新MacBookレビュー第2弾! キーボードもトラックパッドもイカスぜ

レビュー

2008/11/04 21:00

 店頭でも注目されている新MacBook。常に大勢のお客に囲まれており、実機に触るのに順番待ちをしなくてはならないほどだ。こうした人気は売り上げにも現れている。CPUの動作速度が2GHzの下位モデル「MB466J/A」は、10月第4週(10月20-26日)BCNランキングの販売台数シェアで堂々の9位とトップ10入り。5万円前後の「ミニノートPC」が目立つ中の大健闘だ。

 それではCPU動作速度が2.4GHzの新MacBook上位モデル「MB467J/A」レビューの第2弾。今回は、旧MacBookと比較しながら、新MacBookのスペック、操作性を検証してみた。



マウス不要で自在な操作が可能な新トラックパッド



 モバイル用として使用する場合、頻繁に触るトラックパッドの使い心地はどうだろう。旧MacBookのトラックパッドでは、2本指のジェスチャーでスクロール操作ができたが、新MacBookでは、3本指や4本指で、上下または左右にスライドさせるスワイプでの操作もできる。例えば4本指で上下にスワイプするとExposeが起動して、開いているファイルやフォルダがデスクトップにサムネイル状態で一覧表示される。

滑らかな「トラックパッド」

 Windows Vistaにも「Windowsフリップ3D」という機能があるが、新MacBookの「マルチタッチトラックパッド」での4本指スワイプは、それよりももっと直感的に、素早く目的の作業にジャンプできる画期的なものだ。こうしたさまざまなマルチタッチジェスチャーは、ものの数時間で自在に使いこなせるようになる。

 「マルチタッチトラックパッド」を2本指でタップすると、マウスの右クリックと同じ操作を行うこともできる。このとき、2本の指の開き具合やタップしたときの接地間隔で、MacOSが2本指タップか1本指タップかを判断してくれる。例えば、親指を「マルチタッチトラックパッド」に触れたまま、人差し指で少し離れた位置をタップすると、それは1本指タップと判断される。

「システム環境設定」でマルチタッチジェスチャーの操作方法を確認できる

 指先のジェスチャーに対するMacOSの判断が、なんともユーザーフレンドリーなのだ。こちらのやりたいことを、マシンが汲み取ってくれるかのような親しみやすさを覚える。旧MacBookではアップル純正のマウスを常用している筆者だが、新MacBookのマルチタッチジェスチャーに慣れると、マウスの出番は完全になくなってしまった。

グラフィック機能の進化で快適・快速を実現!



 さて、目に見えないところでの新旧MacBookの一番の違いといえば、システムバスの速度とグラフィックス機能だろう。実はこれらも、決して目に見えないわけではない。新MacBookは、あらゆる面で動作のキビキビ感が旧MacBookを上回っている。3Dゲームやベンチマークソフトで確認するまでもなく、日常的な操作でレスポンスが速くなっていることを十分体感できるはずだ。

 試しに、米アップルのQuickTime Guideサイトにある1280×720ピクセルのHDムービーを再生してみた。新MacBookのCPU稼働率は、50%以下だったが、旧MacBookの稼働率は120%を超えてしまった。つまり、それだけNVIDIA GeForce 9400Mのグラフィック機能が、QuickTimeムービーの再生に効果を発揮しているといえるだろう。

上が新MacBookのCPU稼働率、下は旧MacBook

 また、Adobe Photoshop Lightroom 2を使ったRAW現像と、Adobe Photoshop CS3を使った画像補整も試してみた。まず、ライブラリでの一覧表示が高速になったことに驚かされる。そして、トーンカーブを操作したときの変化も、ほとんどタイムラグなく画像に反映された。現像後の画像書き出しも一瞬で、NVIDIA GeForce 9400M搭載の効果を思い知らされた。

