Mozilla、次期Webブラウザ「Firefox 3.5」正式版を日本時間7月1日にリリース
冒頭で瀧田佐登子・Mozilla Japan 代表理事は、「1年前の『Firefox3』をリリースした辺りからブラウザが処理スピードを競い始め、この1年はブラウザの激戦区だった。もう「早い」「安全」「使いやすい」のは当たり前。『Firefox 3.5』には、『Webの制約を解放』『自由で創造性豊かなWebを実現』というメッセージを込めた」と語った。
「Firefox 3.5」の主な新機能としては、HTML5のVideo/Audioタグに対応し、オープンな動画コーデック「Ogg Theora」と音声コーデック「Ogg Vorbis」をサポート。HTML5のVideoタグ、Audioタグを使ってWebページに埋め込まれたビデオをプラグインを追加することなく再生できる。また、JavaScriptで直接操作して、再生中のビデオの中で画像を回転させるといったことも可能になった。これにより、今までデスクトップのアプリケーションで行っていた動画を解析して編集するといった作業も、Web上でできるようになった。
Mozilla Japan テクニカルマーケティングの浅井智也氏は、「Open Video」をサポートした理由について「現在の『MPEG-4』などは多数の特許技術を含んでおり、自由なサービスを提供できない。特許問題の生じない形式『Open Video』が必要だっだ」と説明した。
浅井智也・Mozilla Japan テクニカルマーケティング
スピード面では、新たなJavaScriptエンジン「TraceMonkey」を搭載。実行速度が向上し、旧バージョンの「Firefox 3」よりも2倍以上、「Firefox 2」と比較すると10倍の高速化が行われた。
また、グーグルのロケーションサービスを標準で利用した「位置情報通知機能」を備え、自分がいる場所をWebサイトに知らせることで、サイト側がその情報を利用して地域の地図など、位置情報と連携したサービスを提供できるようになった。なお、ユーザーの許可なく現在地を知らせることはない。
そのほか「プライベートブラウジング」機能を搭載。「ツール」メニューから「プライベートブラウジングモード」を実行すれば、以後表示したページの履歴やCookieは一切保存されない。さらに、閲覧した期間やサイトを指定して履歴を消去するなど、プライバシーデータをユーザーが自分で管理できるようにしている。
さらに、CSS3のダウンロードフォントに対応。Webデザイナーがページの書式設定で任意のフォントファイルを指定すれば、ユーザーのコンピューター上にそのフォントがインストールされていなくても、ページの読み込み時にダウインロードしてデザイナーの意図通りに表示できる。浅井氏は、「『Firefox 3.5』は、『Webではできない』という制約があるのはどこかを突き詰めて、必要な機能を実装した」と開発意図を語った。