デジタル一眼初心者モデル百花繚乱、春の陣前半戦の動向は?

特集

2008/03/11 12:57

 この春は、初心者向けデジタル一眼レフカメラの発売ラッシュが続く。2月にはソニー、ニコン、ペンタックスの3社から3モデル。3月から4月にかけては、ソニーとペンタックスがさらに2モデルを追加、キヤノンとオリンパスもそれぞれ初心者向けモデルを発売する。そこで、初心者向けデジタル一眼前半戦として3月7日までに発売されたモデルの最新動向を「BCNランキング」でまとめた。

●トップシェア圏内に入った「D60」、「α350」は発売3日で5位に

 注目はデジ一眼市場でキヤノンと熱いトップシェアを争うニコンが2月22日に発売した初心者向けの「D60」だ。1位はキヤノン「EOS KissデジタルX」に譲ったものの、3月の第1週(3月2日?3月9日)の週次データで販売台数シェア12.5%を獲得して2位に入った。

 「D60」は07年2月に発売された初心者向け一眼レフ「D40X」の後継機で有効画素数は同じ1020万画素だが、07年11月に発売した中・上級者、プロ向けデジ一眼「D300」「D3」と同じ機能を一部搭載するなど注目のモデルだ。たとえば明暗差(コントラスト)の激しい場所でも、白トビや暗部のツブレを軽減して撮影できる「アクティブD-ライティング」や、画像処理コンセプト「EXPEED」(エクスピード)を採用するなど、最新の技術が搭載されている。なお「D40X」と同じくオートフォーカス(AF)が機能するレンズは、ニコン純正レンズの場合、「AF-S」「AF-I」の各レンズに限られるので注意が必要だ。


 1位のキヤノン「EOS KissデジタルX」はシェアは28.1%。06年9月に発売されたモデルだが、3月下旬には後継機「EOS Kiss X2」の発売が決まっている。この影響で価格が下がってきたこともあってか、依然高いシェアを維持している。


 ソニーが3月7日に発売した「α350」は、発売から3日間ながらシェア7.9%を獲得し5位に滑り込んだ。07年に同社が発売した中級者向け一眼レフ「α700」と08年2月15日に発売した有効1010万画素の初心者向け「α200」の間に位置するモデル。有効1420万画素の撮像素子を搭載するほか、手ブレ補正機能も内蔵する。またハイアングルやローアングルでの撮影時に便利な可動式の背面液晶モニタを搭載している。なお初心者向け一眼「α200」はシェア4.2%で8位につけている。


 同じく2モデルを発売しているペンタックスでも、順位は上位モデルが初心者向けモデルを上回った。有効1460万画素の中級者向け「K20D」がシェア4.1%で9位、有効1020万画素の初心者向け「K200D」は1.9%で11位だった。両モデルともに雨天時やホコリの多い環境でも安心して撮影ができる「防塵防滴」構造を採用しているが、初心者向けモデルでも採用しているのは他社に無い特徴だ。ボディ内手ブレ補正機構「SR(シェイクリダクション)」やゴミとり機能「DR(ダストリムーバル)」も搭載する。


●ラインアップの拡大で2強構造は崩れるか?

 メーカー別の販売台数シェアではニコンが07年11月以降連続首位をキープしており、2月の時点では48.2%を占めている。2位はキヤノンで35.7%。ペンタックスは5.7%で3位、ソニーは5.6%で4位。ニコン、キヤノンが2社でシェア8割を占め、他社は軒並み1ケタという構図は相変わらずだ。初心者向けから中・上級者向け、プロ機まですべてを揃える2社に、他社はなかなか食い込むことができていないのが現状だ。


 しかしソニーが初心者向けに「α200」「α350」の2モデル、ペンタックスは初心者向け「K200D」と中級者向け「K20D」の2モデルを発売してラインアップを拡大していることから、どこまでシェアが伸ばせるかに注目が集まる。そして月次シェアでニコンに遅れをとっているキヤノンは、3月下旬に初心者向けデジ一眼の大本命「EOS Kiss X2」を発売してトップシェア奪還に動く。その後も4月中旬にオリンパスが初心者向け「E-420」を発売する。これによりこの4月には07年秋の中級機ラッシュから続く初心者向けデジ一眼ラッシュが終了し、各社のラインアップが一新されることになる。デジタル一眼レフカメラ市場にとって08年も熱い1年になりそうだ。(BCN・岡本浩一)


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