BCN、デジタル家電市場に「4つの地殻変動」
BCNは9月9日、各種デジタル家電やパソコンの市場動向、今後の見通しに関する記者発表を都内で行った。全国の家電量販店からの実売データ「BCNランキング」を使って市況を分析した結果、デジタルカメラ、携帯オーディオ、パソコン、薄型テレビの4ジャンルで新たな変化が現れつつあると指摘した。
依然として厳しい経済情勢が続いているが、デジタル家電やパソコン関連など116品目の総販売金額と平均単価で構成する「BCN指数」は回復基調に転じた。夏季商戦とエコポイント効果が重なった7月は、金額が前年同月比104.2%、単価は1万1500円と高い伸びを示し、8月も102.6%、1万400円とプラス圏で推移している。個別の製品ジャンルでは、デジタルカメラ、携帯オーディオ、パソコン、薄型テレビの4ジャンルで、新たな動きが市況の回復を促す要因となっているようだ。
コンパクトデジタルカメラは6か月連続で販売台数、金額とも前年割れの厳しい状況にある。買い換え需要を促進するための新たな機軸を模索する動きが続いたが、ここにきて高速連写や高倍率ズーム、防水などが需要回復を促す機能として注目を集めている。いずれも搭載率は上昇中で、秒10コマ以上の高速連写は5月に2割を超えて8月は24.1%、10倍以上のズーム倍率は8月に12.2%と初めて2ケタ台に達した。防水は季節的な要因に左右される面はあるとはいえ、8月も5.7%と一定の認知が広がっている。
一方、デジタル一眼は大幅な拡大基調から一転して台数、金額ともほぼ前年並みで推移するようになった。ただ、動画機能の搭載率は上昇中で、8月は59.9%とほぼ6割に達した。パナソニックとオリンパスによるマイクロフォーサーズ対応モデルが好調で、台数比率は7月に17.8%と一気に上昇、8月も14.2%と市場で一定の評価を獲得しつつある。
携帯オーディオは2月以降、販売台数、金額とも前年割れが続く一方で、メーカーの淘汰が進みアップル、ソニーの2強による寡占化が一段と鮮明化しつつある。一時はアップルが6割前後と圧倒的なシェアを獲得、ソニーが追い上げる展開になっていたが、8月の最終週で242週ぶりにアップルに代わってソニーが首位についた。週次データだけに一時的な逆転劇の可能性も高いが、月次データでも両社のシェアはこれまでになく接近している。
ソニーの躍進は、主力製品の平均単価が1万円台後半で推移するアップルに対して1万円台前半と安価なこと、スピーカーとセットになった「ウォークマンSシリーズ」の販売増などが要因。一方、アップルにとっては、新モデル投入前の端境期にあたり買い控えが響いた。ただ、両社の覇権争いは今後も続くのは必至だ。
ノート、デスクトップを合わせたパソコンの台数伸び率は、このところ失速、金額は3か月連続で前年比2ケタ減が続いた。ノートPCに占めるネットブックの台数比率は約3割のままで、拡大基調から一定の勢力を維持する展開に変化した。従来のA4に該当するスタンダード、B5のスタンダードモバイル、そしてネットブックでも平均単価は下げ止まらず、小幅とはいえズルズルと値を下げる傾向にある。
スタンダードモバイルは15万円、スタンダードは10万円、ネットブックは4万円をそれぞれ割り込んできた。ネットブックが台頭したことによる市場構造や枠組みの変化、価格の再編成の動きはいまも続いている。
今後は「Windows 7」の登場と、「ネットウォーカー」など、ネットブックよりも小型で軽いデバイスがポイント。これまで新OSが登場すればユーザーは一様に評価、それによる相乗効果でパソコン市場の活性化に大きく寄与してきたが、「Vista」からはその流れは大きく変わった。このため、Windows 7が広く浸透するかどうかは、新OSに切り替えることによる利点や意義がきっちりとユーザーに伝わるかにかかっている。
注目は、ネットブックの下位領域をカバーする「ネットウォーカー」に代表される小型デバイスが拡大していくかどうか。ネットブックによって価格体系などパソコンの構造変化をもたらしたように、小型デバイスの台頭で、市場構造の変化をさらに呼び込む可能性も高い。スマートフォンを含めてノート市場は新たなステージに突入することになりそうだ。
液晶とプラズマを合わせた薄型テレビの需要は旺盛で、8月も販売台数は前年同月比152.2%、金額は128.7%と高い伸びを示した。エコポイント効果で需要がピークに達した7月並みの水準を維持。低消費電力モデルも増加した。消費電力が150W以下の台数比率は、1年前は30%台だったが、直近の8月では6割を突破。平均画面サイズの大型化が徐々に進むと同時に、平均消費電力は過去最小の130W台にまで降下してきた。
HDDやブルーレイディスクによる録画対応モデルも増えつつある。録画機能を備えた薄型テレビの台数比率は14%台にまで増えており、「見るだけのテレビから録れるテレビ」へと徐々に姿を変えつつある。エコポイントによる需要創出効果に代えて、今後はこうした新たな付加機能を開拓していくことが、安定成長を遂げるうえで重要になってくるだろう。
