ひと味違う実力派ミニノートPC、日本HP「HP 2133 Mini-Note PC」を試した
日本ヒューレット・パッカードが6月に発売したミニノートPC「HP 2133 Mini-Note PC」は、発売後1か月ほどで、あまりの売れ行きに販売を一時中止したほどの製品。5万円台で買えるミニノートPCながらデザインにも気を配っているのが特徴。さらに液晶画面の解像度も高く、こうした点が評価されているようだ。そこで、人気の秘密を確かめるべく、実際に使って実力を試してみた。
●ミニノートPCらしからぬデザインと入力環境を兼ね備えたニクいやつ
「HP 2133 Mini-Note PC」は、同社で初めて8.9型ワイド液晶を採用したモバイルPC。コンパクトでありながら据置型のPCに近いスペックを目指したという。上位機のハイパフォーマンスモデルと、普及機のスタンダードモデルの2種類をラインアップしているが、今回はスタンダードモデルを使ってみた。OSにWindows Vista Home Basic SP1を採用し、VIA C7-M ULV プロセッサ(1.2GHz)、1GBのメモリと120GBのHDDを搭載するモデルだ。
まず目にして感じるのが、ミニノートPCらしからぬメタリックな外観。他メーカーの製品は、ほとんどがプラスチック外装なのに対して、本製品はフルアルミを採用。ミニノートPCは、5万円台という価格を優先するためか、どうしても見た目の面では物足りない部分があった。しかし、この製品も直販サイトでの販売価格5万9850円と、6万円を切る価格ながら、金属の質感が非常によく出ており、高級感のある仕上がりになっている。
また、外装のアルミには傷がつきにくいアルマイト加工を施したほか、ヒンジ部分や力がかかる部分にはマグネシウム合金を採用するなど、本体の堅牢性にも配慮しており、日常的に持ち運ぶユーザーにもうれしい設計だ。
端子類は本体の側面に集められており、右側にEthernet、USB2.0が1基、ExpressCard/54スロット、SDカードスロットを1つずつ備え、左側にミニD-Sub15ピン、USB2.0を1基に、マイク端子とヘッドフォン端子を備えている。前面には電源スイッチのほか、無線機能のスイッチがあり、無線LANとBluetoothのON/OFFを一括で操作できるので便利だ。
さて、本体を開いてみると、横幅をいっぱいまで使ったキーボードが目に入る。キーピッチ(キーの中心から隣のキーまでの距離)は17.5mm。フルサイズのキーボードと比較して92%というサイズで、普段使いのメインPCのフルキーボードと比べてもそれほど違和感は感じない。実際に使ってみると、ほとんどストレスを感じることなくタイピングできた。ただ、ストロークが浅く、あまり押し込んだ感じがしないパタパタとした軽いタッチなので、その点は好みが分かれるかもしれない。
キーボードが使いやすい一方で、気になったのがタッチパッド。横長のタッチパッドの左右にクリックボタンを配した独特の形状をしている。この形がなかなかのクセモノで、右手でマウスパッドを操作していると、かなり手をひねらない限り右親指で左クリックボタンが押せない。筆者の場合は、ネット閲覧時、右の人差し指でパッドの操作をしながら、中指を右クリック用、左手の人差し指を左クリック用にあまらせておくという妙な体勢をとっていた。購入する前に、一度店頭で使い勝手を試しておいた方がいいだろう。
●画面表示は鮮やか、動画視聴はもう一歩?
