CES2008開幕、ビル・ゲイツ最後の講演や“超”薄型テレビに注目集まる
今年のテーマは「デジタルコンバージェンス」。「コンテンツ」「ホームネットワーク」「デバイステクノロジ」をコンセプトに展開する。CESを主催する米コンシューマー・エレクトロニクス協会(CEA)のゲイリー・シャピロCEOはこれら3つのコンセプトについて「椅子の足のようなもの」と説明。また、メイン会場のセントラルホールにはリサイクル製品のカーペットを敷いたり、土に還るコップを採用するなど環境にも配慮。「今回からは環境対策にも取り組み、出展者にも環境問題を意識してもらえるようにしていきたい」と話した。
開催に先駆け、現地時間で6日にはマイクロソフトのビル・ゲイツ会長が 基調講演を行った。講演のテーマは「これからの10年のデジタル世界」。ゲイツ会長は「携帯電話を持つ人が世界人口の50%にまで達し、カメラはデジタルになった。私は10年前にタブレットPCなどの出現を予測していたが、今すべて現実のものになっている。これはすべてソフトウェアの力だ」と話し、「この10年はデジタル社会の始まりにすぎない。これから、デジタル社会はもっと広がってゆく」と続けた。
ゲイツ会長は、自身が考えるこれから10年後のデジタル世界を話す前に、「今回が最後のキーノートスピーチになるだろう。これから私はボランティアの慈善活動に専念する」と、自身の引退について触れ、「私が会社を辞める最後の日はどんなものだろう思って作ったビデオがあるので見て欲しい」と話し、ビデオ上映を行った。
ビデオの題は「ゲイツの最後の1日」で、朝、車で出社する場面から始まり、引退後、時間をどう使おうかと悩むゲイツ会長が、トレーニングジムに通ったり、知人に電話してヒップ・ホップのレコード制作に挑戦したり、映画俳優への転身を図るドタバタぶりが描かれた内容。ビデオには、ロックバンド「U2」のボノやスティーブン・スピルバーグ監督、ヒラリー・クリントン上院議員などが次々と登場。会場は笑いと歓声で沸いた。
ビデオの上映終了後、ゲイツ会長は「今後10年は『Connected Experiences(経験の共有)』の時代になる。そしてそれには3つのポイントがある」と話した。1つ目は「ハイビジョン経験」。ゲームやテレビ、パソコンなどを使って、どこでも高い画質で迫力ある映像・音声を楽しめることだという。2つ目は「ネットで写真やビデオなどの情報を自由に享有できる社会の実現」、3つ目は「ユーザーインターフェイスの多様化」で、「キーボードにマウスだけでなく、タッチパネルや音声など、簡単で直感的な操作がデジタル機器には求められる」と語った。そして「それを実現できるのはマイクロソフトのソフトウェア技術だ」とPRも忘れず、「今後10年は本当に楽しみな時代が来る」と締めくくった。
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続く7日には松下電器産業の坂本俊宏・パナソニックAVCネットワークス社社長が講演を行った。講演のテーマは「Living in High Difinition(ハイビジョンに囲まれた生活)」で、坂本社長は「松下は米国でデジタルテレビのリーダーになる」と話し、それを裏打ちする新技術を次々と紹介した。
なかでも注目が集まったのがプラズマテレビ。まず登場したのは厚さが24.7ミリのプラズマテレビ。“超”薄型プラズマはサイズが50V型で、フルハイビジョン(フルHD)対応、コントラスト比は30000:1、重さは22Kg。
続いて世界最大の150V型プラズマテレビを紹介。150V型プラズマは水平4096×垂直2160画素で、フルHDの4倍相当の884万画素を実現。09年には発売し、業務用や富裕層への販売を見込んでいるという。150V型は松下が09年に稼動させる兵庫県尼崎市の第5プラズマ工場で使用するガラス基板と同じサイズで生産も第5工場で行うという。
また、「Wireless HD」と呼ばれる、60GHz帯の無線技術(ミリ波)を使ってハイビジョンの映像を対応のプレーヤーやビデオカメラなどからテレビに送って表示する技術のデモも行った。
薄型テレビでは松下の24.7mmプラズマだけでなく、韓国のLG電子が42V型で薄さが43ミリの液晶テレビ、パイオニアが9ミリのプラズマテレビ、シャープも昨年発表した厚さ2ミリの液晶テレビで大型モデルなどを発表。今回のCESでは“超”薄型テレビがポイントとなりそうだ。
次世代DVDもキーワードの1つ。次世代DVDを巡っては、CESの開催直前に米ワーナー・ブラザーズがHD DVD陣営からの離脱しブルーレイディスク(BD)の単独支持を表明。規格争いで新たな動きが出てきた。CESでは松下やソニーなどのBD陣営がBDプレーヤーの新製品を展示する一方、HDD DVD陣営の東芝も新型のHD DVDプレーヤーを発表。注目が集まっている。