新規格11nが正式策定された無線LAN、いまの売れ筋はどの規格?
9月にIEEE(米国電気電子学会)が新たな無線LAN規格IEEE 802.11n(11n)を正式に策定したことから、いま注目の無線LAN。ニンテンドーDSやPSPなど無線通信機能をウリにしたゲーム機も発売されており、すでに無線LANを利用している人も多いかもしれない。「BCNランキング」で9月の無線LAN機器の売れ筋を見てみよう。
09年9月の無線LANランキングで1位を獲得したのはバッファローの「WZR-HP-G300NH」。11nに対応した無線LAN親機「AirStation NFINITI HighPower Giga」の親機単体モデルになる。送信、受信とも3本のアンテナを備え、電波出力を従来製品よりも大きくした。広範囲での高速通信を実現したモデルで、外付けHDDなどを接続すればNASとして使用できるのも特徴だ。
また、同製品とUSB2.0用無線LAN子機のセット「WZR-HP-G300NH/U」も6位にランクインしている。トップ10を見ると、バッファロー製品が、実に7製品も占めており、同社の強さが目立つ結果になっている。また、現在の売れ筋はもはや11n対応の製品がほとんどだ。
そのほか、製品別の販売台数構成比を見てみると、親機単体もしくは子機単体を購入する人が多いことがわかる。最近のPCは無線LAN機能が内蔵されているモデルが多く、親機を購入するだけで済む場合が多いことに加え、すでに無線LAN環境を構築している人が、新たなPCの接続用に子機を購入しているためと考えられる。また、親機とアダプタのセットがあまり売れていないということは、無線LANを初めて導入するユーザーが少なくなり、多くの家庭で無線LANが一般的になってきていることの現れといえるだろう。
そして、今後無線LAN環境を構築しようと考えている人は、やはりIEEE 802.11nがオススメだ。高速で安定した通信が可能なことはもちろん、下位規格である11g/bとの互換性があるので、ニンテンドーDSやPSPを接続することもできる。では、最新の無線LAN規格11nとはどういうものなのだろう?
11nは、従来の無線LANと比較してより通信の安定・高速化を図った規格。07年8月には、暫定版であるドラフト2.0が策定され、これまで各メーカーがこのドラフト2.0に準拠した機器を販売してきた。対応無線LAN規格として「IEEE 802.11n(ドラフト2.0)」などと表記してあるものがそれだ。
ちなみに、現在11n(ドラフト2.0)対応機器を使用しているユーザーは、今後新たに11n正式対応機を買う必要はない。無線LAN規格の認証作業を行う業界団体Wi-Fi Allianceによれば、現在ドラフト2.0認定を受けた機器は、そのまま正式な11n認定機器として使用できるという。
11nの特徴は、なんといってもその通信速度にある。複数アンテナでの送受信、複数チャンネルの結合などを行う「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」技術を用い、理論値で最大伝送速度600Mbps、実効速度で100Mbps以上のデータ通信が可能だ。なお、現時点での日本国内での11nの通信速度は、法律上の制限から理論値300Mbpsまでになっている。
この理論値は従来の無線LAN規格で最速だったIEEE 802.11gの54Mbpsを大きく上回っており、通信速度の面で無線LANに不満を持っていた人にとっては心強い味方になるだろう。しかし、肝心のPCが11nに対応していなければ、実は互換性のある11g/bを用いて通信していたなどということにもなりかねない。PCが対応する規格によってはアダプタも必要になるので、購入時は注意しよう。(BCN・山田五大)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。
バッファローが市場をけん引 売れ筋は親機もしくはアダプタ単体
順位 | メーカー名 | 型番 | 対応規格 | 販売台数シェア |
---|---|---|---|---|
1 | バッファロー | WZR-HP-G300NH | 802.11n/g/b | 8.4 |
2 | バッファロー | WLI-UC-GN | 802.11n/g/b | 8.0 |
3 | バッファロー | WHR-G300N | 802.11n/g/b | 7.2 |
4 | バッファロー | WLI-UC-G | 802.11g/b | 4.3 |
5 | バッファロー | WHR-G300N/U | 802.11n/g/b | 3.5 |