「HP 2133 Mini-Note PC」の大きな特徴は液晶モニタ。サイズは8.9インチワイドで、画面解像度が1280×768ドット。この解像度はミニノートPCとしては高い数値で、同じくASUSの「Eee PC 901-X」(8.9インチワイド・1024×600ドット)を上回っている。ただ、液晶ディスプレイへの傷を防ぐために表面にアクリルパネルを張り付けているのだが、光沢のある表面に光が反射してしまう。使用中、画面輝度によっては自分や部屋の明かりなどが画面に映り若干気になった。とはいえ、クリアな映像表示は魅力。外出先でキレイな画像を楽しみたいという時には活躍してくれるだろう。また、液晶ディスプレイの左右にはステレオスピーカーを内蔵しているのだが、小型の割にはしっかりしたサウンドを再生できる。
液晶ディスプレイはキレイだが、動画再生能力については少し不安がある。そこで、Windows Vistaに付属するデモ動画を再生してみた。やはり動きが少しぎこちないようだ。気になって映像に集中できない、というレベルではなかったのだが、多少コマ落ちが発生してしまっていた。これはCPUのクロック数が1.2GHzという点を考えると致し方ないところかもしれない。
また、動画共有サイト「YouTube」でも、コンテンツによっては若干のコマ落ちが発生するものがあった。「ニコニコ動画」の場合は、動画に加えてコメントも表示されるためか、コマ落ちが「YouTube」の時よりも目立ち、音声も途切れる場合があった。回線状況やサーバーの混み具合にもよるが、やや非力な印象を受けた。1.6GHzのCPUを搭載するハイパフォーマンスモデルでは多少改善されているかもしれない。とはいえ、じっくり鑑賞するわけではなく、ちょっとした時間つぶしに楽しむ分には問題ないレベルだ。
それよりも気になったのは本体の発熱。ヒザの上に乗せて動画を視聴していたのだが、しばらくすると本体の底面がじわじわと熱くなってきた。熱すぎてヒザの上に乗せていられないというところまではいかなかったが、この状態で長時間使い続けるのは少々つらい。また、持ち歩くことを考えると2.3時間というバッテリ駆動時間も心もとない。旅行などに持っていく際には、ACアダプタは不可欠だろう。
また、Windows Vistaの機能であるPCパフォーマンス評価の結果は、ディスクのデータ転送速度を示す「プライマリハードディスク」の項目は5.2と高いスコアを記録したものの、1秒あたりの計算速度である「プロセッサ」では1.7といささか寂しい数値が出た。スコアの目安は、1-2だと、Windows Aeroや高度なマルチメディア機能の利用には不十分で、3であればWindows Aeroを始め、Flip 3Dなど多くの新機能を利用でき、4以上のスコアなら、Vistaの機能を存分に実行できるとされている。これが1.7なので、Windows Aeroなどは若干の遅さを我慢しながら使うことになるレベル、ということだ。
こう書くとややパフォーマンスが物足りない気がするが、そもそもこのスコアはそのPCがWindows Vistaの機能をどれだけ活用できるかを測るもの。ミニノートPCの用途としては、Webブラウジングやメールのやりとり、文書作成あたり。そういった用途には十分なパフォーマンスを発揮してくれるだろうし、なんといってもそのお洒落な外観はほかの製品にはないもの。ミニノートPCに機能とデザインを求める人には魅力的な製品といえるだろう。(BCN・山田五大)
●ミニノートPCらしからぬデザインと入力環境を兼ね備えたニクいやつ
「HP 2133 Mini-Note PC」は、同社で初めて8.9型ワイド液晶を採用したモバイルPC。コンパクトでありながら据置型のPCに近いスペックを目指したという。上位機のハイパフォーマンスモデルと、普及機のスタンダードモデルの2種類をラインアップしているが、今回はスタンダードモデルを使ってみた。OSにWindows Vista Home Basic SP1を採用し、VIA C7-M ULV プロセッサ(1.2GHz)、1GBのメモリと120GBのHDDを搭載するモデルだ。
まず目にして感じるのが、ミニノートPCらしからぬメタリックな外観。他メーカーの製品は、ほとんどがプラスチック外装なのに対して、本製品はフルアルミを採用。ミニノートPCは、5万円台という価格を優先するためか、どうしても見た目の面では物足りない部分があった。しかし、この製品も直販サイトでの販売価格5万9850円と、6万円を切る価格ながら、金属の質感が非常によく出ており、高級感のある仕上がりになっている。
また、外装のアルミには傷がつきにくいアルマイト加工を施したほか、ヒンジ部分や力がかかる部分にはマグネシウム合金を採用するなど、本体の堅牢性にも配慮しており、日常的に持ち運ぶユーザーにもうれしい設計だ。
端子類は本体の側面に集められており、右側にEthernet、USB2.0が1基、ExpressCard/54スロット、SDカードスロットを1つずつ備え、左側にミニD-Sub15ピン、USB2.0を1基に、マイク端子とヘッドフォン端子を備えている。前面には電源スイッチのほか、無線機能のスイッチがあり、無線LANとBluetoothのON/OFFを一括で操作できるので便利だ。
さて、本体を開いてみると、横幅をいっぱいまで使ったキーボードが目に入る。キーピッチ(キーの中心から隣のキーまでの距離)は17.5mm。フルサイズのキーボードと比較して92%というサイズで、普段使いのメインPCのフルキーボードと比べてもそれほど違和感は感じない。実際に使ってみると、ほとんどストレスを感じることなくタイピングできた。ただ、ストロークが浅く、あまり押し込んだ感じがしないパタパタとした軽いタッチなので、その点は好みが分かれるかもしれない。
キーボードが使いやすい一方で、気になったのがタッチパッド。横長のタッチパッドの左右にクリックボタンを配した独特の形状をしている。この形がなかなかのクセモノで、右手でマウスパッドを操作していると、かなり手をひねらない限り右親指で左クリックボタンが押せない。筆者の場合は、ネット閲覧時、右の人差し指でパッドの操作をしながら、中指を右クリック用、左手の人差し指を左クリック用にあまらせておくという妙な体勢をとっていた。購入する前に、一度店頭で使い勝手を試しておいた方がいいだろう。
●画面表示は鮮やか、動画視聴はもう一歩?
