1000万画素モデルが5割目前、コンパクトデジカメで高画素モデルが急増
コンパクトデジカメ市場の主流が1000万画素モデルにスイッチした。これまで人気の高かった600-800万画素クラスを完全に逆転し、5割に迫る勢いだ。今年に入り急速にシェアを伸ばした松下の好調を牽引するのも、やはり1000万画素モデル。ここの1年で一気に高画素化が進んだ。その要因は? 「BCNランキング」でコンパクトデジタルカメラの最新動向をまとめた。
●松下が月間トップを維持 春先からの好調でメーカーシェアでも首位に
まず、コンパクトデジタルカメラの月間販売台数シェアを見てみると、5月の機種別販売台数トップ10で、1位を獲得したのは松下の「LUMIX FX35」。シェア10.1%と唯一2ケタのシェアを獲得した。2位につけたオリンパス「μ1020」は5.6%。2-3%台のシェアで大混戦のコンパクトデジカメの中で健闘している。いずれも今春の市場に投入されたモデルだ。
1位を獲得した「LUMIX FX35」は、有効1010万画素のCCDを搭載するほか、広角25mmでの撮影、光学4倍ズーム、手ブレ補正などにも対応するモデル。厚さは22mmとコンパクトながら、多機能さが特徴だ。
一方、2位の「μ1020」は、1010万画素のCCDと光学7倍ズームレンズを搭載した薄型モデル。2.7インチの液晶を採用。画面を見ながらガイド通りにカメラを移動するだけで、パノラマ撮影ができる「カメラ内パノラマ合成」機能も搭載する。
上記の2製品は3月以降、常に月間販売台数シェアの1、2位を堅持しており、安定した人気を集めている。特に「LUMIX FX35」は毎月2ケタのシェアを獲得。この好調な売上により、メーカーの勢力図にも変化が起きている。
メーカー別の販売台数シェアでは、07年の12月から2月まで首位を維持していたのはキヤノン。そして3月、松下が20.1%でトップに躍り出た。以降、連続で首位をキープしており、直近の5月はシェア19.2%を占めている。2位はキヤノンで16.4%。カシオが14.9%で3位、オリンパスが12.8%で4位。いずれもその差はわずか。メーカー間の熾烈な争いは依然として続いている。
07年12月の時点で、松下の13%で3位。4位のカシオと接戦を繰り広げながら、1位のキヤノン、2位のソニーを追いかけていた。その後もほぼ横ばいで推移していく中、各社の春モデルが投入され、商戦期となった3月から一気にシェアを7%近く伸ばしている。他のメーカーのシェアが大きな変化を見せない中で、松下の躍進が目立つかたちになった。
●1000万画素モデルが約5割に、平均価格は1年間で6000円下落
上記の月間ランキングで取り上げた2製品に共通する項目として、いずれも1000万画素クラスのモデルだということが挙げられる。これまで、コンパクトデジタルカメラの売れ筋の画素数は600-800万画素クラス。07年5月の時点での販売台数構成比では78.6%と8割近くを占めていた。
ところが、この1年間の画素数別販売台数構成比の推移を見ると、1年前までは1割にも満たなかった1000万画素クラスが徐々に増え、直近では48.7%まで上昇。市場の半分に迫る勢いだ。800-1000万画素クラスも昨年より増加し、1年前までの主流だった、600-800万画素クラスを完全に追い抜いた。
コンパクトデジタルカメラの高画質化の流れが顕著になったのは07年の後半。各社が競って1000万画素を超える新製品を次々と投入し、高画質化の波がくるかと思われた。しかし、この時点で1000万画素クラスの構成比に変化は見られず、売れ筋となっていたのは800-1000万画素クラスのミドルモデルだった。そのため、各社とも一旦は画素数ではなく、基本機能の強化やデザイン性など、付加価値を高めることで差別化を図るような方向にシフトしていくかに思われた。
しかし、この春から1000万画素クラスの人気が急増。画素数別の販売台数構成比では、各社が春モデルを投入した3月に1000万画素クラスのシェアが36.3%と初めて3割を突破。そのまま増加の一途をたどっている。その要因は、やはり価格にあるようだ。
07年5月時点で、1000万画素以上のモデルの税別平均単価は3万6243円。08年5月では3万509円になり、この間約6000円の下落。一方、コンパクトデジタルカメラ全体での平均価格を見てみると、07年5月時点で2万8574円だったものが、08年5月で2万6431円と、わずか2000円の下落にとどまっている。
1000万画素モデルが、3万円前後という値ごろの価格帯が突入したことで、シフトが一気に進んでいるといえそうだ。とはいえ、高画素競争には限界が見え始めている。1000万画素もあれば、もう解像度は十分という声が多いからだ。しかも今では、手ブレ補正も顔認識もほぼ標準的な機能。わかりやすくて魅力のある「次」の機能が求められている。各社のアイディアと開発力に期待したい。(BCN・山田五大)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・約2300店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。
