次世代レコーダー動く! 台数で3割、金額で5割に迫る勢い、本格的拡大期へ

特集

2008/03/26 01:27

 ブルーレイディスク(BD)ドライブを搭載する次世代レコーダーが動き始めた。従来レコーダーとの比率では、販売台数で3割をうかがう水準まで拡大、さらに販売金額では5割に迫る勢いだ。北京オリンピック需要をにらんで、いよいよ本格的な拡大期に入ろうとしている。BDレコーダーを中心とするレコーダー市場の動向や売れ筋モデルなどを「BCNランキング」でまとめた。

●構成比は販売台数で3割、金額では5割に近づく

 07年の年末商戦は次世代レコーダーの立ち上がりが目立った。年末商戦以降の動きを振り返ると、ソニーと松下電器産業がBDレコーダーを発売した11月上旬に次世代レコーダーの比率が一気に2割を突破。急激な立ち上がりから生産が追いつかず12月から1月にかけて、しばらくは一旦落ち込むほどの人気だった。


 08年2月に入って、ようやく供給が安定し始め、次世代レコーダーの構成比は販売台数、金額ともに07年11月頃と同じ水準に回復。シャープがHDD搭載のBDレコーダーを発売した2月中旬以降は一気に上昇に転じた。最新の3月第3週(3月17?23日)では、次世代レコーダーの構成比率は台数で26.3%、金額では44.0%にまで達している。規格争いの終結後に次世代の構成比率が上昇していることから、様子見による買い控えの時期は終わったと見ていいだろう。


●次世代レコーダーランキングではシャープの2月発売の新製品が4位に

 それでは、最新の3月第3週、次世代レコーダーの売れ筋ランキングを見てみよう。カラーバリエーションを合算した販売台数シェアで1位2位を独占したのソニーだった。シェアとBCNが25日の時点で集計した推定価格(以下同)は、1位が「BDZ-T70」で22.5%、13万2300円、2位が「BDZ-T50」で19.7%、11万1000円だった。3位は松下の500GBのHDDを搭載した「DMR-BW800」でシェアは10.9%、市場推定価格は17万2000円。


 この2社の製品に共通しているのは「MPEG-4 AVC/H.264」という圧縮技術を搭載していること。高画質で容量が大きい地上デジタル放送などのハイビジョン放送でも画質の劣化を抑えて長時間記録できるのが特徴だ。なお松下のモデルは「MPEG-4 AVC/H.264」を使ってDVDとBD、HDDに記録ができるが、ソニーはBDとHDDのみ、という違いがある。

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 5位にはシェア9.8%でシャープのBDレコーダー「BD-HDW15」が入った。2月に発売した新製品で、500GBのHDDを内蔵し、推定価格は16万1800万円。同社は07年10月にHDDを搭載せず、録画にはビデオテープのように繰り返して使えるBDの一種、「BD-RE」を使うモデルを発売していた。そして12月にはHDD搭載のBDレコーダー「BD-HDW15」「HDW20」の2モデルを発売してソニーや松下と年末商戦を戦う予定だった。

 ところが本体ソフトに不具合があり、都合4度の延期を行って08年の2月18日にまで発売がずれ込んでしまった。その結果、年末商戦の07年12月は月次メーカー別販売台数シェアでソニーが61.1%、松下が23.7%前後を占めるなか、シャープは10.1%と辛うじて2ケタの苦しい状況だった。しかしHDD搭載のBDレコーダーを発売した後、最新の週次では14.6%にまで上昇している。

 折しも2月19日、東芝が同社主導の次世代DVD規格「HD DVD」終息を宣言。対応レコーダーの製造も終了すると発表した。一部の量販店では在庫の販売を継続しているとはいえ、発表があった翌週からシェアは激減。ちょうど同じ週に製品を発売したシャープがそのシェアを引き継いだような形になった。


●全体でもBDレコーダーが4位と7位に、従来レコは小型モデルに注目

 ここで、従来のレコーダーも含めたレコーダー全体の販売台数シェアランキングも見てみよう。1位を獲得したのは東芝の「RD-E301」でシェアは8.5%。07年10月発売のモデルで容量300GBのHDDを搭載する。推定価格は5万3200円だ。以下は3位まで従来レコーダーが入った。


 4位と7位には、BDに対応したソニーの次世代DVDレコーダー「BDZ-T70」と「BDZ-T50」が入った。HDD容量が320、250GBと少なめだが、「MPEG-4 AVC/H.264」の採用で長時間の録画ができる。最上位モデル「BDZ-X90」で搭載するホームシアター向けの高画質化技術「Deep Color出力」や映像出力端子の数などが省略され、画質や音質にこだわるというよりテレビの録画に重点を置いたモデルだ。

 従来のレコーダーで注目したいのは、シェア5.5%で5位に入った松下の「DMR-XP12」。推定価格は6万5500円。08年2月に発売された新製品で、HDD容量は250GB、地デジチューナーが1基で2番組同時録画はできないエントリーモデルだが、奥行きを従来モデルよりも71mmも短くしたコンパクトなサイズが特徴。松下もBDレコーダーを販売しているが、従来レコーダーでも次々と新製品を出しており、この奥行きコンパクトのレコーダーは、子ども部屋などのセカンドルーム需要を狙ったモデルだ。


 次世代レコーダー市場では、今のところソニーがシェア6割を握り優位に立っている。しかし今年はテレビやレコーダーなど映像機器関連の市場に大きな影響を与える北京オリンピックの年。この期を逃すまいと、新たに三菱電機がBDレコーダー市場に参入、5月に新製品を発売する。これでソニー、松下、シャープに三菱が加わり、BDレコーダー市場は4社でしのぎを削ることになった。BD市場での本格的なシェア争いは、いよいよ今年始まる。(BCN・岡本浩一)


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