ニコン、店頭で「D700」を見る滞留時間長く手応え

特集

2008/08/25 19:27

 BCNランキングのデジタル一眼レフカメラ部門で、今年上半期のシェアNo.1を獲得した。昨年の年間シェアトップに続き首位を堅持すること1年半。そのニコンが満を持して投入したのが、高感度に強い、35ミリ判とほぼ同じセンサーサイズ「FXフォーマット」を搭載した準フラッグシップモデル「D700」だ。プロ向け最上位機の「D3」とほぼ変わらない画質性能を継承した。

●トップシェアより顧客満足度

ニコンイメージングジャパン 梅林富士夫 取締役兼常務執行役員 営業本部長

 7月25日の発売初日から「D700」は、大きな反響を呼んだ。営業本部長として店頭に詰めていた梅林富士夫・取締役兼常務執行役員は、来店客の様子から手応えを感じた。「とにかくお客さんの滞留時間が長い。みんな手にとって、じっくりと感触を確かめている。他の機種とは明らかに熱の入れようが違う」。

 実はユーザーブログなどでは、ニコンの次期製品が早くから憶測されていた。6月に入って競合各社が相次いで、低価格モデルの新製品を発表していたからだ。

 「当社はD3やD300という中・上級機種を揃えてきただけに、次はエントリクラスを出すんじゃないかと話題になっていた。ところが『D700』の発表直後から、『予想に反して、ニコンらしい本格的な一眼レフが登場してうれしい』という声があがりました。こういうファンが当社を支えてくれているんです」と相好を崩す。

 ユーザーのニコン支持は、モノづくりだけで培われてきたわけではない。日経ビジネスが主催する「2008年アフターサービス調査」のデジタルカメラ部門では、4年連続満足度第1位。顧客対応を充実させるために、ショールームにはベテラン社員を配置し、再修理率改善、納品期間の短縮にも取り組んできた。緊急のトラブルなどに対応するため、故障したコンパクトデジタルカメラを午後3時頃までにサービスセンターに持ち込めば、当日の営業時間内にユーザーの手元に返すという「クールピットサービス」は3年の実績がある。外側を残し、内部一式をそっくり入れ替える。「サービスセンターの窓口に修理の経験豊富な社員を配置するからこそできるサービス」だという。

 「ユーザーの信頼を得るために、地道な努力を重ねている。いかに顧客満足度を向上させていくかが、将来にわたっての課題だと思っている」と力説する。

 8月初旬のBCNランキングでは、デジタル一眼レフの台数トップ10のうち、5機種をニコンが占める。10万円以下の普及モデルが多いなかで、30万円台の「D700」や20万円台の「D300」がひときわ異彩を放つ。現在のニコンの強さが、ここに結集されている。(文中敬称略)(取材/田中繁廣 文/鍋島蓉子)

週刊BCN 2008年8月25日付 Vol.1248より転載