PCをあらゆる脅威から守る必需品、総合セキュリティソフトランキング

特集

2009/03/30 19:00

 今の季節、新生活に向けてPCの購入を検討している人も多いだろう。PCとセットで買い求めたいものといえば、セキュリティソフトだ。エントリーユーザーには、インストールするだけでウイルスやスパイウェア、フィッシング詐欺などから、トータルでPCを守ってくれる総合セキュリティソフトがオススメ。そこで、いま支持されている製品はどれなのか。「BCNランキング」でチェックした。

09年度版のキーワードは「高速・軽量化」



 近年、ウイルスやスパイウェアは日々新種が発見されている。それらは、普段使っているメールやWebサイトなどを介してPCの中に入り込み、PCを壊したり、個人情報を盗んだりする。PCを守るには、購入後すぐにセキュリティソフトを導入することが大切だ。エントリーユーザーは、難しい設定なしで、ウイルスやスパイウェアからフィッシング詐欺、スパムメールなどのインターネット犯罪対策まで、さまざまな脅威からPCと個人情報を守ってくれる総合セキュリティソフトを選択しよう。

総合セキュリティソフト シリーズ別販売本数ランキング
順位 メーカー名 シリーズ名
1 トレンドマイクロ ウイルスバスター2009
2 ソースネクスト ウイルスセキュリティZERO
3 シマンテック ノートン インターネットセキュリティ 2009
4 ジャストシステム Kaspersky Internet Security 2009
5 シマンテック ノートン 360 バージョン2.0
6 マカフィー マカフィー・インターネットセキュリティ 2009
7 イーフロンティア ウイルスキラーゼロ インターネットセキュリティ
8 キヤノンITソリューションズ ESET Smart Security
9 マカフィー マカフィー・ウイルススキャンプラス 2009
10 イーフロンティア ウイルスキラー インターネットセキュリティ 2008

「BCNランキング」 09年2月月次 <最大パネル>



 09年2月のシリーズ別販売本数ランキングを見ると、トップ10のうち5製品が最新の09年度版だ。1位は、トレンドマイクロの「ウイルスバスター2009」。新機能として、WebメールやWebサイトのログイン時、オンラインショッピング時に入力するパスワードを暗号化する「キー入力暗号化」機能を搭載。個人情報が外部から読み取られることを防ぐ。また、メール内のURLの安全性を診断し、危険と判断した場合は迷惑メールフォルダに移動する「リンクフィルタ」機能などを追加した。

ウイルスバスター2009


 2位は「更新料0円」が特徴のソースネクスト「ウイルスセキュリティZERO」。期間課金制ではなく、マイクロソフトのOSサポート期間に対応し、Windows Vista Businessなら2017年まで、Home Premiumは2015年まで、Windows XPなら2014年まで更新なしで使用できる。また、4月3日にはWindows 7対応製品を発売予定。機能は自動アップデート制で、いつでもその時点の最新版を使用することが可能だ。USBメモリタイプもあるので、光学ドライブのないミニノートPCなどでもインストールできる。

左=ウイルスセキュリティZERO(USBメモリタイプ) 
右=ノートン インターネットセキュリティ 2009


 3位にはシマンテックの「ノートン インターネットセキュリティ 2009」がランクインした。リスクにさらされるアプリケーションだけをスキャンする「ノートン インサイト」機能で、スキャンスピードが従来製品に比べて大幅にアップ。さらに、5-15分ごとに定義ファイルを最新の状態に更新する「パルス アップデート」機能を備える。この更新頻度が高いほど、新しいウイルスにもよりすばやく対応できる。

 そのほか、4・6・9位にも09年度版がランクインした。どれもメモリ使用量を小さくしたり、インストールやスキャン時間を短縮したりして、08年度版以上に速さと軽さにこだわっている。これなら、インストールしてPCの動作が重くなってしまう心配もなさそうだ。

現在の首位はトレンドマイクロ。シマンテックは追い上げをみせるか?



 これからの時期は、PCの新規購入や買い替えに合わせてセキュリティソフトが売れるいわば商戦期。今回、製品別のランキングでは、1位にトレンドマイクロ、2位にソースネクストを挟み、3位にシマンテックのソフトがランクインしたが、メーカー別の順位はどうなっているのだろう。

 02年に「BCN AWARD」にセキュリティソフト部門が誕生して以来、7年連続で年間の販売本数1位を獲得してきたのはシマンテックだった。しかし、08年の結果をまとめた「BCN AWARD 2009」で、初めてトップがトレンドマイクロに入れ替わった。09年2月のメーカー別販売本数シェアをみても、1位はトレンドマイクロで33.9%、シマンテックは26.2%で2位。さらに、その後ろにはソースネクストが24.8%で迫っており、シマンテックは今年に入ってからも厳しい状況が続いているようだ。


 では、トップを行くトレンドマイクロと、それを追うシマンテックは、春の商戦をどのように戦うのか。

 トレンドマイクロは、現在の好調を「新製品開発の際、ユーザーを集めての座談会やネットでのヒアリングなどを行い、ニーズを盛り込めたのが良かったのでは」と分析。今後は「PCとインターネット関連のトラブルに電話とメールで対応する『PCサポート』と、クレジットカードの不正使用などを年間最高100万円まで保証する『保険』をセットにした初心者向けパッケージ『ウイルスバスター2009+保険&PCサポート』に、初心者マークを印字して販売する」と、エントリーユーザーをターゲットに、さらなるシェア獲得を目指す。

 一方、トレンドマイクロを追うシマンテックも「ユーザーを保護する最高水準のセキュリティを提供していると確信している」と自信を見せる。3月19日に発売した、総合セキュリティとPCのチューンナップ機能を備える「ノートン 360 バージョン 3.0」の初回3万本には、PCのトラブルを遠隔サポートによって無料で解決するサービスを付加して販売。また、「日本を代表するブロガーの中川翔子さんに、昨年に引き続き広告やWebサイトに登場してもらい、ノートン製品をPRしていく」と、次々にキャンペーンやPR活動を打っていく予定だ。

 同社が力を入れる二つ目の総合セキュリティソフト「ノートン 360」の新バージョン発売で、製品、メーカーシェアともに追い上げをみせるのか、注目したいところだ。

 PCのセキュリティを脅かすウイルスやインターネット犯罪は、日々多様化している。単機能のセキュリティソフトでは、すべての脅威からPCを守ることはできない。PCを購入したら、まず総合セキュリティソフトを導入して、PCの安全を確保しよう。(BCN・武井美野里)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。