格安のSnow Leopardが好調、Windows 7と大きく異なる販売戦略

特集

2009/10/20 11:57

 アップルの新しいOS、「Mac OS X v10.6 Snow Leopard」(以下、Snow Leopard)が好調だ。「BCNランキング」では8月28日の発売以来、OSの販売本数で驚異的なシェアを獲得している。さて、その秘密とは?

Mac OS X v10.6 Snow Leopard

 パッケージ版OSのメーカーシェアは、Windowsを販売しているマイクロソフトが販売本数の7割前後を占めている寡占市場だ。しかし、ひとたびMac OSの新バージョンが発売されると、急激にシェアが逆転する。09年は、アップルが2年ぶりに新OS、Snow Leopardを発売したため、ここでも急激なシェア逆転現象が起きた。特に8月の売上はすさまじく、販売本数で実に85.6%を記録。前バージョン「Leopard」発売直後のピーク60.7%を上回る大ヒットだ。一方、Windows 7発売直前のマイクロソフトは11.2%まで落ち込んだ。


 そのマイクロソフトがWindows 7の予約受付を開始した9月に入っても、アップルは76.2%のシェアを維持し、OSのメーカーシェア逆転現象は続いている。こうした好調の要因はどこにあるのだろうか? まずSnow Leopardの出来の良さがユーザーに広く認められたという点がある。名前こそ旧OSのLeopardに「Snow」がついただけのマイナーチェンジに見えるが、中身は徹底的にチューンアップが施されており、大幅に動作スピードが速くなった。特にファイル管理などをつかさどる中心的なプログラム「Finder」が、まったく新しく設計し直されており、64bit化やマルチコアプロセッサ対応など、OSレベルで、次世代テクノロジーをしっかりとサポート。フルモデルチェンジといっていい。


 ヒットのさらに大きな要因が価格だ。07年発売のLeopardでは、前バージョンのTigerからアップグレードするために1万4800円かかっていたものが、LeopardからSnow Leopardへのアップグレードでは、わずか3300円。この格安アップグレード版の発売を反映して、それまで1万5000円程度だったアップルのOSの平均単価は09年8月以降、5000円以下まで大幅に下がっている。この大胆な価格設定が大いに奏効して、大きなシェア獲得につながった。

Windows 7 Home Premium

 さて、10月22日には、いよいよマイクロソフトが新しいOS、Windows 7を発売する。同社もWindows 7へのアップグレード版を3000円と格安で販売するというキャンペーンを実施しているが、あくまでも6月26日-10月21日までに対象のWindowsパッケージなどを購入した場合のみ。通常のアップグレード版では、最も安い「Home Premium」でも1万5800円と高めだ。格安でアップグレード版を提供しているアップルと、ある程度価格を維持しながら新バージョンを提供するマイクロソフト。こうした販売戦略の違いがOSの販売シェアに今後どのような影響を及ぼすか、大いに注目したい。(BCN・道越一郎)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。