静かに広がる高額スピーカー人気、金額シェア1-7位を独占するのは?

特集

2008/03/17 01:12

 販売台数で見ると1000円前後の低価格製品が売れ筋のスピーカー市場。しかし、販売金額に目を転じると全く別の人気製品が浮き上がってくる。2月の製品別販売金額シェアトップ10で上位に来るのはいずれも、3-4万円もする「高額」スピーカーばかり。なかでもBOSE製品の人気はダントツで、1位から7位までを独占している。販売金額に焦点を当て、スピーカー市場の動きを「BCNランキング」でまとめた。


●11月の新製品効果もありBOSEが1-7位を独占

 2月の販売金額シェア1位には、07年11月に発売したBOSEのiPod専用スピーカー「SoundDock Portable」のブラックモデルがランクインした。3位にも同ホワイトモデルが入った。

 



 「SoundDock Portable」は、高音質で定評があり、ランキングでも5位と6位に入ったiPod専用スピーカー「SoundDock」のポータブルタイプとして発売されたもの。専用バッテリーを内蔵し、フルボリュームで約3時間の再生できるのが特徴だ。新たに3.5mmステレオミニジャックの外部入力端子を搭載したことで、iPod以外の機器との接続が可能になった。3月13日にBCNが集計した市場推定価格(以下同)は、4万4500円とかなり高額な製品だ。



 2位は、同じく07年11月に発売したBOSEのアンプ内蔵型コンパクトスピーカー「M2」。同社の直営サイトのみで発売しているプレミアムコンパクトスピーカー「M3」の据え置き型モデルとして発売したものだ。握りこぶしサイズのきょう体に、ネオジウムマグネットを採用した「50mmプレミアムドライバー」を搭載する。定格出力は20W×2でコンパクトスピーカーとは思えない臨場感あるサウンドを再現する。電源を搭載しないことを除けば、「M3」とほぼ同じ仕様。「M3」よりも約1万円程安く、3万8200円。



 4位のBOSE「COMPANION 3 SERIES II」は、2つのスピーカーと1つのウーファーがセットになったアンプ内蔵型スピーカーシステム。コンパクトタイプながら2.1chの本格サウンドを再現する。

 8・9位にはロジクール製品がランクイン。8位の「Z-4R」は、2つのスピーカーと1つのウーファーがセットになったアンプ内蔵スピーカーシステム。9位は、iPod専用スピーカー「PF-500WH」がランクインした。



 メーカー別で見ても、2月の販売金額シェアではBOSEが21.4%で1位。新製品を発売した11月頃から急激にシェアを伸ばし、以降20%を超える金額シェアを維持している。

 



 BOSEは、新製品を発売しても従来モデルが人気を維持しているのが強さの要因。特に、据え置き型、ポータブル型で分け、製品同士がぶつからないようラインアップを工夫していることも好調を支えているようだ。
___page___
 一方、2月の販売数量シェアで1位は17.9%でエレコム。サンワサプライと首位争いを繰り広げており11月と12月は1位を奪われたが、08年に入り巻き返している。販売台数シェアでは、1位のサンワサプライ「MM-SPL2」や2位のエレコム「MS-87BK」など、1000円から2000円台の製品が上位を占めている。





●全体に高額化の流れ、3万円以上に新たな市場?

 ここで、価格帯別にスピーカー市場の動きを見てみよう。販売台数で最も多いのは5000円未満の製品。約3割を占めている。しかし、07年2月と08年2月を販売金額価格帯別シェアで比較すると、やはり高額化の動きが鮮明に表れている。



 特に顕著なのは、3万5000円から4万円の価格帯で、台数シェア自体はまだ低いものの前年比で3倍近く伸びている。また、4万円以上の価格帯も売れ始めている。BOSEの好調が示すように、今後も3万円以上の価格帯で拡大の余地はまだまだありそうだ。また、低価格帯でも5000円未満がシェアを落とし、5000円以上1万円未満の価格帯がシェアを伸ばしている。全体的に見ても少し高めの価格帯にシフトしてきているのは明らかだ。

 最近のマルチメディアスピーカーの売れ行きについて都内の家電量販店で販売員に話を聴いたところ、「最近ではCDコンポに変わり、部屋でも携帯オーディオやPCで音楽を聴くスタイルが定着している。音量だけでなく、音質や使い勝手にまでこだわるユーザーが増えている」という。「ラジカセ」や「CDコンポ」に代わる新しい市場はこのへんにありそうだ。(BCN・津江昭宏)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。