「手乗りプロジェクター」主要5モデルを比較、連れ出したい一台を選ぶ
手のひらに乗るほどの小さなプロジェクターに注目が集まっている。カバンやポケットに入れて外に持ち出し、iPodやノートPCなどのモバイル端末とつなげば、手軽に大画面の映像を出力できる。昨年秋頃からメーカー各社が参入したことでラインアップが豊富になってきた。そこで、連載「ミニプロジェクターって一体何者? レビューで見る画質と使い勝手」第1回は、主なメーカー5モデルのスペックと使用感を比較し、項目別に優れたモデルを選定した。
今回取り上げるのは、アドテックの「MP15Aシリーズ」、オーエスの「PK101」、海連の「KR-PRO920M」、キャストレードの「CV-MP01」、住友スリーエム(住友3M)の「MPro110」。画質や携帯性、操作性などをチェックしよう。
投影方式はオーエスの「PK101」が「DLP」、ほかの4モデルは「LCOS(Liquid Crystal On Silicon)」を採用する。「DLP」とは、テキサス・インスツルメンツ製のチップを半導体に用いたもので、チップ上の小さな鏡に光を反射させて投影する。一方「LCOS」は、基板の液晶パネルに光を反射させて投影する仕組み。
解像度はオーエスの「PK101」のみ480×320で、ほかの4モデルは640×480と共通。輝度はいずれも10ルーメン前後で大きな差はない。ただ、コントラスト比はオーエスが1000対1と特出しており、他のモデルをリードしている。そのほかの4モデルは100-200対1程度。いずれもアスペクト比4対3で出力できる。
画面サイズは、海連の「KR-PRO920M」は最大25型だが、それ以外は最大50-60型程度に対応する。焦点調節ダイヤルは5モデルすべて装備する。ただ、いずれのモデルも、画面の明るさはサイズを大きくするのに比例して暗くなっていく。あくまで目安だが、A3程度であればどのモデルも鮮明に出力することができた。また、部屋の明るさや出力先のスクリーン、壁の材質によって画面の見やすさは変わってくるので気をつけたい。
持ち運びの際に気になるサイズと重さも比べてみよう。もっとも小さくて軽いのが、キャストレードの「CV-MP01」でわずか90g。小ぶりのマウスくらいの大きさだ。一番大きくて重いのは、海連の「KR-PRO920M」で190g。目覚まし時計くらいの大きさだ。そのほかの3モデルは、携帯電話をひとまわり大きくした程度で、重さは100g台半ば。
ミニプロジェクターは外出先で使うことを想定しているため、電源に充電式バッテリーを採用しているかどうかが使い勝手を左右する。オーエスの「PK101」と住友3Mの「MPro110」はバッテリーを搭載する。駆動時間はおよそ1-2時間程度。一方、海連の「KR-PRO920M」とキャストレードの「CV-MP01」の電源はACアダプタなので、ワイヤレスでは使えない。なお、アドテックの「MP15Aシリーズ」はバッテリーとACアダプタどちらも対応する。
入力端子はいずれもコンポジット端子に対応し、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯オーディオや携帯電話などとつなぐことができる。また、アドテックの「MP15Aシリーズ」と海連の「KR-PRO920M」はD-sub15端子、住友3Mの「MPro110」はVGA端子を装備するので、PCとも接続可能。ビジネスシーンでのプレゼンテーションに活用できる。
このほか、便利な機構として三脚穴がある。ミニプロジェクターは通常のプロジェクターと異なり、投影角度を調節できる脚部を備えていない。また、本体がとても小さいため、本体側面の各種端子にAVケーブルや電源ケーブルをつなぐと、本体が浮くなどして不安定になる場合がある。
そこで三脚穴があれば、本体を三脚にしっかり固定することができる。投影角度の微調節もしやすい。三脚穴は、キャストレードの「CV-MP01」以外はすべて備えている。なお、オーエスの「PK101」は付属アダプタを取り付けてから使用する。
さらに、スピーカーを搭載していると、音声付きの動画が楽しめる。住友3Mの「MPro110」以外の4モデルはモノラルスピーカーを搭載する。出力はいずれも1W以下だが、海連の「KR-PRO920M」とキャストレードの「CV-MP01」は音量を手動で調節できるので便利だ。
