プリントできるデジカメ「xiao」を結婚式に持っていってみた

レビュー

2009/03/25 11:45

 タカラトミーが昨年末に発表した、プリンタ内蔵のデジタルカメラ「xiao(シャオ) TIP-521」。写真を撮ったその場でプリントできるという画期的な製品だ。その目的は、コミュニケーションツールとして写真の楽しみ方を提供するというもの。この「xiao」を結婚式という格好の場で試せる機会があったので、遅ればせながら使ってみた。


プリンタにカメラが付いた、それが「xiao」



 「xiao」の特徴は、本体にプリンタを内蔵し、撮った写真をその場で印刷できるというところだ。ポラロイドカメラやインスタントカメラ「チェキ」と同じような感覚で使える製品だが、カメラ部分がデジタルのため、一度撮影した写真は、データを消さない限り何度でも印刷できる点が大きく違う。

 3×2インチの専用用紙を熱で発色させて印刷する仕組みのため、インクは不要。また、専用用紙の裏側にはシール加工が施されており、印刷した写真をそのままシールとして貼ることもできる。

専用用紙は本体を開いてセットする

 タカラトミーによると、「写真は撮った後、プリントして人に配るのが楽しい」という。その楽しみを一貫して提供できるよう開発したのが「xiao」だ。そのためか、パッケージには「カメラ付きプリンター」と表記され、カメラ機能より、プリンタとしての側面が強調されている。

 最新のデジタルカメラに比べると、「xiao」のカメラ機能は、有効画素数500万、ズーム機能はデジタル式で4倍まで、撮影可能な写真サイズはVGA(640×480ピクセル)/3M(2048×1536)/5M(2560×1920)の3種類のみ、とかなりシンプルだ。

 スペックだけ見ると物足りない気がするのだが、かつてプリクラに熱中したと思われる20-30代の女性を中心に売れているという。同社では「日記や日々の小さな出来事を記録したり、旅先で出会った人とのコミュニケーションツールとして利用しているのでは」と分析する。

盛り上げ役としての存在感は充分、課題はバッテリーか



 なるほど「コミュニケーションツール」か、ということで、ちょうど結婚式に招待されていたため「xiao」を持っていって使ってみた。

式場となったホテル
(左から)「xiao」で撮影したデータと、実際にプリントした写真をスキャンしたもの

 結婚式の会場は九州の福岡。予報だと当日の天気は雨だったが、朝方にパラパラと降ったくらいで、11時頃からは青空が広がりいい天気になった。

 さて、会場に向かおうとして気付いたのが「xiao」の大きさ。基本的に手ぶらで行動するのが好きな筆者は、身ひとつで出かけようとしたのだが、「xiao」の本体はスーツのポケットには入らなかった。とはいっても、手帳大のサイズなので決して大きいというわけではなく、普段カバンに入れて持ち歩く分には気にならないだろう。

握った感じが非常に似ていたiPhoneと比較してみた

 さて、会場に着くと新郎新婦がこの日のために手作りしたというぬいぐるみが出迎えてくれたので、記帳もそこそこに早速撮影する。しかし、披露宴が始まると、場が場だけになかなか撮影する機会に恵まれない。

お出迎えのウサギのぬいぐるみ

 新婦がお色直しで退席した時を見計らい、片っ端から写真を撮ってみると、俄然その存在感は大きい。撮影時、周囲の食いつきは上々で、撮ったそばから印刷されそうになったのだが、後述するバッテリーの問題があったため、とりあえずは撮影に集中することに。

 「xiao」で写真をプリントする際は30-40秒ほどかかるのだが、印刷中の「ジー」というレトロな音とともに皆で待っていると不思議と退屈しなかった。合間には昔話に花が咲いたり、初対面の人が興味深そうに話しかけてきてくれたりと、確かにコミュニケーションの道具として役立ってくれる。

 欲をいえば、記念としてその場で撮影した全員に写真をプリントして渡せればよかったのだが、バッテリーがもちそうになかったため2、3枚で断念。「xiao」はフル充電の状態で一度に20枚までしかプリントできず、撮影しながらの印刷となるとすぐにバッテリーが切れそうだったためだ。一応、予備バッテリーも発売されているが、後継機種を出す際にはバッテリーの持ちをぜひ改善してほしい。

 さて、実際にその場を盛り上げてくれたとはいえ、せっかく撮った写真をそのままにするのはもったいない。なにより「写真はプリントするまでが楽しい」という製品のコンセプトにも反するので、撮影した友人たちにメッセージをもらい、プリントした写真とあわせて新郎新婦への簡単なメッセージアルバムを作ってみた。


スナップとして使うとなんだか懐かしい写真に



 招待された結婚式で使って見て、場の盛り上げ役として「xiao」が非常に使えるということはわかった。一方、普段のスナップ写真用として使おうとした時、写真の「質」という面で見ると、下のサンプルを見てもらえばわかるように必ずしも高いとはいえない。しかし、好みは分かれるかもしれないが「味」という面から見るとこれがなかなか面白い。トイカメラ風というのだろうか、なんだか実家のアルバムからはがしてきた様な味のある写真に仕上がる。

プリントするとちょっとレトロな感じに(スキャンしたものを掲載)

 印刷時には、画像を2-64分割する「マルチ」、写真をランダムに選んで12分割プリントできる「シャッフル」、白黒やセピア、モザイクなどの特殊効果を加える「エフェクト」、周りに書き込み可能な白枠を付ける「フチ」といった編集機能も備え、なかなか楽しめる。

 また、「xiao」は、その場で撮った写真のプリントだけではなく、携帯電話からの赤外線転送や、4GBまでのSD/SDHCメモリーカードからの印刷にも対応する。他のデジタルカメラで撮った写真のプリントはもちろん、他のプリンタで印刷した写真と、「xiao」で印刷した写真を見比べてみても面白いかもしれない。

 実際に使ってみると、このカメラの本質は、なんといってもすぐにプリントできるという部分だと思える。画質にこだわりたいという人には余り向かないかもしれないが、大勢で楽しむということを主眼においた場合、その場でプリントできるというのはとても大きなポイントだ。まさに「コミュニケーションツール」として、非常に盛り上がれるプリンタ、もといカメラである。

 なお、タカラトミーでは、この「xiao」を3月26-29日に東京ビッグサイトで開催されるアジア最大級の写真・映像の総合展示会「フォトイメージングエキスポ2009」に出展する予定。興味のある方はブースをのぞいてみてはどうだろう。(BCN・山田五大)