●松下が月間トップを維持 春先からの好調でメーカーシェアでも首位に
まず、コンパクトデジタルカメラの月間販売台数シェアを見てみると、5月の機種別販売台数トップ10で、1位を獲得したのは松下の「LUMIX FX35」。シェア10.1%と唯一2ケタのシェアを獲得した。2位につけたオリンパス「μ1020」は5.6%。2-3%台のシェアで大混戦のコンパクトデジカメの中で健闘している。いずれも今春の市場に投入されたモデルだ。
1位を獲得した「LUMIX FX35」は、有効1010万画素のCCDを搭載するほか、広角25mmでの撮影、光学4倍ズーム、手ブレ補正などにも対応するモデル。厚さは22mmとコンパクトながら、多機能さが特徴だ。
一方、2位の「μ1020」は、1010万画素のCCDと光学7倍ズームレンズを搭載した薄型モデル。2.7インチの液晶を採用。画面を見ながらガイド通りにカメラを移動するだけで、パノラマ撮影ができる「カメラ内パノラマ合成」機能も搭載する。
上記の2製品は3月以降、常に月間販売台数シェアの1、2位を堅持しており、安定した人気を集めている。特に「LUMIX FX35」は毎月2ケタのシェアを獲得。この好調な売上により、メーカーの勢力図にも変化が起きている。
メーカー別の販売台数シェアでは、07年の12月から2月まで首位を維持していたのはキヤノン。そして3月、松下が20.1%でトップに躍り出た。以降、連続で首位をキープしており、直近の5月はシェア19.2%を占めている。2位はキヤノンで16.4%。カシオが14.9%で3位、オリンパスが12.8%で4位。いずれもその差はわずか。メーカー間の熾烈な争いは依然として続いている。
07年12月の時点で、松下の13%で3位。4位のカシオと接戦を繰り広げながら、1位のキヤノン、2位のソニーを追いかけていた。その後もほぼ横ばいで推移していく中、各社の春モデルが投入され、商戦期となった3月から一気にシェアを7%近く伸ばしている。他のメーカーのシェアが大きな変化を見せない中で、松下の躍進が目立つかたちになった。
●1000万画素モデルが約5割に、平均価格は1年間で6000円下落
上記の月間ランキングで取り上げた2製品に共通する項目として、いずれも1000万画素クラスのモデルだということが挙げられる。これまで、コンパクトデジタルカメラの売れ筋の画素数は600-800万画素クラス。07年5月の時点での販売台数構成比では78.6%と8割近くを占めていた。
ところが、この1年間の画素数別販売台数構成比の推移を見ると、1年前までは1割にも満たなかった1000万画素クラスが徐々に増え、直近では48.7%まで上昇。市場の半分に迫る勢いだ。800-1000万画素クラスも昨年より増加し、1年前までの主流だった、600-800万画素クラスを完全に追い抜いた。
コンパクトデジタルカメラの高画質化の流れが顕著になったのは07年の後半。各社が競って1000万画素を超える新製品を次々と投入し、高画質化の波がくるかと思われた。しかし、この時点で1000万画素クラスの構成比に変化は見られず、売れ筋となっていたのは800-1000万画素クラスのミドルモデルだった。そのため、各社とも一旦は画素数ではなく、基本機能の強化やデザイン性など、付加価値を高めることで差別化を図るような方向にシフトしていくかに思われた。
しかし、この春から1000万画素クラスの人気が急増。画素数別の販売台数構成比では、各社が春モデルを投入した3月に1000万画素クラスのシェアが36.3%と初めて3割を突破。そのまま増加の一途をたどっている。その要因は、やはり価格にあるようだ。
07年5月時点で、1000万画素以上のモデルの税別平均単価は3万6243円。08年5月では3万509円になり、この間約6000円の下落。一方、コンパクトデジタルカメラ全体での平均価格を見てみると、07年5月時点で2万8574円だったものが、08年5月で2万6431円と、わずか2000円の下落にとどまっている。
1000万画素モデルが、3万円前後という値ごろの価格帯が突入したことで、シフトが一気に進んでいるといえそうだ。とはいえ、高画素競争には限界が見え始めている。1000万画素もあれば、もう解像度は十分という声が多いからだ。しかも今では、手ブレ補正も顔認識もほぼ標準的な機能。わかりやすくて魅力のある「次」の機能が求められている。各社のアイディアと開発力に期待したい。(BCN・山田五大)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・約2300店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。