約11時間撮影できるとなっているが、対応するサイバーショット2機種のバッテリー駆動時間は、静止画撮影時で約2-3時間程度。カメラの方が先に動かなくなってしまう可能性が高い。
また、本体は回転するが自力で移動するわけではないので、さまざまな表情の写真を撮影したい場合はこまめに設置場所を変えることをオススメする。
子ども達からは、「今度ロボットがうちに来るのはいつ?」と質問を受けるほど、人気の「IPT-DS1」。披露宴やパーティーなど、大人の集まりに持っていっても盛り上がるだろう。カッチリと決め込んだ写真ではなく、その場の雰囲気が伝わるような味のある写真を撮るにはもってこいの製品だ。(BCN・武井美野里)
顔を捜してくるくる 意思を持ったロボットのような動き
「IPT-DS1」は、ソニーのコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」の対応機種と接続することで、カメラの顔検出機能などを利用し、自動で回転、角度調整、ズームをしながら、最大8人までの顔を検出。顔を見つけ出したら、被写体の顔の向き・数・大きさをもとに、構図をあわせて自動撮影してくれる、ロボットのような製品だ。
「DSC-WX1」を接続した「IPT-DS1」
動作時は、サイバーショット内蔵の「スマイルシャッター」も同時に作動し、被写体が笑顔になった瞬間を捉えることができる。さらに、シーンに合った設定にカメラが自動調整して撮影する「おまかせオート撮影モード」も一緒に起動する。
使い方は簡単だ。「IPT-DS1」の電源を入れたらサイバーショットを本体の上にセットし、カメラの電源を入れるだけ。あとは自動で回転しながら構図を決めて、シャッターを切ってくれる。
背面のメニューボタンを押せば、細かい設定を変更できる
細かい設定を変更することも可能。本体背面にあるメニューボタンを押すと、サイバーショットの液晶にメニュー画面が表示され、回転角度は90度/180度/無制限から、撮影頻度は高/標準/低から、フラッシュはオート/発光禁止から選択できる。例えば、本体を壁際などに置いた際、回転角度を180度に設定することで、無駄な回転を防ぐことができる。今回は、すべて回転角度は無制限、撮影頻度は「高」、フラッシュはオートで撮影してみた。
カメラの電源を入れると、「IPT-DS1」がすぐにくるくると回りだし、人の顔を探し始める。筆者の顔を見つけると、かすかなシャッター音をたてて撮影を開始した。顔を動かせば、ちゃんと動きについてきて撮影する。その様子があまりに可愛らしいので、ついつい意地悪をしたくなり、机の下にしゃがんでみた。すると、目標を見失ってしまった「IPT-DS1」は、上を向いたり下を向いたりしながら顔を捜して回転し始めた。「どう考えてもそんな下の方に人はいないだろう」と突っ込みたくなるくらい、カメラを傾けて捜している。その必死さに心打たれて顔を出すと、見つけたことを喜んでいるかのように、シャッターを切ってくれた。
では、この賢いわりに動きが面白い「IPT-DS1」は、一体どんな写真を撮影してくれるのだろう。子どもがいる知人の家に製品を貸し出して、実際に撮影してもらった。
失敗作なのか雰囲気が伝わるいい写真なのか……子ども達には大人気!
一組目の家族は、ホテルのテーブルに「IPT-DS1」を置いて撮影してくれた。写真を見ると、カメラを覗き込んでいたり、ポーズをとったりしているショットが多い。貸し出した家族のお母さんによると、「子ども達はカメラをかなり意識。どんな写真が撮れているかを見たくて、カメラの後ろに回りこむ子までいた」という。
カメラに向かってポーズをとる子ども達
お父さんやお母さんまでポーズをとってしまうのだから、子どもが意識するのも当然だろう。ソニーは「IPT-DS1」で撮影することによって、「カメラを意識することがなくなり、自然な表情の写真を記録できる」としているが、カメラの存在に慣れて意識しなくなるためには、かなりの時間がかかりそうだ。しかし、子ども達のこの笑顔。「IPT-DS1」があるだけでこれだけ盛り上がることができるのだから、大勢が集まる場所にはうってつけの製品だろう。
お父さんとお母さんまでポーズ
「IPT-DS1」は、顔を認識している間にひたすらシャッターを切るのではなく、同じ構図で何枚か撮影した後は、他の人物の顔を探し始める。また、同じ人物でも、構図が変わった際、笑顔になるなど表情が変化した時にシャッターを切る。そのため、撮影頻度を「高」に設定していても、この時カメラが記録したのは20分間で61枚。1分間に約3枚のペースは、思ったより少ない印象だ。しかし、普通に写真を撮る場合と比べれば、やはりかなり多い数字と言えるだろう。
続いて、別の家族にも貸し出してみた。こちらはリビングのテーブルの上や、座敷に本体を設置。自宅での撮影でリラックスしているのか、同じ子どもでもこちらの子ども達はあまりカメラを意識していないようだ。カメラそっちのけでゲームをしたり、カードで遊んだりしている。そのため、お兄ちゃんが弟にキスする可愛らしい自然体のショットを撮影できた。さりげなく「IPT-DS1」を設置して、根気強く撮影すれば、通常の撮影では捉えることが難しい瞬間を、記録できるかもしれない。
お兄ちゃんが弟にキスする自然体の写真を撮影できた(上部中央)
さて、ここまで撮影された両家の写真のクオリティを見てみると、ブレているものが多い。どうやら、被写体の速い動きには対処できないようだ。また、複数で写っていて、何人かの顔が切れてしまっているものやズームしすぎて顔がはみ出してしまったもの、どこにピントを合わせたのかわからないものもあった。
これを失敗作と捉えるか、その場の雰囲気が伝わってくるいい写真と捉えるかは意見が分かれそうだが、いずれにしろ「IPT-DS1」を使って撮影する際は、撮影枚数を稼ぐために十分なメモリ容量を確保しておいた方がいいだろう。たくさんの写真の中からお気に入りを見つけるのも、本製品ならではの楽しみといえる。
現在、「IPT-DS1」に対応するサイバーショットは、「DSC-WX1」と「DSC-TX1」の2機種。「IPT-DS1」に付属する2種類のプレートのうち、それぞれの機種に合ったプレートを本体に設置することで、カメラと接続できる。今回は「DSC-WX1」を使用した。
「IPT-DS1」の電源は単3形アルカリ乾電池2本で、約11時間撮影できるとなっているが、対応するサイバーショット2機種のバッテリー駆動時間は、静止画撮影時で約2-3時間程度。カメラの方が先に動かなくなってしまう可能性が高い。
また、本体は回転するが自力で移動するわけではないので、さまざまな表情の写真を撮影したい場合はこまめに設置場所を変えることをオススメする。
子ども達からは、「今度ロボットがうちに来るのはいつ?」と質問を受けるほど、人気の「IPT-DS1」。披露宴やパーティーなど、大人の集まりに持っていっても盛り上がるだろう。カッチリと決め込んだ写真ではなく、その場の雰囲気が伝わるような味のある写真を撮るにはもってこいの製品だ。(BCN・武井美野里)