リニアPCMレコの金額構成比が3割に拡大、上位2社の秋モデルが後押し

特集

2008/12/25 19:20

 リニアPCMレコーダーの販売金額構成比が、ICレコーダー全体のおよそ3割を占めるようになった。「BCNランキング」の11月第1週(11月3-9日)以降20%台後半で推移し、12月第3週(12月15-22日)には28.7%まで拡大したもの。ICレコーダーの中でも、高音質で臨場感たっぷりに録音できるのがウケて人気を集めているリニアPCMレコーダー。特に、オリンパスと三洋電機が10月と11月に相次いで発売した新モデル2機種が好調で、金額構成比を押し上げた。

首位は三洋、2位のオリンパスは3位以下から一歩リード




 現在、リニアPCMレコーダーのトップメーカーは三洋。12月第3週では台数で51.8%、金額では40.5%を占めている。一方、2位はオリンパスだが、10月第1週(10月6-12日)以降、3位以下のメーカーを引き離して成長を続けている。12月第3週には台数で15%、金額では20.9%を占めるまでになった。


1位は三洋のAM/FMラジオチューナー搭載モデル



 首位の三洋が11月に発売した「ICR-RS110MF(S)」は、発売直後から急激にシェアを伸ばし、12月第3週の機種別販売台数シェアで14.5%、1位を獲得した。AM/FMラジオチューナーを搭載する。AM/FMアンテナとスピーカー、充電器の3つを兼ねるクレードルを付属し、従来のモデルにはなかった据置型という新しい使い方を提案している。

 「AMとFMどちらも聴ける便利さから50-70代の中高年に人気がある。ラジオの各種機能を充実させて使いやすくしたほか、充電器(クレードル)を同梱したことで、電池の残量を気にせず自宅で語学講座などを録音できる点が評価されている」と三洋の広報は分析する。


 一方、オリンパスが10月に発売した「DS-71」はシェアは9%で4位にランクイン。ICレコーダーのブランド「ボイストレック」として初めてリニアPCM形式の録音に対応したモデル。発売後は10%前後を維持し、好調な滑り出しを見せている。

 「DS-71」が売れている理由についてオリンパス広報は、「(同社の)リニアPCMレコーダーの中では低価格なモデルなので、ユーザーが購入しやすかったと考えられる。加えて、『ボイストレック』ブランドの認知度の高さも奏功した」としている。

 この2機種の税別の平均価格は、リニアPCMレコーダー全体の税別の平均価格よりも高い。この点が結果的に金額構成比に影響を与えた。

「96kHz/24bit」対応の高音質モデルは3機種ランクイン




 機種別ランキングでトップ10入りしたそのほかのモデルもチェックしておこう。2位と3位は三洋が4月に発売した「ICR-PS182RM(S)」と「ICR-PS185RM(S)」で、シェアは14.4%と9.2%。この2機種は「DS-71」と「ICR-RS110MF(S)」の登場までは1位と2位を維持していたが、秋以降は下降を続けている。

 5位はズームの「HANDY RECORDER H2」で6.8%。楽器の録音に特化した高音質モデルで、マイクの配置を工夫したほか、メトロノームなど音楽専用の機能を豊富に備える。

 ちなみにトップ10の顔ぶれは、三洋が5機種、オリンパスが2機種、ズーム、ローランド、ティアックがそれぞれ1機種。また、録音する際の音質を規定するサンプリング周波数と量子化ビット数別に見ると、高音質な収録が可能な「96kHz/24bit」が3機種、「44.1kHz/16bit」などそれ以外が7機種ランクインした。(BCN・井上真希子)


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