iPodがウォークマンにシェアで敗れる、約4年8か月、242週ぶり
携帯オーディオプレーヤーで長年トップを走っていたアップルのiPodが、販売台数シェアでソニーのウォークマンに逆転された。09年8月最終週(8月24日-30日)の「BCNランキング」で携帯オーディオのメーカー別販売台数シェアを集計したところ、ソニーが43.0%で1位を獲得。アップルは42.1%にとどまり、0.9ポイントの僅差ながら2位に後退した。05年1月第2週以来、約4年8カ月に渡ってアップルが守ってきた携帯オーディオの週次シェア連続1位記録が241週で途切れた。
アップルは、初代iPod nanoを発売した直後の05年11月、携帯オーディオ市場で6割弱のシェアを獲得。一方、ソニーはわずか1割弱で、大きな差がついていた。この当時と比較すれば、ソニーの存在感は非常に大きなものになった。カラーバリエーションを合算した09年8月最終週のランキングをみても、1位はiPod nanoの8GBモデルで、シェア21.7%とダントツ。しかし、2-3位、6-9位はソニーの製品が占めており、製品ランキングの上位でも両社が拮抗している。アップルは来週9月9日に開催するプレスイベントで新しいiPodを発表するとみられており、新製品が発売されれば首位を奪還する可能性は高いものの、「2強」でのシェア争いは激しいものになりそうだ。
今回の逆転劇の背景には、08年7月にアップルがiPodの機能をもつ携帯電話「iPhone」を発売し、iPodユーザーが分散したという要因がある。一方、ソニーは、幅広いユーザー層のニーズを満たすようラインアップを増やす戦略をとった。シェア拡大の要因を同社では「アクセサリ感覚でパネルを付け替えられ低価格のEシリーズやスピーカーつきのSシリーズ、イヤホンタイプのWシリーズ、高機能タイプのXシリーズなどのラインアップがそれぞれのターゲット層に受け入れられたからでは?」(広報)と分析する。
平均単価の下落もソニー製品の販売台数を押し上げた。09年5月第3週(5月18日-24日)の時点では、同社の携帯オーディオの税抜き平均単価(以下同)は1万3800円で、販売台数シェアは36.1%だったが、8月以降平均単価が下がるにつれて、シェアが拡大。8月第2週(8月10日-16日)以降、平均単価が1万3000円を下回ったあたりから4割を突破した。平均単価はアップルより2割から3割安い水準だ。
携帯オーディオ市場全体は09年3月以降、販売台数・金額とも前年割れが続いており、あまり元気がない。しかし、アップルとソニーの2強が僅差で争う中、新たに意欲的な製品が両社から発売されれば、再び市場が盛り上がることも期待できそうだ。(BCN・道越一郎)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。
*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。
アップルは、初代iPod nanoを発売した直後の05年11月、携帯オーディオ市場で6割弱のシェアを獲得。一方、ソニーはわずか1割弱で、大きな差がついていた。この当時と比較すれば、ソニーの存在感は非常に大きなものになった。カラーバリエーションを合算した09年8月最終週のランキングをみても、1位はiPod nanoの8GBモデルで、シェア21.7%とダントツ。しかし、2-3位、6-9位はソニーの製品が占めており、製品ランキングの上位でも両社が拮抗している。アップルは来週9月9日に開催するプレスイベントで新しいiPodを発表するとみられており、新製品が発売されれば首位を奪還する可能性は高いものの、「2強」でのシェア争いは激しいものになりそうだ。
順位 | メーカー名 | シリーズ名 | 容量 | 動画再生 | 販売台数 シェア(%) | 市場推定価格 (円) |
1 | アップル | iPod nano 8GB(4th) | 8GB | 対応 | 21.7 | 17,400 |
2 | ソニー | NW-E042 | 2GB | 非対応 | 6.2 | 7,500 |
3 | ソニー | NW-S636F | 4GB | 対応 | 6.0 | 10,800 |
4 | アップル | iPod nano 16GB(4th) | 16GB | 対応 | 4.9 | 23,000 |
5 | アップル | iPod classic 120GB | 120GB | 対応 | 4.2 | 29,200 |
6 | ソニー | NW-S636FK | 4GB | 対応 | 3.8 | 14,100 |
7 | ソニー | NW-E043 | 4GB | 非対応 | 3.5 | 9,200 |
8 | ソニー | NW-S736F | 4GB | 対応 | 3.5 | 13,000 |
9 | ソニー | NW-S736FK | 4GB | 対応 | 3.1 | 15,300 |
10 | アップル | iPod shuffle 4GB(5th) | 4GB | 非対応 | 2.8 | 8,600 |
※カラーバリエーションは合算して集計
「BCNランキング」 09年週次 <最大パネル>
今回の逆転劇の背景には、08年7月にアップルがiPodの機能をもつ携帯電話「iPhone」を発売し、iPodユーザーが分散したという要因がある。一方、ソニーは、幅広いユーザー層のニーズを満たすようラインアップを増やす戦略をとった。シェア拡大の要因を同社では「アクセサリ感覚でパネルを付け替えられ低価格のEシリーズやスピーカーつきのSシリーズ、イヤホンタイプのWシリーズ、高機能タイプのXシリーズなどのラインアップがそれぞれのターゲット層に受け入れられたからでは?」(広報)と分析する。
バリエーションが広がったウォークマン
ハイエンドモデルのXシリーズ(左上:NW-X1060)、低価格モデルの着せ替えができるEシリーズ(右上:NW-E042)、ヘッドホン一体型のWシリーズ(左下:NWD-W202)、スピーカー付属タイプのSシリーズ(右下:NW-S636FK)
ハイエンドモデルのXシリーズ(左上:NW-X1060)、低価格モデルの着せ替えができるEシリーズ(右上:NW-E042)、ヘッドホン一体型のWシリーズ(左下:NWD-W202)、スピーカー付属タイプのSシリーズ(右下:NW-S636FK)
平均単価の下落もソニー製品の販売台数を押し上げた。09年5月第3週(5月18日-24日)の時点では、同社の携帯オーディオの税抜き平均単価(以下同)は1万3800円で、販売台数シェアは36.1%だったが、8月以降平均単価が下がるにつれて、シェアが拡大。8月第2週(8月10日-16日)以降、平均単価が1万3000円を下回ったあたりから4割を突破した。平均単価はアップルより2割から3割安い水準だ。
携帯オーディオ市場全体は09年3月以降、販売台数・金額とも前年割れが続いており、あまり元気がない。しかし、アップルとソニーの2強が僅差で争う中、新たに意欲的な製品が両社から発売されれば、再び市場が盛り上がることも期待できそうだ。(BCN・道越一郎)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。
*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。