ボタンもなくした極小「iPod shuffle」の使い道は?
単4形乾電池と同じサイズ――さらに半分になった極小ボディ
何といっても目を引くのは、シンプルかつ小さ過ぎるボディ。高さ45.2mm、薄さ7.8mmという、第2世代「iPod shuffle」と比べても約半分くらいの大きさで、単4形乾電池とほぼ同じぐらいの高さだ。
本体には、再生や早送りなどの操作ボタンは一切なく、デザインはシンプルの一言に尽きる。電源と再生モードを切り替えるためのスイッチ、イヤホンジャック、カバンや洋服に装着するためのクリップが背面に付属するだけだ。カラーバリエーションもシルバーとブラックの2色のみとなり、見た目も操作方法も従来モデルとは大きく変わった。
再生や曲送りといった一般的な操作は、付属イヤホンのコントローラー部で行う。コントローラーといっても、音量調整の「+/-」ボタンと細長く少しヘこんだボタンが1つあるだけ。「再生」や「進む」、「戻る」はこのボタンのみで操作する。
基本的な使い方は、まずスイッチをスライドさせて、電源オフから「ストレート再生」か「シャッフル再生」を選択する。次に、ボタンを1クリックすると音楽が再生され、もう一度クリックすると一時停止する。また、ボタンを連続して2回クリックすると次の曲に進み、3回連続クリックすると前の曲に戻る。このほか、早送りは2クリックの2回目を長押し、巻き戻しは3クリックの3回目を長押しするといった操作方法だ。
このように、すべての操作をイヤホンのコントローラーで行うので、付属のイヤホンか、新型「iPod shuffle」対応コントローラーを搭載したイヤホンまたはヘッドホンでなければ操作できない。いま使っているイヤホンでは使えない場合もあるので、購入の際には注意しよう。
iPodが喋りだす――声で知らせる「VoiceOver」機能
再生面では、今回新たに「プレイリスト」に対応し、グループ化したなかからシャッフル再生することが可能になった。
従来モデルでは、収録する全曲を対象にシャッフルしていたため、膨大な曲のなかから聴きたい曲を再生するのは困難だった。だが、今回「プレイリスト」に対応したことで、「iTunes」上で、あらかじめ曲を「朝用」「トレーニング用」などと分類しておけば、用途や気分に合わせて再生できるようになった。
シャッフル再生の面白さは、普段聴かない曲との「巡り合わせ」にある。しかし、普段聴き慣れない曲が再生された時は、すぐに曲名が思い出せないケースもあるだろう。「iPod shuffle」シリーズはディスプレイがないため、その場で曲名やアーティスト名を確認することはできなかった。
しかし、新型「iPod shuffle」は、音声でいま聴いている曲のタイトルやアーティスト名を音声で読み上げる「VoiceOver」機能を搭載することで、その弱点を見事に克服した。パソコンなどで採用する「text-to-speech」機能を応用し、音楽管理ソフト「iTunes」に登録してある曲名とアーティスト名を読み上げてくれる。
読み上げる言語は、日本語の曲に対しては日本語、英語の曲の場合は英語を自動的に選択。そのほか、中国語やスペイン語など全部で14か国語に対応する。
音楽再生時にコントローラーのボタンを「長押し」すると、自動的にいま聴いている曲の音量が下がり、アーティスト名と曲名を読み上げる。さらに、長押しするとプレイリスト名の読み上げが始まり、プレイリストの切り替えが可能だ。また、充電が必要な時も音声で知らせてくれる。
これらの新機能を搭載し、従来の1GB・2GBから一気に4GBにメモリ容量も増えたにも関わらず、直販価格で8800円と、1万円を切るコストパフォーマンスは健在だ。このほかの変更点として、専用の「Dockコネクタ」が廃止され、PCとの接続は、本体のイヤホンジャックに付属のUSBケーブルを差し込み、PCのUSBポートに直接つなぐ方式になった。
今回の新型「iPod shuffle」は、極小ボディが注目されているが、イヤホンコントーラーやプレイリスト管理、「VoiceOver」機能など、操作性の向上が最大のポイントといえる。とくに、イヤホンコントローラーは、本体をカバンなどに入れたままでも取り出すことなく操作できるので、かなり便利だ。シンプル過ぎるあまり、一見、使いづらそうなイメージを抱くかもしれないが、2台目のiPodとしてだけではなく、初めてのiPodとしても十分活用できるだろう。(BCN・津江昭宏)
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