ビクター、なぜ国内テレビ事業撤退を検討? 要因は価格下落とシェア低迷か

特集

2008/04/16 14:39

 日本ビクター(佐藤国彦社長)は4月16日、報道各社が同日「国内テレビ事業から撤退する」と一斉に報じた内容についてコメントを発表、「当該事項につきましては検討はしておりますが25日の決算発表でご案内する予定です」として、現時点での明言を避けた。

 3月現在の「BCNランキング」の集計では、液晶にプラズマを加えた薄型テレビ全体ではトップ4社が販売台数シェア2桁台で争っている。1位はシャープで41.2%、2位がソニーで21.4%、3位が12.6%の東芝、松下が11.6%で4位だ。一方ビクターは2.0%とふるわず、この2年ほどは5%未満の低空飛行を続けている。さらに今年に入って、低価格路線で攻めるバイデザインと6・7位争いを繰り広げており、3月では2.3%のバイデザインに破れ7位に甘んじている。


 価格の下落も大きい。07年4月時点で薄型テレビ全体の税抜き平均価格は13万4000円だったのに対し、同社は12万6000円と1万円以内の差に収まっていた。しかし今年に入って価格差は拡大。3月の時点は全体が11万2000円なのに対し、同社は9万2000円と差が2万円を超えた。こうしたシェアの低迷や価格下落の大きさが、国内テレビ市場からの撤退を検討するところまで同社を追い込んでいるものと見られる。(BCN・道越一郎)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。