iPodはもういらない? 意外と便利なケータイの音楽再生機能
「着メロ」が原点、いまではケータイの標準機能に
「携帯電話(ケータイ)で音楽」の原点は、「着信メロディ(着メロ)」といわれている。「着メロ」とは、名前の通り、ケータイの着信音として鳴るメロディのことで、ケータイには必ず付いている機能の1つだ。古くは単音のみの再生だったが、三和音や音声対応など急激な進化を遂げ、「着うた」といった音楽データが再生できるようになった。ケータイの高機能化のなかで、着信を知らせる機能から、音楽を再生する機能になったのである。
とくに「ケータイで音楽」を一般的に広めたのは、「au」と言われている。「au」は早くから「着うた」や「着うた フル」といった楽曲配信サービスをはじめ、06年にはPCとケータイを連動させた総合音楽配信サービス「Lismo(リスモ)」をスタート。「Lismo」は、アップルの携帯オーディオ「iPod」の管理ソフト「iTunes」にあたるサービスで、「iPod+iTunes」に慣れた若者を中心に人気を集め、ケータイをオーディオプレーヤーとして活用する「ケータイで音楽」というスタイルを定着させた。
その後、ドコモも音楽配信サービス「Napster(ナップスター)」と提携したサービスを開始したり、ソフトバンクモバイルも「S! ミュージックコネクト」をスタートさせるなど、各社ケータイの音楽環境を整備。端末自体も、ソニーエリクソンモバイル製の「ウォークマン ケータイ」や、アップル製の「iPhone」といったように、音楽再生機能に特化したモデルが次々に登場した。いまでは、シニア向けやキッズ向けなどのコンセプトケータイを除くほぼすべての端末に音楽再生機能が搭載され、ケータイの標準機能といえる。
使い方は携帯オーディオと同じ! 支払いもクレジットカードいらず
音楽再生機能が標準化されたことはわかったが、使用したことがないユーザーも多いはずだ。では、ケータイで音楽を聴くにはどうすればいいのだろうか。
携帯電話に楽曲データを取り込む方法は、PCを使う方法とダウンロードサービスを利用する方法がある。PCを使う方法は、「iPod」や「ウォークマン」などの携帯オーディオと基本的な使い方は同じ。まず、各キャリア・端末専用の管理ソフトをPCにインストールする。管理ソフトに、CDなどから楽曲データを保存。その楽曲データをmicro SD/SDHCカードなどの外部メモリに書き込むか、USBケーブル経由で携帯電話に転送する。あとは、携帯電話の音楽プレーヤー機能を起動させるだけ。携帯オーディオを使ったことがある人なら迷わず使えるだろう。
一方、ダウンロードサービスは携帯電話を使って配信サイトから直接楽曲データを取り込むやり方で、PCを使うよりもさらに簡単。「着メロ」をダウンロードするのと同様に、ダウンロードサイトにアクセスし好きな楽曲を購入する。ダウンロード楽曲は1曲200-400円程度で、1曲150-200円程度の「iTunes ストア」と比べると少し高め。支払いは公式サイトなら、クレジットカードの番号を記入する必要もなくスムーズに決済できる。代金はケータイの利用料金に課金されるので、クレジットカードを持っていない中高生なども購入できる。
約200曲の音楽データが保存できる。
気になる音質だが、音楽ファイルは携帯オーディオと同じWAVやACCなどの圧縮ファイル形式のため、携帯オーディオとさほど変わらない。もし、高音質で楽しみたいのであれば、イヤホンやヘッドホンを変えてみるといいだろう。容量は1曲5MBぐらいなので、1GBのmicroSDメモリカードを使用すれば、200曲近く保存できる。また、もうひとつ気になるバッテリーだが、連続再生時間は平均して20時間ぐらいで、最大85時間を達成しているモデルもある。「電池の消耗が怖い」と思っている人も、通勤・通学などの日常使いで使用する分には、電話やメールと併用しても使っても問題ないバッテリー時間といえる。
最近は、携帯オーディオで音楽を楽しむスタイルが定着しているのが、ケータイを活用することで、荷物を減らすことができたり、イヤホンのせいで着信に気付かなかったということも減る。実は、とてもスマートな使い方なのかもしれない。新たに携帯オーディオの購入を検討していたり、メールや電話以外でケータイの活用法を模索している人であれば、ケータイの音楽再生機能をフル活用してみてはどうだろうか。(BCN・津江昭宏)