アップル、パワーアップしたiMac新モデル発表、メディア向け説明会も

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2008/05/01 15:50

 アップルジャパンは4月28日、ディスプレイ一体型のパソコン「iMac」の新モデルを発売した。ラインアップと価格は、ディスプレイが20型ワイドでCPUに2.4GHzのIntel Core 2 Duoを搭載したモデル「MB323J/A」が13万9800円。同じく20型ワイドでCPUに2.66GHzのIntel Core 2 Duoを搭載したモデル「MB324J/A」が16万9800円。また24型ワイドで2.8GHzのIntel Core 2 Duo搭載モデルが19万9800円。同社はこれら3モデルの発売を受け4月30日、初台の本社にメディア関係者を集め、新iMacの説明会を開いた。

●最新の高速CPU搭載でパワーアップ

 PCの売れ行きがやや足踏み状態の中で、アップル製品の売り上げは好調だ。アップルによると、07年のMac製品の出荷台数は、ワールドワイドで対前年比で37%拡大したという。また、日本国内のデスクトップパソコンの販売台数シェアを「BCNランキング」の1-3月期でみると、アップルは全国では8.9%で5位だが、東京、埼玉、千葉、神奈川の「東京圏」に限ると17.9%で2位のポジションにつけている。特に首都圏で人気が高いのが同社の特徴だ。


 この要因は何といってもiMacシリーズの健闘。コストパフォーマンスの高さ、MacOSとWindowsが両方使える利便性の高さから、従来のMacユーザーだけでなく、Windowsユーザーが新たにiMacを購入するケースが増えているという。Mac好調のけん引役を果たすiMacだが、新モデルでは各仕様をパワーアップしながら価格を抑え、さらなるシェア拡大を狙う。


 新iMacの3モデルともに共通するのは、CPUに45nm製造プロセスを採用したインテルの最新Core 2 Duoプロセッサー(コードネーム「Penryn」)を搭載したこと。さらに2次キャッシュを従来の4MBから6MBに、フロントサイドバス(FSB)を800MHzから1066MHzにパワーアップしたことだ。また、メモリの規格も変更。従来PC2-5300 667MHz DDR SDRAMだったものを、新モデルではより高速なPC2-6400 800MHz DDR SDRAMに変更した。通信機能も強化し、IEEE 802.11b/gに加えて、Draft2.0 IEEE 802.11nに正式対応。最大で300Mbpsの高速通信が可能になった。Bluetoothも旧型の2.0+EDRから、Bluetooth 2.1+EDRにスペックアップしている。


 メモリが変更されたため、新モデルを購入の際には注意が必要だ。外観上は旧型とまったく変わらず、メモリの増設方法も旧型とまったく同じ。しかし旧型用のPC2-5300 667MHzのメモリを装着しても使えない。もっとも、上位2モデルでは2GBのメモリを標準搭載しているので、当面はメモリを増設する必要はないかもしれない。

 さらに全モデルで最大4GBのメモリまで搭載可能。アップルストアや一部の販売店では、購入時にBTOでメモリを4GBにして注文することもできる。3Dゲームや高解像度のデジカメ画像を扱う場合などは、やはりメモリ搭載量は多いほうがパフォーマンスも良い。アップル純正のBTOなら、メモリの相性などを心配する必要はないが、やや割高なのが玉にキズ。もう少しリーズナブルにメモリを増やしたいなら、PC2-6400 800MHzのMac対応済みのサードパーティ製メモリを手に入れたいところ。アップルによると、すでに各ベンダーで互換性テストに入っており、早ければこの連休明けにも、新型iMac対応のメモリが登場するようだとしている。

●2.4GHz Core 2 Duoプロセッサー搭載で13万9800円の「安さ」

 それでは詳細をみていこう。ディスプレイが20型ワイドで、インテルCore 2 Duo 2.4GHz搭載モデルが13万9800円。メモリ1GB、HDD250GB、グラフィックにATI Radeon HD 2400 XT(128MB)を搭載して、旧型のローエンドモデルより、約2万円値下げした。HDDは320GBや500GBに変更することもできる。

 その上の20型で2.66GHzモデルは、メモリ2GB、HDD320GB搭載で、16万9800円。24型モデルでは、2.8GHz、メモリ2GB、HDD320GB搭載で19万9800円。この2つのモデルは、グラフィックにATI Radeon HD 2600 PRO(256MB)を搭載する。また、20型で2.66GHzタイプでは500GBと750GB、24型で2.8GHzタイプは500GB、750GB、1TBのHDDを選択できる。24型モデルも、旧型よりも2万円値下げし、旧20型の上位モデルと同じ価格になった。それでいて、CPUやFSBの高速化で約3割ほどのスピードアップを果たしているという。


 なお、24型タイプでは、CPUを3.06GHzに、グラフィックをNVIDIA GeForce 8800 GS 512MBに変更することもできる。アップルではこれを、「iMac史上最強のグラフィックス」と表現。高解像度のデジ一眼の画像編集を、24型の広い画面でストレスなく行いたいなら、プラス1万6800円で、グラフィックだけでもNVIDIA GeForce 8800 GSにアップグレードするのもいいだろう。同社では、標準構成の24型タイプに比べて、グラフィック性能は最大約2.2倍にアップするとしている。


●コストパフォーマンスの高さでWindowsユーザーにも人気

 20型タイプの画面解像度は1680×1050ドット、24型タイプは1920×1200ドットのフルHD画質をサポートする。これだけの高解像度液晶モニタを備え、フルスペックの最新インテルCore 2 Duoプロセッサーを搭載し、上位2モデルは2GBのメモリを標準搭載。その上24型タイプでも20万円を切る価格というのは、たしかに、Windows PC各社の夏モデルと比べても、かなりコストパフォーマンスは高いといえるだろう。


 アップルによると、直営店のアップルストアでMacを購入した人の半数近くがWindowsユーザーだった、という調査結果もあるという。MacOS X 10.5 Leopardからは、OS標準機能として備わったBootcampを使うことで、MacOSとWindows Vista(またはXP)を1台のMac上で切り替えて使うことが可能になった。そのことが、Macを買うWindowsユーザーの増加に拍車をかけている。新型iMacはこうした状況を加速することになりそうだ。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。