ちなみに、モバイル端末としてやはり気になるのが外観のデザイン。キャストレードの「CV-MP01」はポップなブルーを採用するが、そのほかはブラックやシルバー、ホワイトを基調としたシャープな仕上がりだ。スペックと合わせて検討しよう。
上記の比較を基に、「画質」「携帯性」「操作性」という3つの観点で優れたモデルをそれぞれ1機種選んでみた。画質はオーエスの「PK101」がもっともきれい。明るく、色鮮やかに映し出すことができ、画面がややワイドに出力されるで見やすかった。
携帯性に優れているのは、キャストレードの「CV-MP01」。本体が小さくて軽いのに加え、男女問わず持ち歩けるかわいらしい外観のデザインがよい。また、操作性については、アドテックの「MP15Aシリーズ」が優れていた。電源にバッテリーとACアダプタ両方を採用するほか、入力端子を2つ装備し、さまざまなモバイル端末と接続できる便利さが評価できる。
これらの評価を参考に、ミニプロジェクターをビジネス、プライベートで活用してみてはいかがだろうか。次回は、ミニプロジェクターでバッテリーを内蔵する3モデルのレビューから、個別の特徴をチェックする。(BCN・井上真希子)
今回取り上げるのは、アドテックの「MP15Aシリーズ」、オーエスの「PK101」、海連の「KR-PRO920M」、キャストレードの「CV-MP01」、住友スリーエム(住友3M)の「MPro110」。画質や携帯性、操作性などをチェックしよう。
画面の見やすさ
投影方式はオーエスの「PK101」が「DLP」、ほかの4モデルは「LCOS(Liquid Crystal On Silicon)」を採用する。「DLP」とは、テキサス・インスツルメンツ製のチップを半導体に用いたもので、チップ上の小さな鏡に光を反射させて投影する。一方「LCOS」は、基板の液晶パネルに光を反射させて投影する仕組み。
解像度はオーエスの「PK101」のみ480×320で、ほかの4モデルは640×480と共通。輝度はいずれも10ルーメン前後で大きな差はない。ただ、コントラスト比はオーエスが1000対1と特出しており、他のモデルをリードしている。そのほかの4モデルは100-200対1程度。いずれもアスペクト比4対3で出力できる。
画面サイズは、海連の「KR-PRO920M」は最大25型だが、それ以外は最大50-60型程度に対応する。焦点調節ダイヤルは5モデルすべて装備する。ただ、いずれのモデルも、画面の明るさはサイズを大きくするのに比例して暗くなっていく。あくまで目安だが、A3程度であればどのモデルも鮮明に出力することができた。また、部屋の明るさや出力先のスクリーン、壁の材質によって画面の見やすさは変わってくるので気をつけたい。
メーカー | アドテック | オーエス | 海連 | キャストレード | 住友3M |
---|---|---|---|---|---|
シリーズ・ 機種名 | MP15Aシリーズ | PK101 | KR-PRO920M | CV-MP01 | MPro110 |
投影方式 | LCOS | DLP | LCOS | LCOS | LCOS |
解像度 | 640×480 | 480×320 | 640×480 | 640×480 | 640×480 |
輝度 | 15ルーメン | 10ルーメン | 10ルーメン | 10ルーメン | 8ルーメン |
コントラスト比 | 200対1 | 1000対1 | 100対1 | 80対1 | 80対1 |
アスペクト比 | 4対3 | およそ4対3 | 4対3 | 4対3 | 4対3 |
画面サイズ | 4-60型 | 6-66型 | 3.5-25型 | 10-50型 | 8-48型 |
入力端子 | コンポジット D-sub15 | コンポジット | コンポジット D-sub15 | コンポジット | コンポジット VGA |
スピーカー | 0.3W×1 | 0.5W×1 | 1W×1 | 0.5W×1 | ― |
サイズ (幅×高さ ×奥行き、mm) | 27×90×58 | 51×17×105 | 90×44×80 | 40×59×57 | 115×22×50 |
