自作PC用電源もエコの時代? キーワードは「静音」と「80 PLUS」

特集

2009/08/03 10:26

 近年話題になっているキーワードといえばエコ。自作PCパーツにもその波は押し寄せているようだ。「BCNランキング」で電源の売れ筋を調べてみたところ、このエコ気運を反映しているからか、静音性や電源の変換効率を高めた製品が上位にランクインしている。

電源 機種別販売台数ランキング 2009年6月
順位 メーカー名 型番 品名
1 Antec EA-650 EarthWatts 650W
2 サイズ LiFE-400A LiFE PoWER 400W
3 サイズ LiFE-500A LiFE PoWER 500W
4 アビー ZU-360B ZUMAX 360W
5 エバーグリーン EG-400PG PowerGlitter 400W
6 アビー ZU-420W ZUMAX ZU-420W
7 エバーグリーン EG-350RT Silent King Retro
8 アビー SD-525ESE AS Power SD 525W
9 エバーグリーン EG-500PG PowerGlitter 500W
10 Enermax EMD525AWT MODU82+ 525W

「BCNランキング」 09年6月月次 <最大パネル>



 PCのパワーの源である電源。09年6月のランキングを見てみると、静音や電源変換効率の高さを謳う製品が多くランクインしている。1位を獲得したのはAntecの「EA-650」。電源変換効率の高さを示す「80 PLUS」認証を取得し、高品質がウリの製品だ。

Antec「EA-650」

 2-3位を獲得したのはサイズの「LiFE-400A」と「LiFE-500A」だ。いずれもエントリーモデルながら、耐久性の高い部品を使用。電源内部は熱をもつため部品の劣化が起きやすいのだが、部品の耐久性が高ければその分劣化を防ぐことができるので、長期間使用することができる。

サイズ「LiFE-400A」/「LiFE-500A」

 また、トップ10に3製品がランクインしたアビーの製品は静音性が特徴。4位の「ZU-360B」と6位の「ZU-420W」は、静音ファンを採用したうえ、温度の変化に応じてファンの回転数を制御する機能も備えている。

アビー「SD-525ESE」

 さらに、8位の「SD-525ESE」は、静音性もさることながら、エントリーモデル並の価格で、ハイエンド電源によく採用されている着脱式のケーブルを搭載。使用しないケーブルを外しておけるので、空気の流れを妨げることなく、PCケース内の熱を逃がしやすくすることができる。

 アビー同様、3製品がトップ10入りしたのがエバーグリーン。7位の「EG-350RT」は、かつて静音電源として人気があった、同社のSilent Kingを現在の仕様に対応させた復刻版だ。また、5位の「EG-400PG」と9位の「EG-500PG」は、エントリーモデルながら、前述のSilent Kingより高い静音性を実現している。

エバーグリーン「EG-350RT」

 ここまでの製品を見てみると、やはり静音性というのは電源の重要な機能になっているように感じる。そして、もうひとつ注目したいのが、1位の「EA-650」と10位に入ったEnermaxの「EMD525AWT」が掲げる「80 PLUS」という認証ロゴだ。

Enermax「EMD525AWT」

エコの目印「80 PLUS」とは?




 「80 PLUS」とは、PC用電源が「エコ」かどうかの目安として、米国のEcos Consultingが管理している認証制度で、電源変換効率が80%以上の製品に対して認証ロゴが付与される。

 では、なぜ電源変換効率が高いことがエコの指標になるのだろうか。もともとPC用の電源は、コンセントから流れてくる交流電源(AC)を、PCで使用することができる直流電源(DC)に変換することが主な機能なのだが、この変換の際にある程度のロスが出てしまう。


 例えば、ある製品の電源変換効率が60%だった場合、変換時に電力として使用されない40%のロスが発生し、熱になってしまうのだ。「80 PULS」認証は、この電源変換効率が80%以上であることを表している。

 さらに、変換効率が高ければ、余分な熱が発生しない。よって、電源内部の部品が熱によって劣化するリスクを小さくすることができるうえ、冷却ファンの回転数も落とせるので、静音化にも繋がり一石二鳥だ。このように、無駄な電力を消費せず、余分な熱も排出しない「80 PLUS」認証は「エコ」かつ「静音」の証といえるだろう。

 トップ10には「80 PLUS」認証を取得している製品は、Antec「EA-650」とEnermax「EMD525AWT」の2製品しかランクインしなかった。しかし、「エコ」で「静音」ならば、今後の売れ筋の主流になる可能性を秘めている。(BCN・大滝和伸)