3月の液晶テレビ販売台数、年末を上回り過去最高を記録

特集

2009/04/22 16:30

 09年3月の液晶テレビの販売台数が、昨年12月の年末商戦を上回り、06年12月以降、過去最高を記録したことが「BCNランキング」で明らかになった。2年後のアナログ放送停止に向けて、地デジの買い替え需要が再び勢い付いてきた可能性が高い。

全サイズ帯で前年同月比2桁増を記録



 06年12月の販売台数を100とした指数で液晶テレビの動きをみると、年末商戦の本番である12月が最大のピークであることがわかる。12月を過ぎると、翌年3月に第2のピークを迎え、12月になると、再び上昇するといった動きをこれまで繰り返してきた。


 3月は、メーカーや販売店の決算時期、旧モデルの値下がりなどが重なり、消費者の価格メリットは高まるものの、販売台数が12月を超えることはなかったが、今年はそのパターンが崩れた。今年3月は全サイズ帯で前年同月比2ケタ増を記録。例年通り新生活需要で販売を伸ばしたほか、小型から大型まで幅広い需要を獲得した。

 20V型未満は前年同月比で37.5%増、20-30V型未満は23.8%増で、ひとり暮らしを始める人々などによる小型需要を反映。人気サイズの32V型と37V型を含む30-40V型未満は44.6%増と1.5倍近い伸びを示した。また、大型サイズも40-50V型未満が37.4%増と需要を大幅に拡大、50V型以上も19.2%増と躍進した。

 そのほか前年の傾向では、大型サイズの中で12月よりも3月に台数を伸ばしたサイズはなかったが、今年の3月は、42V型が昨年12月並の販売台数を確保。価格下落により買い得感が高まったことから、年末に購入を控えた消費者を掴んだといえるだろう。また、3月に支給が決定した定額給付金を地デジ対策費用として補うなど、ファミリー層を刺激したとも考えられる。


 4月に入り、省エネ効果の高い地デジ対応テレビなどが実質割り引きになる「エコポイント」の付与が話題にのぼるようになった。政府の09年度補正予算案に盛り込まれ、4月21日には、その予算案成立を前提に5月15日から適用すると発表された。この発表を受け、4月上旬から5月中旬にかけて一時的な買い控えが危惧されるほか、景気後退による夏のボーナス減額も予想されるなど、現時点では決して楽観視できない。しかし、アナログ放送停止までの今後2年間で地デジ対策需要が拡大することは確実。今年3月を機に、再び需要が勢い付いてきた。(BCN・田沢理恵)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。