重さ(g) | 147 | 120 | 190 | 90 | 160 |
電源 | バッテリー ACアダプタ | バッテリー | ACアダプタ | ACアダプタ | バッテリー |
バッテリー 駆動時間 | 40分 | 2時間 | ― | ― | 1時間 |
三脚穴 | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
実勢価格 (*直販サイトでの価格) | 3万9800円(*) | 5万円前後 | 4万1790円 | 2万5000円前後 | 5万3800円前後 |
※各社資料を元に作成
持ち運びのしやすさと使いやすさ
持ち運びの際に気になるサイズと重さも比べてみよう。もっとも小さくて軽いのが、キャストレードの「CV-MP01」でわずか90g。小ぶりのマウスくらいの大きさだ。一番大きくて重いのは、海連の「KR-PRO920M」で190g。目覚まし時計くらいの大きさだ。そのほかの3モデルは、携帯電話をひとまわり大きくした程度で、重さは100g台半ば。
ミニプロジェクターは外出先で使うことを想定しているため、電源に充電式バッテリーを採用しているかどうかが使い勝手を左右する。オーエスの「PK101」と住友3Mの「MPro110」はバッテリーを搭載する。駆動時間はおよそ1-2時間程度。一方、海連の「KR-PRO920M」とキャストレードの「CV-MP01」の電源はACアダプタなので、ワイヤレスでは使えない。なお、アドテックの「MP15Aシリーズ」はバッテリーとACアダプタどちらも対応する。
入力端子はいずれもコンポジット端子に対応し、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯オーディオや携帯電話などとつなぐことができる。また、アドテックの「MP15Aシリーズ」と海連の「KR-PRO920M」はD-sub15端子、住友3Mの「MPro110」はVGA端子を装備するので、PCとも接続可能。ビジネスシーンでのプレゼンテーションに活用できる。
あると便利な三脚穴とスピーカー
このほか、便利な機構として三脚穴がある。ミニプロジェクターは通常のプロジェクターと異なり、投影角度を調節できる脚部を備えていない。また、本体がとても小さいため、本体側面の各種端子にAVケーブルや電源ケーブルをつなぐと、本体が浮くなどして不安定になる場合がある。
そこで三脚穴があれば、本体を三脚にしっかり固定することができる。投影角度の微調節もしやすい。三脚穴は、キャストレードの「CV-MP01」以外はすべて備えている。なお、オーエスの「PK101」は付属アダプタを取り付けてから使用する。
さらに、スピーカーを搭載していると、音声付きの動画が楽しめる。住友3Mの「MPro110」以外の4モデルはモノラルスピーカーを搭載する。出力はいずれも1W以下だが、海連の「KR-PRO920M」とキャストレードの「CV-MP01」は音量を手動で調節できるので便利だ。
ちなみに、モバイル端末としてやはり気になるのが外観のデザイン。キャストレードの「CV-MP01」はポップなブルーを採用するが、そのほかはブラックやシルバー、ホワイトを基調としたシャープな仕上がりだ。スペックと合わせて検討しよう。
3項目別の優秀モデルはコレ!
上記の比較を基に、「画質」「携帯性」「操作性」という3つの観点で優れたモデルをそれぞれ1機種選んでみた。画質はオーエスの「PK101」がもっともきれい。明るく、色鮮やかに映し出すことができ、画面がややワイドに出力されるで見やすかった。
携帯性に優れているのは、キャストレードの「CV-MP01」。本体が小さくて軽いのに加え、男女問わず持ち歩けるかわいらしい外観のデザインがよい。また、操作性については、アドテックの「MP15Aシリーズ」が優れていた。電源にバッテリーとACアダプタ両方を採用するほか、入力端子を2つ装備し、さまざまなモバイル端末と接続できる便利さが評価できる。
※BCN編集部調べ
これらの評価を参考に、ミニプロジェクターをビジネス、プライベートで活用してみてはいかがだろうか。次回は、ミニプロジェクターでバッテリーを内蔵する3モデルのレビューから、個別の特徴をチェックする。(BCN・井上真希子)