夏目前で「グリス」が大人気、地味なPCパーツが売れるワケとは?
BCNランキングでは、様々なカテゴリの製品の売れ筋を掲載しているが、「PCパーツ」のカテゴリに、主にPCケース内で使用する製品をまとめた「その他パーツ」というジャンルがある。09年5月のランキングを見ると、この「その他パーツ」のランキングが、シリコングリス関連製品にジャックされているのだ。
PCの心臓部「CPU」は動作中に熱くなる。しかし温度が上がりすぎると、正常に動作しなくなってしまう。そこで、CPUの温度を下げるための専用パーツとして、CPUクーラーという部品が使われている。多くは、金属製の羽根を何枚も備えて表面積を多くし、効率的に熱を逃がす仕組みになっている。
CPUとCPUクーラーはできるだけ密着させたほうが放熱の効率が高くなる。しかし、パーツの表面は目に見えない程の細かな凸凹があるため、見た目だけでぴったりくっつけても、実はたくさんのスキマが開いていて、放熱効率が悪い。
そこで登場するのがシリコングリス。表面にぬってパーツ同士を密着させることで、スキマを埋めて放熱効率を高くすることができる。かなり地味な製品だ。CPUやCPUクーラーを買うと標準で付いてくることもあるが、より性能の高いシリコングリスを使えば、手軽に放熱効率を上げることもできるわけだ。
その他パーツの09年5月の機種別販売台数ランキングを見てみると、上位10製品のうち6製品でシリコングリスに関連したモノがランクインしており、ある種圧倒的な存在感を示している。ランキングの傾向としては、熱の伝わりを良くする成分を配合した、ハイエンドタイプがよく売れているようだ。
例えば、2位のAINEX「AS-05」や、3位のバリューウェーブ「SG-77001」などは、グリスとしては高価格帯に位置する製品。こういった製品は、熱の伝わりが良い銀を配合しており、シリコングリスの性能を測る指標である熱伝導率をみてみると「AS-05」が9.0W/m・K、「SG-77001」は8.2W/m・Kと共に高い熱伝導率を示している。
4位のAINEX「AS-04」も熱の伝わりが良い素材である、酸化アルミニウムや酸化亜鉛などを配合している。熱伝導率は5.1W/m・Kと「AS-05」や「SG-77001」に比べると低いが、通常のシリコングリスよりは熱伝導率が高く熱の伝わりは良い。
また、シリコングリスは極端に厚く塗ったり、薄く塗ったりしてしまうと、冷却性能が落ちてしまう。そのため、グリスそのもの以外にも、上手に塗布するためのグッズとして、10位に入ったバリューウェーブの「HR-055」のような、シリコングリス用へらなど関連製品も人気があるようだ。
このほか、トップ10にはランクインしなかったが、シリコングリス以外に熱伝導シートというアイテムもあり、こちらはCPUとCPUクーラーの間に貼り付けるだけで、シリコングリスと同等の働きをするため、シリコングリスがうまく塗布できないユーザーに重宝されている。
近年はCPUの高性能化が目覚しく、PCの性能向上に大きな役割を果たしている。しかし、高性能になるということは、それに伴って発熱量が増加することを意味する。そこで、効率的よく冷やすことがより重要になるわけだ。たかがグリスと思ってしまいがちだが、その役割は大きく、ランキングに関連製品を含めて多く食い込んできているのも納得がいく。
CPUに限らずグラフィックボードやマザーボードといったパーツの高性能化も進み、発熱量も増加していることから、以前にも増して冷却性能は重要になってきている。シリコングリスを変えるだけで、手軽に冷却性能をUPすることができる。夏を前に「熱」に不安があるなら、一度試してみてはどうだろうか。(BCN・大滝和伸)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。
PCの心臓部「CPU」は動作中に熱くなる。しかし温度が上がりすぎると、正常に動作しなくなってしまう。そこで、CPUの温度を下げるための専用パーツとして、CPUクーラーという部品が使われている。多くは、金属製の羽根を何枚も備えて表面積を多くし、効率的に熱を逃がす仕組みになっている。
