わずか半年で売り上げ4.5倍増、急成長するデジタルフォトフレーム
写真立て風の外観ながら中の写真が次々と変わっていく製品を、家電量販店の売り場で最近よく見かける。これが、今話題のデジタルフォトフレームだ。SDメモリカードやコンパクトフラッシュなどにデジカメで撮った写真データを入れて本体に差し込めば、画面に写真が表示される。デジタル写真の新しい楽しみ方を提案する新ジャンルの製品だ。今年に入って売り上げが急増し、わずか半年で販売金額が4.5倍にまで拡大した。そこで、「BCNランキング」のデータを見ながら、売り場の声も交えながら最近の動向をまとめた。
●急成長の原動力は、メジャーメーカーの参入
デジタルフォトフレームは、その名のとおり、デジタルカメラなどで撮影したデジタル写真を表示するための機器。従来の写真立てで、プリントした写真を入れる部分が液晶画面に置き換わっており、そこにデジタル写真を表示して鑑賞する、という仕組みだ。また、スライドショー機能を搭載しているモデルが多く、次々と写真が切り替わっていくのも特徴の1つだ。
08年1月を基準とした販売台数と金額の伸びを指数でみると、2月では台数が104.5%、金額が104.9%とほぼ横ばい。ところが08年3月になると台数で204.1%、金額で207.4%と、一気に2倍まで拡大した。
ビックカメラ有楽町店 本館のデジタルフォトフレーム売り場担当・長島輝明氏によると、「デジタルカメラは(卒業式や入学式などの)イベント前に売れるが、デジタルフォトフレームはイベント後によく売れる」と話し、3月以降は卒業式・入学式後に買い求めるお客が多かったようだ。
さらに5月になると、台数で387.8%、金額で453.9%と、台数で4倍、金額で5倍近い急激な成長を遂げた。長島氏は「ゴールデンウィーク後の影響もあるが、ソニーの新規参入が大きく影響している」と分析する。
●贈答需要に加え、「自分使い」の需要が急拡大
デジタルフォトフレームの有力メーカーは、磁気研究所やSAMSUNG、テクタイトといったところ。携帯オーディオで有名なiriverや、インスタント写真で知名度の高いポラロイドも製品を販売している。しかし家電のビッグネームが不在だったことから、どうしてもマイナーな製品という印象がぬぐえなかった。そこへこの5月、ソニーが高解像度の「S-Frame」シリーズ3モデルを引っさげて市場に参入。これをきっかけに製品ジャンル自体の認知率も向上し、新たな客層を開拓、市場全体が一気に活性化した。
「1年ほど前は結婚する友人や、田舎の両親などへの贈答用として購入するお客様がほとんどだった」(長島氏)が、最近ではインテリアとして自分用に購入する場合が増えているようだ。「(「S-Frame」シリーズは)解像度が高く、機能も充実している。例えば縦・横置きの両方に対応したり、写真と一緒にカレンダーや時計などを表示することができる。デザインも良く、机の上に置きやすい」(同)との評価もあり、若い世代を中心に需要が高まっているという。今では贈答用と自分用の需要の割合は「半々」にまでになっているようだ。
●主流は7型、1万円台の製品、これからまだまだ拡大の余地
デジタルフォトフレーム売り場を見ると、液晶サイズが1.5型の小さいものから、15型の壁掛けモデルまで、バリエーションはさまざま。08年5月の液晶サイズ別の構成比を見ると、1位が7型で68.0%。市場の半数以上を占めていた。2位は5.6型で10.5%、3位は9型で8.9%と続く。
7型モデルが人気なのは「ラインアップが充実しており、さまざまなデザインから選択できる」(長島氏)という理由があるようだ。また価格面でも「7型モデルの平均価格は1万円台半ば。液晶サイズが大きくなれば価格も上がるため、躊躇するお客様が多い」(同)ということで、手軽に購入できる1万円台の7型モデルに人気が集まっているようだ。
観光地でよく見かける記念写真を撮っている光景。気がつくとカメラは、ほとんどすべてデジカメに置き換わった。もはやデジカメは当たり前の存在だ。しかし、撮った写真はどうなっているのだろう? フィルムカメラ時代は、とりあえず現像・プリントし、簡易アルバムに入れて楽しんだものだ。デジタル時代の今、プリントして楽しむ人は少数派なのではないだろうか。とはいえ、撮りっぱなしではもったいない。 デジカメの画像はPCのモニタでも表示することはできるが、身近なところに置いて日常的に楽しむというニーズには応えられない。そこで注目されているのがデジタルフォトフレームだ。「これからは液晶サイズも大きくなり、高画素数・高精細のモデルが増えていくと思う。これが求めやすい価格になってくれば、さらに需要が高まるだろう」(同)。市場の拡大基調はしばらく続きそうだ。(BCN・山下彰子)
