グラフィックボードの勢力図を左右する? チップセットメーカー別ランキング
PCの描画性能を決定付けるグラフィックボード。その中心的な存在は描画処理を行うチップセットだ。現在はNVIDIAとAMDのチップセットを搭載しているものがほとんど。09年9月の「BCNランキング」で、チップセット別の販売台数構成比をみてみると、NVIDIA製が67.7%、AMD製が32.2%を占めている。そこでチップセット別に、9月のグラフィックボードの売れ筋を探ってみた。最近は価格が安いローエンドモデルに人気が集中しているようだ。
まず、全体の67.7%を占めるNVIDIA製チップセット搭載ボードの売れ筋をみてみよう。販売台数シェア1位は、シー・エフ・デー販売の「GF9800GT-E512HD/GE」で、チップセットはGeForce 9800 GT。今回のNVIDIA、AMDの両ランキングで、唯一、市場推定価格が1万円を超える製品だ。
「GeForce 9800 GT」は補助電源が必要な通常版と、パフォーマンスを下げることにより消費電力を抑え、補助電源を必要としない低消費電力版(Green Edition)の2種類あり、「GF9800GT-E512HD/GE」は補助電源を必要としない低消費電力版を搭載している。
また、4位のシー・エフ・デー販売「GF9600GT-E512HW/HD/GE」も低消費電力版(Green Edition)の「GeForce 9600 GT」を搭載している。2、3、5位はローエンド向けの「GeForce 8400 GS」を搭載した製品だ。
2位のシー・エフ・デー販売「GF8400GS-LE256H2」はHDMI端子を標準で搭載しており、ハイビジョン映像などを出力する際にアダプタで変換する必要がないのが特徴。3位のGIGABYTE「GV-NX84S512HP」と5位のLEADTEK「WF PX8400GS TDH 256 Silent」はファンレスモデルで、静音性の高さがウリだ。
続いて、AMD製チップセットを搭載した売れ筋モデルをみてみよう。1位は、RADEON HD 4670を搭載した、Hightech Information Systemの「H467QS512P」。AMDの上位5製品では唯一のファン搭載モデルで、同社オリジナルのIceQファンを搭載しており静音性と冷却性を両立させた製品だ。
2-5位までの4製品は、ローエンド向けのRADEON HD 4550/4350を搭載した製品。RADEON HD 4550/4350はパフォーマンスはそれなりだが、消費電力が小さく発熱量の少ないファンレスモデルだ。静音性を重視するユーザーから人気を集めている。
今回紹介したいずれのランキングをみても、トップ5の製品は市場推定価格が1万円以下の製品がほとんど。グラフィックボードの08年9月-09年9月までの税別平均単価の推移をみると、08年9月は1万2千円台だったものが、09年9月では1万円を切っている。低価格モデルが売れ筋の中心だ。
さて、今後注目の製品は、AMDがリリースした新しいチップセット「RADEON HD 5000」シリーズ。9月以降、シリーズ中のハイエンドモデルに当たる「RADEON HD 5800」シリーズを搭載したグラフィックボードが続々と登場している。同シリーズは、低消費電力化が最大のポイントといえるだろう。
もともとハイエンドモデルのグラフィックボードは、消費電力が高くなりがちだが、「RADEON HD 5800」シリーズは、消費電力を待機時27W、最大でも188Wと従来モデルよりも抑えている。さらに、従来モデルの「Radeon HD 4870」で9億5600万個だったトランジスタを21億5000万個まで増強し、基本性能も向上した。
さらに、マイクロソフトの新OS「Window 7」に標準搭載のDirectX 11に対応し、高画質映像をスムーズに処理できるほか、マルチモニタ出力に対応した「ATI Eyefinity」を搭載している点も特徴だ。
また、NVIDIAからも新チップセット「GeForece GT300」シリーズが、早ければ年末頃にリリースされると囁かれている。AMDの「RADEON HD 5000」シリーズと合わせ、こちらもグラフィックボード市場を活性化する起爆剤になりそうだ。(BCN・大滝和伸)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。
*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。
NVIDIA――唯一の1万円オーバー製品がランクイン
順位 | メーカー名 | 型番 | チップセット | 市場推定価格 |
---|---|---|---|---|
1 | シー・エフ・デー販売 | GF9800GT-E512HD/GE | GeForce 9800 GT | 1万200円 |
2 | シー・エフ・デー販売 | GF8400GS-LE256H2 | GeForce 8400 GS | 3100円 |
3 | GIGABYTE | GV-NX84S512HP | GeForce 8400 GS | 3700円 |
4 | シー・エフ・デー販売 | GF9600GT-E512HW/HD/GE | GeForce 9600 GT | 8800円 |
