1年で5倍増の地デジチューナー、機能絞った小型で安価な製品の拡大が後押し
アナログテレビと接続すれば地上デジタル放送が見られる地デジチューナーの小型・軽量化が顕著だ。「BCNランキング」で集計すると、09年2月、平均重量が479gと500gを切った。そこで、500g未満のモデルを中心に市場の動向を探った。
軽量化の動きは、CDケースを数枚重ねた程度など、本体サイズの小型化が影響している。09年7月、地デジチューナーは重さ500g未満が76.1%で市場の8割近くを占めるようになった。08年8月は55.1%と5割程度だったので、この1年で大幅に軽量化が進んだことになる。
小型・軽量化の背景には、昨今の地デジ需要の拡大により、低価格なモデルにも力を入れたいというメーカー各社の思惑がある。メーカーシェア首位のマスプロ電工によると、「機能を絞ったことで(搭載する部品が少なくて済み、結果的に)本体のサイズがコンパクトになった」(広報)という。
また、DXアンテナでは、「テレビの脇に置くものなので小さい方が邪魔にならない」(広報)と説明する。地デジチューナーは、個室に置いた20型台以下のアナログテレビに使われることが多いという。そうした小型のテレビなら、チューナーもやはり小型の方がいいというわけだ。
ここで、重さ500g未満の7月の売れ筋モデルをチェックしよう。カラーバリエーションは合算して集計した。1位はマスプロ電工が4月に発売した「DT620」で販売台数シェアは25.2%。07年7月発売の「DT610」の後継機で、消費電力を9Wから3.6Wに抑えたほか、横長の長方形だった本体の外観をほぼ正方形にした。サイズは高さ40×幅175×奥行き160mmで平型の弁当箱くらいの大きさだ。重さは460g。字幕放送と電子番組表(EPG)に対応する。
2位はDXアンテナの5月発売「DIR810」。シェアは16.1%だった。字幕放送と電子番組表に対応する。電子番組表は3日分まで表示することが可能。サイズは高さ30×幅180×奥行き138mm、重さは460g。
3位は、アイ・オー・データ機器が1月に発売した「HVT-BT200」で15.2%。地上デジタル放送のほか、BSデジタル放送のチューナーも内蔵する。予約した時刻になると、自動的に予約した番組のチャンネルに切り替わる機能「視聴予約」を搭載する。字幕放送と電子番組表に対応。サイズは幅196×高さ46.4×奥行き127mm、重さは450g。
トップ10中、最も軽かったのは、6位のピクセラ「PRD-BT100-P00」で重さはわずか180gだった。ちなみに、7月の500g未満モデルの税別の平均単価は9900円。1年前の08年8月は1万5300円だったので、かなり手頃になってきた。7月の地デジチューナー全体の平均単価1万1500円と比べても、1600円ほどお得だ。
___page___
重さ500g未満のモデルに限ったメーカー別の販売台数シェアを見てみよう。この1年で首位をキープしていたのはアイ・オー・データ機器。しかし、08年秋以降シェアを徐々に下げ、09年7月には2位のマスプロ電工が1位の座を奪った。しかし、1位のマスプロ電工のシェアは26.7%、2位のアイ・オー・データ機器は23.9%と僅差だ。このほか、DXアンテナがシェア21.8%で3位、バッファローが9.9%で4位と続いている。
最後に、地デジチューナー全体の市場規模を見ると、販売台数・金額ともに右肩上がりで好調。08年7月に比べて販売台数はほぼ5倍、販売金額では2.8倍とこの1年の成長は著しい。価格も安くなり、ユーザーとしてうれしいのは確か。できるだけ安くテレビをデジタル化したいと考える人や、とりあえず地デジを体験してみたいと思っている人にとっては、手頃な価格でコンパクトになった地デジチューナーは、魅力的な製品といえそうだ。(BCN・井上真希子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。
平均重量500gを切る軽さ 低コスト化で各社販売拡大を狙う
軽量化の動きは、CDケースを数枚重ねた程度など、本体サイズの小型化が影響している。09年7月、地デジチューナーは重さ500g未満が76.1%で市場の8割近くを占めるようになった。08年8月は55.1%と5割程度だったので、この1年で大幅に軽量化が進んだことになる。
小型・軽量化の背景には、昨今の地デジ需要の拡大により、低価格なモデルにも力を入れたいというメーカー各社の思惑がある。メーカーシェア首位のマスプロ電工によると、「機能を絞ったことで(搭載する部品が少なくて済み、結果的に)本体のサイズがコンパクトになった」(広報)という。