新MacBookで、Adobe Photoshop CS3を使って画像補整を行ってみた

 筆者の旧MacBookはBTOでカスタマイズしているので、単純な処理時間の比較はできないのだが、体感的には、新MacBookの写真画像の処理速度は、ひと世代前のMacBook Proに十分匹敵する。デジタル一眼レフカメラのユーザーで、Macを使用している人は少なくないかもしれないが、旧MacBook以前の機種で画像処理にもたつきを感じていた人は、新MacBookを使ったRAW現像や画像補整の快適さに、惚れ惚れしてしまうはずだ。

Adobe Photoshop Lightroom 2でデジタル一眼レフカメラの
RAW画像の現像を行ってみた

抜群にタイピングしやすくなった新キーボード



 最後に、新MacBookのキーボードについても触れておきたい。新旧MacBookでは、キーボードの形状はほぼ同じ。新MacBookのキートップの色はブラックなので、一見すると、旧MacBookのブラックモデルと同じように見える。しかし、実際にタイピングしてみると、その感触がずいぶん違っていることに気づくはずだ。

 新MacBookでは、キートップの中央に微妙なくぼみがつけられているので、指の腹のカーブに絶妙にマッチするようになった。さらに、旧MacBookのキーボードは、押し込んだときの反発が固く、カチャカチャした打ち心地だったのに対し、新MacBookでは、沈み込むような感触になった。表現が難しいのだが、新MacBookのタイピング時の感触は、MacBook Proの感触に限りなく近づいたようだ。

上が旧MacBook、下が新MacBook、中央部がくぼんだ微妙なカーブを描いている

 キーボードの変化は、とくに長文作成作業では影響が大きい。好みの問題もあるが、筆者の場合は、新MacBookだと文字入力がものすごく楽だった。気持ち良くタイプできるし、旧MacBookで頻発していたミスタイプや、キーを打ったのにうまく認識されないといったストレスも、新MacBookでは解消された。このキータッチだけとっても、新MacBookに買い換えたくなってしまうほどだ。同種のキーボードを搭載したWindowsノートPCと比較しても、新MacBookのキーボードは、かなりすばらしい打鍵感触なのではないかと思う。

 このほか、新MacBookの上位モデル(2.4GHzのモデル)には、キーボードのバックライトが搭載されている。周囲の明るさに応じて、キーボードの下に配置された光ファイバーが発光して、キートップの文字・記号のプリントやキーの周囲が光る。

上位モデルはキーボードのバックライトを搭載している

プロとの垣根がなくなった魅力的な新MacBook



 かつて、PowerBookとはデザインもコンセプトも異なるiBookが登場して以来、プロシューマー向けノートと、コンシューマー向けノートは、明確な差別化が図られてきた。しかし、新MacBookファミリーでは、ついにその垣根が取り払われた。新MacBookと新MacBook Proとの違いは、ディスプレイサイズとGPUの違い、FireWire800の有無くらいである。

 総じて、新MacBookの価値が飛躍的に高まった、と言っていいだろう。もう、Macのノートにプロやコンシューマーという違いは存在しない。そう考えると、性能もデザインも新次元の新MacBookは、かなりコストパフォーマンスの高いノートPCだと言える。

 ただ、一方で、相対的に新MacBook Proの魅力が減じられてしまうのは、少々残念だ。それだけ新MacBookが魅力的なわけだが、MacBook Proの次のモデルでは、例えば、Adobe RGB対応のディスプレイを搭載して、アップルの写真管理・編集ソフト「Aperture」の最新バージョンをプリインストールする「Photographer's Edition」がBTOで選べるなどの進化を期待したい。(フリーライター・中村光宏)

■新MacBookの上位モデル「MB467J/A」のおもなスペック
CPU……Intel Core 2 Duo(2.4GHz)
システムバス……1066MHz
メモリ……2GB
HDD……250GB
グラフィック機能……チップ統合型のNVIDIA GeForce 9400M
ディスプレイ……解像度1280×800ピクセルの13.3インチLEDバックライトクリアワイドスクリーン

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