08年7月23日追記:市場規模推移に関し、正確を期すため、算出元のデータを「最大パネル」から「標準パネル」に変更しました。これに伴ない、タイトル、記事中のデータ、グラフを一部修正いたしました。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。
●急成長の原動力は、メジャーメーカーの参入
デジタルフォトフレームは、その名のとおり、デジタルカメラなどで撮影したデジタル写真を表示するための機器。従来の写真立てで、プリントした写真を入れる部分が液晶画面に置き換わっており、そこにデジタル写真を表示して鑑賞する、という仕組みだ。また、スライドショー機能を搭載しているモデルが多く、次々と写真が切り替わっていくのも特徴の1つだ。
08年1月を基準とした販売台数と金額の伸びを指数でみると、2月では台数が104.5%、金額が104.9%とほぼ横ばい。ところが08年3月になると台数で204.1%、金額で207.4%と、一気に2倍まで拡大した。
ビックカメラ有楽町店 本館のデジタルフォトフレーム売り場担当・長島輝明氏によると、「デジタルカメラは(卒業式や入学式などの)イベント前に売れるが、デジタルフォトフレームはイベント後によく売れる」と話し、3月以降は卒業式・入学式後に買い求めるお客が多かったようだ。
さらに5月になると、台数で387.8%、金額で453.9%と、台数で4倍、金額で5倍近い急激な成長を遂げた。長島氏は「ゴールデンウィーク後の影響もあるが、ソニーの新規参入が大きく影響している」と分析する。
●贈答需要に加え、「自分使い」の需要が急拡大
デジタルフォトフレームの有力メーカーは、磁気研究所やSAMSUNG、テクタイトといったところ。携帯オーディオで有名なiriverや、インスタント写真で知名度の高いポラロイドも製品を販売している。しかし家電のビッグネームが不在だったことから、どうしてもマイナーな製品という印象がぬぐえなかった。そこへこの5月、ソニーが高解像度の「S-Frame」シリーズ3モデルを引っさげて市場に参入。これをきっかけに製品ジャンル自体の認知率も向上し、新たな客層を開拓、市場全体が一気に活性化した。
「1年ほど前は結婚する友人や、田舎の両親などへの贈答用として購入するお客様がほとんどだった」(長島氏)が、最近ではインテリアとして自分用に購入する場合が増えているようだ。「(「S-Frame」シリーズは)解像度が高く、機能も充実している。例えば縦・横置きの両方に対応したり、写真と一緒にカレンダーや時計などを表示することができる。デザインも良く、机の上に置きやすい」(同)との評価もあり、若い世代を中心に需要が高まっているという。今では贈答用と自分用の需要の割合は「半々」にまでになっているようだ。
●主流は7型、1万円台の製品、これからまだまだ拡大の余地
デジタルフォトフレーム売り場を見ると、液晶サイズが1.5型の小さいものから、15型の壁掛けモデルまで、バリエーションはさまざま。08年5月の液晶サイズ別の構成比を見ると、1位が7型で68.0%。市場の半数以上を占めていた。2位は5.6型で10.5%、3位は9型で8.9%と続く。
7型モデルが人気なのは「ラインアップが充実しており、さまざまなデザインから選択できる」(長島氏)という理由があるようだ。また価格面でも「7型モデルの平均価格は1万円台半ば。液晶サイズが大きくなれば価格も上がるため、躊躇するお客様が多い」(同)ということで、手軽に購入できる1万円台の7型モデルに人気が集まっているようだ。
観光地でよく見かける記念写真を撮っている光景。気がつくとカメラは、ほとんどすべてデジカメに置き換わった。もはやデジカメは当たり前の存在だ。しかし、撮った写真はどうなっているのだろう? フィルムカメラ時代は、とりあえず現像・プリントし、簡易アルバムに入れて楽しんだものだ。デジタル時代の今、プリントして楽しむ人は少数派なのではないだろうか。とはいえ、撮りっぱなしではもったいない。 デジカメの画像はPCのモニタでも表示することはできるが、身近なところに置いて日常的に楽しむというニーズには応えられない。そこで注目されているのがデジタルフォトフレームだ。「これからは液晶サイズも大きくなり、高画素数・高精細のモデルが増えていくと思う。これが求めやすい価格になってくれば、さらに需要が高まるだろう」(同)。市場の拡大基調はしばらく続きそうだ。(BCN・山下彰子)
08年7月23日追記:市場規模推移に関し、正確を期すため、算出元のデータを「最大パネル」から「標準パネル」に変更しました。これに伴ない、タイトル、記事中のデータ、グラフを一部修正いたしました。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。