東芝が首位獲得のポータブルDVDプレーヤー、14か月ぶりにソニーの牙城崩す
ポータブルDVDプレーヤーのメーカー首位がソニーから東芝に入れ替わった。08年4月から09年5月まで14か月、トップを維持してきたソニーの牙城が6月、ついに崩れた。「BCNランキング」でトレンドを探った。
この3年間のポータブルDVDプレーヤーの動向を見ると、ソニーは08年4月以降、2位以下のメーカーを大幅に引き離して台数シェアを伸ばし、1位を走っていた。しかし08年7月の35.3%をピークに下降に転じ、09年6月、21.2%の東芝に首位の座を奪われた。2位はセントレードM.E.で18.7%、ソニーは3位で18.5%と最盛期と比べておよそ15ポイントもシェアを下げた。
一方、東芝は09年1月以降、徐々にシェアを拡大してきた。08年12月発売の「SD-P73S」の売れ行きが好調で、メーカーシェアを押し上げた。東芝広報によると、「SD-P73S」だけでなく、「ポータブルDVDプレーヤーのブランド『ポータロウ』の商品性が評価されている」としながら、「『ポータロウ』は他社と比べるとラインアップが豊富。ワンセグ録画などの先進的な技術を採用したモデルから手頃な価格のモデルまで、幅広く取り揃えている。さらに、店頭装飾やデモなど販促にも力を入れたため、(メーカーシェアの上昇は)その相乗効果」だと分析している。
さて、09年6月の売れ筋トップ10を見てみよう。カラーバリエーションは合算して集計した。1位は前述の東芝「SD-P73S」で、販売台数シェアは12.5%。SDカードスロットを搭載し、メモリカードに保存した写真や音楽も再生できる。カラーはホワイトとレッドの2色。市場推定価格は1万9300円。
2位はソニーの「DVP-FX720」で9.0%だった。光沢を抑えたホワイト、レッド、ブルーの3色のカラーバリエーションを用意。操作しない状態が30分続くと自動的に電源が切れる「オートパワーオフ機能」を備える。ドライブ時に車内で充電できるカーバッテリーアダプタも付属する。市場推定価格は2万2000円。
3位はセントレードM.E.の「CPT-708W」で、シェアは6.7%。こちらも2位のソニーと同様、カーバッテリーアダプタを同梱する。市場推定価格は1万800円。トップ3に入った製品の画面サイズは、いずれも7V型ワイド。トップ10では、7V型ワイドが9モデルを占め、残り1モデルは8V型ワイドだった。
___page___
最後に、ランキングのトップ10には含まれなかったが、最近のポータブルDVDプレーヤーのトレンドを見てみよう。キーワードは「画面」だ。東芝が4月に発売した「SD-P93DTW」、ソニーが6月に発売した「DVP-FX930」、BLUEDOTの7月発売の「BDP-1945K」はいずれも9V型ワイド液晶で、180度回転する画面を採用する。5位のソニーの「DVP-FX850」も、8V型ワイドと一回り小さいものの、やはり回転式の画面を採用する。
画面が回転するタイプのメリットは、視聴スタイルに応じて本体の形状を変えられる点。例えば、本体を置いた状態で画面の角度を調節できるほか、画面を表にして折りたためば、書籍のように本体を立てて手で持つこともできる。前述の3モデルは、いずれも、折りたたんだ時に操作しやすいよう、画面の下に各種ボタンを備えている。
一方、BD(Blu-ray Disc)に対応するモデルも登場している。パナソニックが3月に発売した8.9V型ワイドの「DMP-BV100」は、現在ポータブルDVDプレーヤーとして唯一、BD再生が可能だ。地デジチューナーも装備し、「持ち運びできる小型テレビ」といった方がイメージしやすいかもしれない。
ポータブルDVDプレーヤー市場全体は、09年6月の対前年の販売金額比で81.5%と前年割れしているものの、販売台数比は101.9%と前年並みの水準を維持している。ただ、平均単価はこの3年間で8000円ほどダウン。6月は税別で1万9800円と2万円を切っており、低価格化が進んでいる。薄型テレビやパソコンなどと同じく、台数が伸びても金額が伸びない現象はここでも起こっている。
一方、DVDプレーヤー全体に占めるポータブル型の割合は徐々に増えてきている。6月では販売台数で3割、金額では5割を超えており、据置型のプレーヤーを凌ぐ勢いだ。機能面では今後、回転式画面の搭載やBD対応、バッテリー駆動の長時間化に加え、本体の薄型・軽量化の進展も期待できる。さらに、ポータブル型ならではのカラーやデザインの製品が登場してくれば、市場が活性化しそうだ。(BCN・井上真希子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。
*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。
東芝が6月に首位を獲得 “ポータロウ”の認知度UPが後押し
この3年間のポータブルDVDプレーヤーの動向を見ると、ソニーは08年4月以降、2位以下のメーカーを大幅に引き離して台数シェアを伸ばし、1位を走っていた。しかし08年7月の35.3%をピークに下降に転じ、09年6月、21.2%の東芝に首位の座を奪われた。2位はセントレードM.E.で18.7%、ソニーは3位で18.5%と最盛期と比べておよそ15ポイントもシェアを下げた。