5 | Leadtek | WF PX8400GS TDH 256 Silent | GeForce 8400 GS | 3900円 |
「BCNランキング」 09年9月月次 <最大パネル>
まず、全体の67.7%を占めるNVIDIA製チップセット搭載ボードの売れ筋をみてみよう。販売台数シェア1位は、シー・エフ・デー販売の「GF9800GT-E512HD/GE」で、チップセットはGeForce 9800 GT。今回のNVIDIA、AMDの両ランキングで、唯一、市場推定価格が1万円を超える製品だ。
シー・エフ・デー販売「GF9800GT-E512HD/GE」
「GeForce 9800 GT」は補助電源が必要な通常版と、パフォーマンスを下げることにより消費電力を抑え、補助電源を必要としない低消費電力版(Green Edition)の2種類あり、「GF9800GT-E512HD/GE」は補助電源を必要としない低消費電力版を搭載している。
また、4位のシー・エフ・デー販売「GF9600GT-E512HW/HD/GE」も低消費電力版(Green Edition)の「GeForce 9600 GT」を搭載している。2、3、5位はローエンド向けの「GeForce 8400 GS」を搭載した製品だ。
GIGABYTE「GV-NX84S512HP」
2位のシー・エフ・デー販売「GF8400GS-LE256H2」はHDMI端子を標準で搭載しており、ハイビジョン映像などを出力する際にアダプタで変換する必要がないのが特徴。3位のGIGABYTE「GV-NX84S512HP」と5位のLEADTEK「WF PX8400GS TDH 256 Silent」はファンレスモデルで、静音性の高さがウリだ。
AMD(ATI)――ファンレスモデルが人気
順位 | メーカー名 | 型番 | チップセット | 市場推定価格 |
---|---|---|---|---|
1 | Hightech Information System | H467QS512P | RADEON HD 4670 | 7900円 |
2 | Sapphire | 11141-05-20R | RADEON HD 4550 | 5900円 |
3 | シー・エフ・デー販売 | RH4350-LE256HD/HS | RADEON HD 4350 | 3200円 |
4 | Sapphire | 11142-08-20R | RADEON HD 4350 | 3600円 |
5 | Sapphire | 11142-07-20R | RADEON HD 4350 | 4100円 |
「BCNランキング」 09年9月月次 <最大パネル>
続いて、AMD製チップセットを搭載した売れ筋モデルをみてみよう。1位は、RADEON HD 4670を搭載した、Hightech Information Systemの「H467QS512P」。AMDの上位5製品では唯一のファン搭載モデルで、同社オリジナルのIceQファンを搭載しており静音性と冷却性を両立させた製品だ。
Hightech Information System「H467QS512P」
2-5位までの4製品は、ローエンド向けのRADEON HD 4550/4350を搭載した製品。RADEON HD 4550/4350はパフォーマンスはそれなりだが、消費電力が小さく発熱量の少ないファンレスモデルだ。静音性を重視するユーザーから人気を集めている。
Sapphire「11141-05-20R」
今回紹介したいずれのランキングをみても、トップ5の製品は市場推定価格が1万円以下の製品がほとんど。グラフィックボードの08年9月-09年9月までの税別平均単価の推移をみると、08年9月は1万2千円台だったものが、09年9月では1万円を切っている。低価格モデルが売れ筋の中心だ。
AMDの新GPU「RADEON HD 5800」シリーズが登場
さて、今後注目の製品は、AMDがリリースした新しいチップセット「RADEON HD 5000」シリーズ。9月以降、シリーズ中のハイエンドモデルに当たる「RADEON HD 5800」シリーズを搭載したグラフィックボードが続々と登場している。同シリーズは、低消費電力化が最大のポイントといえるだろう。
もともとハイエンドモデルのグラフィックボードは、消費電力が高くなりがちだが、「RADEON HD 5800」シリーズは、消費電力を待機時27W、最大でも188Wと従来モデルよりも抑えている。さらに、従来モデルの「Radeon HD 4870」で9億5600万個だったトランジスタを21億5000万個まで増強し、基本性能も向上した。
さらに、マイクロソフトの新OS「Window 7」に標準搭載のDirectX 11に対応し、高画質映像をスムーズに処理できるほか、マルチモニタ出力に対応した「ATI Eyefinity」を搭載している点も特徴だ。
また、NVIDIAからも新チップセット「GeForece GT300」シリーズが、早ければ年末頃にリリースされると囁かれている。AMDの「RADEON HD 5000」シリーズと合わせ、こちらもグラフィックボード市場を活性化する起爆剤になりそうだ。(BCN・大滝和伸)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。
*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。