CPUとCPUクーラーはできるだけ密着させたほうが放熱の効率が高くなる。しかし、パーツの表面は目に見えない程の細かな凸凹があるため、見た目だけでぴったりくっつけても、実はたくさんのスキマが開いていて、放熱効率が悪い。
そこで登場するのがシリコングリス。表面にぬってパーツ同士を密着させることで、スキマを埋めて放熱効率を高くすることができる。かなり地味な製品だ。CPUやCPUクーラーを買うと標準で付いてくることもあるが、より性能の高いシリコングリスを使えば、手軽に放熱効率を上げることもできるわけだ。
順位 | メーカー名 | 型番 | 品名 |
---|---|---|---|
1 | バリューウェーブ | TG01 | TG01 |
2 | AINEX | AS-05 | シルバーグリス |
3 | バリューウェーブ | SG-77001 | シルバーグリス 1.5g |
4 | AINEX | AS-04 | セラミックグリス |
5 | AINEX | HDM-03 | 2.5インチHDD変換マウンタ |
6 | AINEX | WA-085 | シリアルATA用電源変換ケーブル |
7 | AINEX | SAT-3005BL | シリアルATAケーブル ブルー 50cm |
8 | AINEX | PA-080 | シリコングリス |
9 | バリューウェーブ | ATA-1545 | SATA1.5Gb/sケーブル |
10 | バリューウェーブ | HR-055 | シリコングリス用ヘラ |
「BCNランキング」 09年5月月次 <最大パネル>
その他パーツの09年5月の機種別販売台数ランキングを見てみると、上位10製品のうち6製品でシリコングリスに関連したモノがランクインしており、ある種圧倒的な存在感を示している。ランキングの傾向としては、熱の伝わりを良くする成分を配合した、ハイエンドタイプがよく売れているようだ。
AINEX「AS-05」
例えば、2位のAINEX「AS-05」や、3位のバリューウェーブ「SG-77001」などは、グリスとしては高価格帯に位置する製品。こういった製品は、熱の伝わりが良い銀を配合しており、シリコングリスの性能を測る指標である熱伝導率をみてみると「AS-05」が9.0W/m・K、「SG-77001」は8.2W/m・Kと共に高い熱伝導率を示している。
バリューウェーブ「SG-77001」
4位のAINEX「AS-04」も熱の伝わりが良い素材である、酸化アルミニウムや酸化亜鉛などを配合している。熱伝導率は5.1W/m・Kと「AS-05」や「SG-77001」に比べると低いが、通常のシリコングリスよりは熱伝導率が高く熱の伝わりは良い。
AINEX「AS-04」
また、シリコングリスは極端に厚く塗ったり、薄く塗ったりしてしまうと、冷却性能が落ちてしまう。そのため、グリスそのもの以外にも、上手に塗布するためのグッズとして、10位に入ったバリューウェーブの「HR-055」のような、シリコングリス用へらなど関連製品も人気があるようだ。
バリューウェーブ「HR-055」
このほか、トップ10にはランクインしなかったが、シリコングリス以外に熱伝導シートというアイテムもあり、こちらはCPUとCPUクーラーの間に貼り付けるだけで、シリコングリスと同等の働きをするため、シリコングリスがうまく塗布できないユーザーに重宝されている。
Ainexの熱伝導シート「HT-05」
近年はCPUの高性能化が目覚しく、PCの性能向上に大きな役割を果たしている。しかし、高性能になるということは、それに伴って発熱量が増加することを意味する。そこで、効率的よく冷やすことがより重要になるわけだ。たかがグリスと思ってしまいがちだが、その役割は大きく、ランキングに関連製品を含めて多く食い込んできているのも納得がいく。
CPUに限らずグラフィックボードやマザーボードといったパーツの高性能化も進み、発熱量も増加していることから、以前にも増して冷却性能は重要になってきている。シリコングリスを変えるだけで、手軽に冷却性能をUPすることができる。夏を前に「熱」に不安があるなら、一度試してみてはどうだろうか。(BCN・大滝和伸)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。