6 | バッファロー | WZR-HP-G300NH/U | 802.11n/g/b | 3.4 |
7 | プラネックス | GW-US54GXS | 802.11g | 3.2 |
8 | プラネックス | GW-USMicroN | 802.11n | 3.0 |
9 | NEC | PA-WR8150N | 802.11n | 2.9 |
10 | バッファロー | WHR-HP-G | 802.11g | 2.0 |
「BCNランキング」 09年9月月次 <最大パネル>
09年9月の無線LANランキングで1位を獲得したのはバッファローの「WZR-HP-G300NH」。11nに対応した無線LAN親機「AirStation NFINITI HighPower Giga」の親機単体モデルになる。送信、受信とも3本のアンテナを備え、電波出力を従来製品よりも大きくした。広範囲での高速通信を実現したモデルで、外付けHDDなどを接続すればNASとして使用できるのも特徴だ。
バッファロー「WZR-HP-G300NH」
また、同製品とUSB2.0用無線LAN子機のセット「WZR-HP-G300NH/U」も6位にランクインしている。トップ10を見ると、バッファロー製品が、実に7製品も占めており、同社の強さが目立つ結果になっている。また、現在の売れ筋はもはや11n対応の製品がほとんどだ。
バッファロー「WZR-HP-G300NH/U」
そのほか、製品別の販売台数構成比を見てみると、親機単体もしくは子機単体を購入する人が多いことがわかる。最近のPCは無線LAN機能が内蔵されているモデルが多く、親機を購入するだけで済む場合が多いことに加え、すでに無線LAN環境を構築している人が、新たなPCの接続用に子機を購入しているためと考えられる。また、親機とアダプタのセットがあまり売れていないということは、無線LANを初めて導入するユーザーが少なくなり、多くの家庭で無線LANが一般的になってきていることの現れといえるだろう。
そして、今後無線LAN環境を構築しようと考えている人は、やはりIEEE 802.11nがオススメだ。高速で安定した通信が可能なことはもちろん、下位規格である11g/bとの互換性があるので、ニンテンドーDSやPSPを接続することもできる。では、最新の無線LAN規格11nとはどういうものなのだろう?
実行速度100Mbpsでの通信が可能な新規格11nとは
11nは、従来の無線LANと比較してより通信の安定・高速化を図った規格。07年8月には、暫定版であるドラフト2.0が策定され、これまで各メーカーがこのドラフト2.0に準拠した機器を販売してきた。対応無線LAN規格として「IEEE 802.11n(ドラフト2.0)」などと表記してあるものがそれだ。
ちなみに、現在11n(ドラフト2.0)対応機器を使用しているユーザーは、今後新たに11n正式対応機を買う必要はない。無線LAN規格の認証作業を行う業界団体Wi-Fi Allianceによれば、現在ドラフト2.0認定を受けた機器は、そのまま正式な11n認定機器として使用できるという。
Wi-Fi Allianceによる認証ロゴ
11nの特徴は、なんといってもその通信速度にある。複数アンテナでの送受信、複数チャンネルの結合などを行う「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」技術を用い、理論値で最大伝送速度600Mbps、実効速度で100Mbps以上のデータ通信が可能だ。なお、現時点での日本国内での11nの通信速度は、法律上の制限から理論値300Mbpsまでになっている。
規格 | 策定時期 | 周波数帯 | 通信速度(理論値) |
---|---|---|---|
IEEE 802.11n | 09年9月 | 2.4GHz/5GHz | 600Mbps |
IEEE 802.11g | 03年6月 | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE 802.11b | 99年10月 | 2.4GHz | 11Mbps |
この理論値は従来の無線LAN規格で最速だったIEEE 802.11gの54Mbpsを大きく上回っており、通信速度の面で無線LANに不満を持っていた人にとっては心強い味方になるだろう。しかし、肝心のPCが11nに対応していなければ、実は互換性のある11g/bを用いて通信していたなどということにもなりかねない。PCが対応する規格によってはアダプタも必要になるので、購入時は注意しよう。(BCN・山田五大)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。