「HP 2133 Mini-Note PC」の大きな特徴は液晶モニタ。サイズは8.9インチワイドで、画面解像度が1280×768ドット。この解像度はミニノートPCとしては高い数値で、同じくASUSの「Eee PC 901-X」(8.9インチワイド・1024×600ドット)を上回っている。ただ、液晶ディスプレイへの傷を防ぐために表面にアクリルパネルを張り付けているのだが、光沢のある表面に光が反射してしまう。使用中、画面輝度によっては自分や部屋の明かりなどが画面に映り若干気になった。とはいえ、クリアな映像表示は魅力。外出先でキレイな画像を楽しみたいという時には活躍してくれるだろう。また、液晶ディスプレイの左右にはステレオスピーカーを内蔵しているのだが、小型の割にはしっかりしたサウンドを再生できる。
液晶ディスプレイはキレイだが、動画再生能力については少し不安がある。そこで、Windows Vistaに付属するデモ動画を再生してみた。やはり動きが少しぎこちないようだ。気になって映像に集中できない、というレベルではなかったのだが、多少コマ落ちが発生してしまっていた。これはCPUのクロック数が1.2GHzという点を考えると致し方ないところかもしれない。
また、動画共有サイト「YouTube」でも、コンテンツによっては若干のコマ落ちが発生するものがあった。「ニコニコ動画」の場合は、動画に加えてコメントも表示されるためか、コマ落ちが「YouTube」の時よりも目立ち、音声も途切れる場合があった。回線状況やサーバーの混み具合にもよるが、やや非力な印象を受けた。1.6GHzのCPUを搭載するハイパフォーマンスモデルでは多少改善されているかもしれない。とはいえ、じっくり鑑賞するわけではなく、ちょっとした時間つぶしに楽しむ分には問題ないレベルだ。
それよりも気になったのは本体の発熱。ヒザの上に乗せて動画を視聴していたのだが、しばらくすると本体の底面がじわじわと熱くなってきた。熱すぎてヒザの上に乗せていられないというところまではいかなかったが、この状態で長時間使い続けるのは少々つらい。また、持ち歩くことを考えると2.3時間というバッテリ駆動時間も心もとない。旅行などに持っていく際には、ACアダプタは不可欠だろう。
また、Windows Vistaの機能であるPCパフォーマンス評価の結果は、ディスクのデータ転送速度を示す「プライマリハードディスク」の項目は5.2と高いスコアを記録したものの、1秒あたりの計算速度である「プロセッサ」では1.7といささか寂しい数値が出た。スコアの目安は、1-2だと、Windows Aeroや高度なマルチメディア機能の利用には不十分で、3であればWindows Aeroを始め、Flip 3Dなど多くの新機能を利用でき、4以上のスコアなら、Vistaの機能を存分に実行できるとされている。これが1.7なので、Windows Aeroなどは若干の遅さを我慢しながら使うことになるレベル、ということだ。
こう書くとややパフォーマンスが物足りない気がするが、そもそもこのスコアはそのPCがWindows Vistaの機能をどれだけ活用できるかを測るもの。ミニノートPCの用途としては、Webブラウジングやメールのやりとり、文書作成あたり。そういった用途には十分なパフォーマンスを発揮してくれるだろうし、なんといってもそのお洒落な外観はほかの製品にはないもの。ミニノートPCに機能とデザインを求める人には魅力的な製品といえるだろう。(BCN・山田五大)