依然として厳しい経済情勢が続いているが、デジタル家電やパソコン関連など116品目の総販売金額と平均単価で構成する「BCN指数」は回復基調に転じた。夏季商戦とエコポイント効果が重なった7月は、金額が前年同月比104.2%、単価は1万1500円と高い伸びを示し、8月も102.6%、1万400円とプラス圏で推移している。個別の製品ジャンルでは、デジタルカメラ、携帯オーディオ、パソコン、薄型テレビの4ジャンルで、新たな動きが市況の回復を促す要因となっているようだ。
デジカメ、コンパクトで高速連写、高倍率ズームなど新機軸
コンパクトデジタルカメラは6か月連続で販売台数、金額とも前年割れの厳しい状況にある。買い換え需要を促進するための新たな機軸を模索する動きが続いたが、ここにきて高速連写や高倍率ズーム、防水などが需要回復を促す機能として注目を集めている。いずれも搭載率は上昇中で、秒10コマ以上の高速連写は5月に2割を超えて8月は24.1%、10倍以上のズーム倍率は8月に12.2%と初めて2ケタ台に達した。防水は季節的な要因に左右される面はあるとはいえ、8月も5.7%と一定の認知が広がっている。
一方、デジタル一眼は大幅な拡大基調から一転して台数、金額ともほぼ前年並みで推移するようになった。ただ、動画機能の搭載率は上昇中で、8月は59.9%とほぼ6割に達した。パナソニックとオリンパスによるマイクロフォーサーズ対応モデルが好調で、台数比率は7月に17.8%と一気に上昇、8月も14.2%と市場で一定の評価を獲得しつつある。
携帯オーディオ、進む2強による寡占化、ソニー月次でもアップルに接近
携帯オーディオは2月以降、販売台数、金額とも前年割れが続く一方で、メーカーの淘汰が進みアップル、ソニーの2強による寡占化が一段と鮮明化しつつある。一時はアップルが6割前後と圧倒的なシェアを獲得、ソニーが追い上げる展開になっていたが、8月の最終週で242週ぶりにアップルに代わってソニーが首位についた。週次データだけに一時的な逆転劇の可能性も高いが、月次データでも両社のシェアはこれまでになく接近している。
ソニーの躍進は、主力製品の平均単価が1万円台後半で推移するアップルに対して1万円台前半と安価なこと、スピーカーとセットになった「ウォークマンSシリーズ」の販売増などが要因。一方、アップルにとっては、新モデル投入前の端境期にあたり買い控えが響いた。ただ、両社の覇権争いは今後も続くのは必至だ。
パソコン、Windows 7の価値提案と多様化する新デバイスによる構造変化
ノート、デスクトップを合わせたパソコンの台数伸び率は、このところ失速、金額は3か月連続で前年比2ケタ減が続いた。ノートPCに占めるネットブックの台数比率は約3割のままで、拡大基調から一定の勢力を維持する展開に変化した。従来のA4に該当するスタンダード、B5のスタンダードモバイル、そしてネットブックでも平均単価は下げ止まらず、小幅とはいえズルズルと値を下げる傾向にある。
スタンダードモバイルは15万円、スタンダードは10万円、ネットブックは4万円をそれぞれ割り込んできた。ネットブックが台頭したことによる市場構造や枠組みの変化、価格の再編成の動きはいまも続いている。
今後は「Windows 7」の登場と、「ネットウォーカー」など、ネットブックよりも小型で軽いデバイスがポイント。これまで新OSが登場すればユーザーは一様に評価、それによる相乗効果でパソコン市場の活性化に大きく寄与してきたが、「Vista」からはその流れは大きく変わった。このため、Windows 7が広く浸透するかどうかは、新OSに切り替えることによる利点や意義がきっちりとユーザーに伝わるかにかかっている。
注目は、ネットブックの下位領域をカバーする「ネットウォーカー」に代表される小型デバイスが拡大していくかどうか。ネットブックによって価格体系などパソコンの構造変化をもたらしたように、小型デバイスの台頭で、市場構造の変化をさらに呼び込む可能性も高い。スマートフォンを含めてノート市場は新たなステージに突入することになりそうだ。
薄型テレビ、エコポイントの追い風で、8月も7月並みの高い水準に
液晶とプラズマを合わせた薄型テレビの需要は旺盛で、8月も販売台数は前年同月比152.2%、金額は128.7%と高い伸びを示した。エコポイント効果で需要がピークに達した7月並みの水準を維持。低消費電力モデルも増加した。消費電力が150W以下の台数比率は、1年前は30%台だったが、直近の8月では6割を突破。平均画面サイズの大型化が徐々に進むと同時に、平均消費電力は過去最小の130W台にまで降下してきた。
HDDやブルーレイディスクによる録画対応モデルも増えつつある。録画機能を備えた薄型テレビの台数比率は14%台にまで増えており、「見るだけのテレビから録れるテレビ」へと徐々に姿を変えつつある。エコポイントによる需要創出効果に代えて、今後はこうした新たな付加機能を開拓していくことが、安定成長を遂げるうえで重要になってくるだろう。