また、DXアンテナでは、「テレビの脇に置くものなので小さい方が邪魔にならない」(広報)と説明する。地デジチューナーは、個室に置いた20型台以下のアナログテレビに使われることが多いという。そうした小型のテレビなら、チューナーもやはり小型の方がいいというわけだ。
1位はマスプロ電工の「DT620」、平均単価は9900円
順位 | メーカー | シリーズ | 発売月 | 重さ(g) | 販売台数 シェア(%) |
1 | マスプロ電工 | DT620 | 2009/04 | 460 | 25.2 |
2 | DXアンテナ | DIR810 | 2009/05 | 460 | 16.1 |
3 | アイ・オー・データ機器 | HVT-BT200 | 2009/01 | 450 | 15.2 |
4 | バッファロー | DTV-S30 | 2008/11 | 250 | 9.3 |
5 | アイ・オー・データ機器 | HVT-T100 | 2008/05 | 300 | 8.7 |
6 | ピクセラ | PRD-BT100-P00 | 2009/06 | 180 | 6.3 |
7 | 恵安 | KTV-DIGIBOX | 2009/02 | 210 | 5.7 |
8 | DXアンテナ | DIR710 | 2009/04 | 460 | 4.7 |
9 | 東芝 | SD-PDT12W | 2009/02 | 330 | 2.5 |
10 | 八木アンテナ | DTC50 | 2009/06 | 220 | 1.9 |
※カラーバリエーションは合算して集計
「BCNランキング」09年7月 月次 <最大パネル>
「BCNランキング」09年7月 月次 <最大パネル>
ここで、重さ500g未満の7月の売れ筋モデルをチェックしよう。カラーバリエーションは合算して集計した。1位はマスプロ電工が4月に発売した「DT620」で販売台数シェアは25.2%。07年7月発売の「DT610」の後継機で、消費電力を9Wから3.6Wに抑えたほか、横長の長方形だった本体の外観をほぼ正方形にした。サイズは高さ40×幅175×奥行き160mmで平型の弁当箱くらいの大きさだ。重さは460g。字幕放送と電子番組表(EPG)に対応する。
2位はDXアンテナの5月発売「DIR810」。シェアは16.1%だった。字幕放送と電子番組表に対応する。電子番組表は3日分まで表示することが可能。サイズは高さ30×幅180×奥行き138mm、重さは460g。
上からマスプロ電の「DT620」、DXアンテナの「DIR810」、アイ・オー・データ機器の「HVT-BT200」
3位は、アイ・オー・データ機器が1月に発売した「HVT-BT200」で15.2%。地上デジタル放送のほか、BSデジタル放送のチューナーも内蔵する。予約した時刻になると、自動的に予約した番組のチャンネルに切り替わる機能「視聴予約」を搭載する。字幕放送と電子番組表に対応。サイズは幅196×高さ46.4×奥行き127mm、重さは450g。
トップ10中、最も軽かったのは、6位のピクセラ「PRD-BT100-P00」で重さはわずか180gだった。ちなみに、7月の500g未満モデルの税別の平均単価は9900円。1年前の08年8月は1万5300円だったので、かなり手頃になってきた。7月の地デジチューナー全体の平均単価1万1500円と比べても、1600円ほどお得だ。
___page___
マスプロ電工が7月首位に 市場全体で台数・金額ともに好調
重さ500g未満のモデルに限ったメーカー別の販売台数シェアを見てみよう。この1年で首位をキープしていたのはアイ・オー・データ機器。しかし、08年秋以降シェアを徐々に下げ、09年7月には2位のマスプロ電工が1位の座を奪った。しかし、1位のマスプロ電工のシェアは26.7%、2位のアイ・オー・データ機器は23.9%と僅差だ。このほか、DXアンテナがシェア21.8%で3位、バッファローが9.9%で4位と続いている。
最後に、地デジチューナー全体の市場規模を見ると、販売台数・金額ともに右肩上がりで好調。08年7月に比べて販売台数はほぼ5倍、販売金額では2.8倍とこの1年の成長は著しい。価格も安くなり、ユーザーとしてうれしいのは確か。できるだけ安くテレビをデジタル化したいと考える人や、とりあえず地デジを体験してみたいと思っている人にとっては、手頃な価格でコンパクトになった地デジチューナーは、魅力的な製品といえそうだ。(BCN・井上真希子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。