デジタル家電春商戦が好調、薄型テレビ年末以上の伸び、次世代レコも活況

特集

2008/03/13 18:45

 デジタル家電の春商戦が好調だ。薄型テレビは07年12月の年末商戦時以上の成長を示し、次世代レコーダーも07年末からの供給不足を解消して販売金額シェアでレコーダー全体の4割に届こうとしている。「BCNランキング」で春商戦の動向をまとめた。

●好調な薄型テレビ市場、液晶・プラズマ合わせて前年比130%前後の伸び

 08年1月?2月の液晶とプラズマを合わせた薄型テレビ市場は、販売台数・金額ともに好調に推移。07年の年末商戦期の11?12月を前年比で上回った。市場全体では、12月の販売台数は対前年比で122.9%だったが、1月には135.1%、2月でも129.2%。販売金額でも108.7%だった12月に比べて1月には113.4%、2月も110.0%と、それぞれ2ケタの伸びを記録した。


 薄型テレビのインチ別では、販売台数・金額ともに「40?50V型未満」が最も大きな伸びを示し、前年比で2月は台数151.6%、金額でも126.4%を記録した。「30V型未満」「30?40V型未満」「50V型以上」はいずれも台数前年比で125%前後に拡大した。薄型テレビの市場は40?50V型未満のモデルがけん引しているといえそうだ。


 一方、液晶とプラズマに分けると両者で異なる傾向が出ている。パネル別に見る2月の販売台数は、液晶が前年比130.2%、プラズマは120.4%で07年9月からのプラズマより液晶のほうが高い成長を続けている傾向に変化はない。しかしインチ別では、液晶は台数で168.1%、金額で151.6%。伸びが最も大きかったのが「50V型以上」。これに対し、プラズマは1まわり小さい「40?50V型」が台数で166.6%、金額127.4%と最も大きい伸びを示した。

 本来大型パネルに強いはずのプラズマだが、市場での大型化は液晶よりも遅れている実態が明らかになった。これは、液晶の大型化が一層進んだことで、「50V型以上」で競争が激化しているためだと考えられる。薄型テレビ全体で「50V型以上」の販売台数構成比率は液晶が1.0%、プラズマ1.3%、金額シェアは液晶3.2%、プラズマが3.4%と、いずれもプラズマが辛うじて上回っている状況だ。


 次に薄型テレビ全体の税別平均単価の推移を見てみると07年12月までは13万5000円前後で安定していた。しかし春商戦スタート後の08年1月から2月にかけて大きく下落。2月には11万9000円前後にまで下がった。特に液晶の値下がりが目立つ。07年4月以降13万5000円前後で安定していたものの、12月から2月にかけて1万6000円も下がったことが要因だろう。
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 メーカー別では40V型以上でのシェア争いが激化してきた。40V型以上の薄型テレビ全体では、2月はシャープが1位で台数シェア29.2%、続くソニーは28.1%、松下電器産業が25.9%で追いかける展開。3社はほぼ横並びで争っている状況だ。なかでも大型化に力を入れているのがソニー。2月に同社が販売した薄型テレビのうち、40V型以上が55.8%を占める。一方プラズマで大型化を進めている松下だが、40V型以上の比率は49.0%にとどまっている。

 一方シャープは40V型以上の構成比は27.2%と少ないが、30V型未満が24.2%、30?40V型未満が48.6%で中小型から大型まで幅広くカバーする。そのため販売台数のメーカーシェアを全サイズ、液晶・プラズマ合算で見てみると、2月の1位はシャープで45.0%、2位でシェア16.2%のソニーに比べても圧倒的優位を確保している。なお、10.5%で4位につけている東芝は、昨年に比べシェアを倍増させており、ソニーと3位15.4%の松下と合わせた3社で2位争いが熾烈になってきている。


●次世代レコーダーが供給回復、台数構成比で2割、販売金額でも4割目前に

 08年1月に東芝が「HD DVD」規格の撤退を発表したことで、ソニーらが推す「ブルーレイディスク(BD)」に事実上一本化し、次世代DVDの規格争いは終息した。まだ若干数販売されているHD DVDレコーダーとBDレコーダーを合わせると、2月時点での次世代レコーダーの比率は、従来レコーダーも含めた市場全体の販売台数構成比で20.7%を占めた。


 次世代レコーダーは、07年11月にメーカー各社が一斉に新製品を発売し、同月の台数構成比では一気に21.1%を占めたが、市場の立ち上がりがあまりにも急だったため、製造が追いつかずに供給不足が発生。構成比も12月に17.9%、08年1月には12.5%まで落ち込んでいた。この2月にはなんとかメーカーの製造が追いつきはじめ、さらにシャープが新製品を発売したことで、次世代の構成比が高まった格好だ。


 また販売金額でも07年11月の36.6%をわずかに上回る36.8%を占め、4割に近づいた。レコーダー市場全体は台数で前年をわずかに下回るマイナス成長を続けているが、金額では11月の年末商戦以降プラスで成長し、2月には対前年比で108.9%を記録している。

 2月、レコーダー全体の販売台数シェアで1位は32.4%の松下、2位は31.6%でシャープだった。次世代レコーダー市場で57.6%の圧倒的なシェア占めるソニーは、レコーダー全体では3位の東芝にも抜かれシェア13.8%で4位。しかしBDレコーダーを中心に販売するソニーは金額シェアではすでに東芝を抜いており、21.8%で3位に入っている。従来のレコーダーでも新製品を併売する松下・シャープの2強に、新製品はBDレコーダーに集中するソニーが追い上げをかけているという状況だ。


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●拡大続く一眼レフ、2月は新製品待ちで買い控え

 デジタルカメラに占めるデジタル一眼レフカメラの販売台数構成比は、2月の時点で7.0%とコンパクトデジカメに比べると小さいが、対前年比ではデジタル一眼が105.9%、コンパクトデジカメは102.0%とデジタル一眼のほうが伸びている。この傾向は07年3月から変わっておらず、市場全体でも前年比プラス成長を続けているのはデジタル一眼の成長によるところが大きい。


 デジカメ全体では07年12月から08年1月にかけて台数前年比で110%を超える2ケタ成長を続けてきたが、2月に入って102.2%まで下降。2月末から3月にかけて、初心者向けデジタル一眼をはじめとするデジカメ新製品の発売が集中したため、買い控えが起きているのではないかと考えられる。

 2月のデジカメ全体の販売台数シェアでは、1位がキヤノンで22.0%、2位集団は12%前後のシェアでオリンパス、松下、カシオ、ソニーが争っている。金額シェアではデジタル一眼が好調なニコンが07年10月から2位に浮上し、2月もシェア16.5%で2位をキープしている。


●PC市場は春商戦は苦戦、年末商戦の好調続かず

 08年1?2月は、デスクトップPCとノートPCを合わせた市場全体で、販売台数・金額ともに前年比でマイナス成長が続いた。2月は台数前年比で約10%のマイナス、金額では約18%のマイナスだった。07年11?12月はなんとかプラスに転じていたが、08年に入りちょうど1年前の07年の1?2月はマイクロソフトの新OS「Windows Vista」が発売された頃でもあり、前年比で落ち込みが目立つ。


 PC全体の販売台数シェアで1位は22.0%のNEC、2位は20.3%で富士通、5位には5.5%でアップルが入った。デスクトップのみに限定すると1位2位は変わらず、3位にはシェア13.5%でeMachinesが入った。ノートPCに限定すると3位には18.4%で東芝が入った。



*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。