一方、東芝は09年1月以降、徐々にシェアを拡大してきた。08年12月発売の「SD-P73S」の売れ行きが好調で、メーカーシェアを押し上げた。東芝広報によると、「SD-P73S」だけでなく、「ポータブルDVDプレーヤーのブランド『ポータロウ』の商品性が評価されている」としながら、「『ポータロウ』は他社と比べるとラインアップが豊富。ワンセグ録画などの先進的な技術を採用したモデルから手頃な価格のモデルまで、幅広く取り揃えている。さらに、店頭装飾やデモなど販促にも力を入れたため、(メーカーシェアの上昇は)その相乗効果」だと分析している。
ホワイトとレッドから選べる東芝「SD-P73S」が1位
さて、09年6月の売れ筋トップ10を見てみよう。カラーバリエーションは合算して集計した。1位は前述の東芝「SD-P73S」で、販売台数シェアは12.5%。SDカードスロットを搭載し、メモリカードに保存した写真や音楽も再生できる。カラーはホワイトとレッドの2色。市場推定価格は1万9300円。
順位 | メーカー | シリーズ | 画面サイズ | 市場推定 価格 | 販売台数 シェア(%) |
1 | 東芝 | SD-P73S | 7V型ワイド | 1万9300円 | 12.5 |
2 | ソニー | DVP-FX720 | 7V型ワイド | 2万2000円 | 9.0 |
3 | セントレードM.E. | CPT-708W | 7V型ワイド | 1万800円 | 6.7 |
4 | Dynex | DX-_PDVD7 | 7V型ワイド | 1万200円 | 6.7 |
5 | ソニー | DVP-FX850 | 8V型ワイド | 2万5100円 | 5.3 |
6 | 東芝 | SD-P73DTW | 7V型ワイド | 3万5000円 | 4.1 |
7 | BLUEDOT | BDP-1726 | 7V型ワイド | 1万8600円 | 3.5 |
8 | ツインバード工業 | VD-J713CW | 7V型ワイド | 3万5700円 | 3.1 |
9 | セントレードM.E. | MPT-703W | 7V型ワイド | 1万4400円 | 2.8 |
10 | セントレードM.E. | JPO7100E4 | 7V型ワイド | 2万1100円 | 2.6 |
※オレンジの文字は回転式の画面を採用
「BCNランキング」6月 月次 <最大パネル>
「BCNランキング」6月 月次 <最大パネル>
2位はソニーの「DVP-FX720」で9.0%だった。光沢を抑えたホワイト、レッド、ブルーの3色のカラーバリエーションを用意。操作しない状態が30分続くと自動的に電源が切れる「オートパワーオフ機能」を備える。ドライブ時に車内で充電できるカーバッテリーアダプタも付属する。市場推定価格は2万2000円。
東芝の「SD-P73S」、ソニーの「DVP-FX720」
3位はセントレードM.E.の「CPT-708W」で、シェアは6.7%。こちらも2位のソニーと同様、カーバッテリーアダプタを同梱する。市場推定価格は1万800円。トップ3に入った製品の画面サイズは、いずれも7V型ワイド。トップ10では、7V型ワイドが9モデルを占め、残り1モデルは8V型ワイドだった。
___page___
トレンドは「回転式画面」と「大画面化」
最後に、ランキングのトップ10には含まれなかったが、最近のポータブルDVDプレーヤーのトレンドを見てみよう。キーワードは「画面」だ。東芝が4月に発売した「SD-P93DTW」、ソニーが6月に発売した「DVP-FX930」、BLUEDOTの7月発売の「BDP-1945K」はいずれも9V型ワイド液晶で、180度回転する画面を採用する。5位のソニーの「DVP-FX850」も、8V型ワイドと一回り小さいものの、やはり回転式の画面を採用する。
左上から東芝の「SD-P93DTW」、ソニーの「DVP-FX930」、パナソニックの「DMP-BV100」
画面が回転するタイプのメリットは、視聴スタイルに応じて本体の形状を変えられる点。例えば、本体を置いた状態で画面の角度を調節できるほか、画面を表にして折りたためば、書籍のように本体を立てて手で持つこともできる。前述の3モデルは、いずれも、折りたたんだ時に操作しやすいよう、画面の下に各種ボタンを備えている。
一方、BD(Blu-ray Disc)に対応するモデルも登場している。パナソニックが3月に発売した8.9V型ワイドの「DMP-BV100」は、現在ポータブルDVDプレーヤーとして唯一、BD再生が可能だ。地デジチューナーも装備し、「持ち運びできる小型テレビ」といった方がイメージしやすいかもしれない。
ポータブルならではの製品展開で市場活性化に期待
ポータブルDVDプレーヤー市場全体は、09年6月の対前年の販売金額比で81.5%と前年割れしているものの、販売台数比は101.9%と前年並みの水準を維持している。ただ、平均単価はこの3年間で8000円ほどダウン。6月は税別で1万9800円と2万円を切っており、低価格化が進んでいる。薄型テレビやパソコンなどと同じく、台数が伸びても金額が伸びない現象はここでも起こっている。
一方、DVDプレーヤー全体に占めるポータブル型の割合は徐々に増えてきている。6月では販売台数で3割、金額では5割を超えており、据置型のプレーヤーを凌ぐ勢いだ。機能面では今後、回転式画面の搭載やBD対応、バッテリー駆動の長時間化に加え、本体の薄型・軽量化の進展も期待できる。さらに、ポータブル型ならではのカラーやデザインの製品が登場してくれば、市場が活性化しそうだ。(BCN・井上真希子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。
*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。