ソニーマーケティング、存在感の「復権」目指しBDを武器にする

特集

2008/10/14 16:39

<strong>笠畑恭一郎 ITマーケティング部 プロダクツMK課 統括課長</strong><br />
<br />
 2007年に国内販売10周年を迎えた「VAIO」。今年7月、ソニーはその定義を「Visual Audio Intelligent Organizer(=VAIO)」に変更した。知名度抜群の「バイオ」とは裏腹に、ユーザーにはあまり浸透していない隠されたその意味を、第二のスタートといえる11年目に変えてきた。

●BDとの親和性を武器に

笠畑恭一郎 統括課長

 90年代後半から00年代前半、独特のロゴマークに斬新なデザイン、独自アプリケーションの搭載などで、VAIOは急拡大する国内PC市場を席巻した。「ソニーファン」ならぬ「VAIOマニア」をつくりだしたほどだ。02年の年間販売台数では、BCNランキングでノートとデスクトップともにNo・1を獲得する。だが、その後はNECと富士通、東芝にトップを譲る年が続く。08年1?8月の台数シェア順位も4位。PC市場でソニーは今、かつてほどの存在感を持っていない。

 ソニーが用意した今年の秋冬モデル。それは、そんな低迷を打ち砕きたい思いを感じさせるものだ。10年以上を刻んだ歴史のなかで最多となる32モデルを9月末時点で揃えた。軸にするのはブルーレイディスク(BD)ドライブ搭載機。11機種を用意した。今が旬のミニノートPC分野でもBDドライブ搭載にこだわる。9月30日に小型・軽量シリーズ「type T」で、BD搭載モデルとして世界最小・最軽量機種を発表。ソニーはこれらのラインアップで、全販売台数の約3割をBD搭載製品で占めるつもりだ。

 「高画質な画像、映像を撮影・録画する環境は整ってきた。ただ、その後はどうか。編集して自分好みにアレンジして残すような楽しみ方は浸透していない。映像や静止画、音楽を組み合わせるのに、PCは家電よりも長けている」

 統括課長を務める笠畑恭一郎はBDとPCとの親和性が武器になるとみている。ビデオや写真データ、音楽を組み合わせてショートムービーを簡単に作成できるアプリケーション「VAIO Movie Story」はそれを実現するための代表的な機能という。

 ソニーが強力推進するBDとの組み合わせによる新提案、新定義で復活を期す。(文中敬称略)(取材/田中繁廣 文/木村剛士)

週刊BCN 2008年10月13日付 Vol.1255より転載