東芝とシャープ、テレビ用液晶パネルと半導体の相互供給で提携

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2007/12/21 22:10

 シャープと東芝は12月21日、テレビ用液晶パネルと半導体の相互供給で提携すると発表した。2010年度にシャープは東芝からテレビ用システムLSIを40%、東芝はシャープから32V型以上のテレビ用液晶パネルを50%調達することを目指す。



 すでに東芝は、シャープからVA(垂直配向)の液晶パネルを調達する一方、テレビ用システムLSIをシャープに供給しており、シャープ-東芝間の取引額は年間で7-800億円。今回の提携で08年度から取引額を増やし、将来的には3倍まで拡大する。

 東芝は現在、松下電器産業、日立製作所と共同で出資する液晶パネル製造会社のIPSアルファテクノロジでIPS(横電界)方式のテレビ用液晶パネルを共同生産しているが、今回の提携を契機にテレビ用液晶パネル製造から撤退。外部調達に切り替える。IPSアルファに出資する15%の株式も売却する方向で検討しているという。

 東芝の液晶テレビ「REGZA(レグザ)」では20%程度がIPS方式。当面はVA、IPS方式のパネル調達体制を維持していくが、10年度をメドにIPSパネルの調達を縮小しVAパネルに切り替えていく。東芝の西田厚聡社長は「シャープが開発している液晶パネルは薄型、軽量、高画質、長寿命、低消費電力などの面でIPSより優れている」と理由を述べた。

 開発を進めているテレビ用有機ELディスプレイについては「低消費電力性能で我々の技術ではまだ課題がある」(西田社長)ため、商品化を見送り、「シャープの液晶は有機ELよりもダントツに優れている」(同)ことから、薄型テレビについてはシャープ製パネルを搭載した液晶テレビに当面は主軸を置く計画だ。

 一方、シャープにとって「微細化が求められるテレビ用システムLSIには巨額の投資が必要でコアLSIの開発が課題」(片山幹雄・シャープ社長)になっていた。半導体製造に強い東芝から液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」に最適な最先端のLSIを安定供給してもらうことで、高画質性能を高めつつ、コスト競争力も確保。自社で開発する半導体は携帯電話やデジカメ用と液晶の駆動用回路に集中する。

 シャープは3800億円を投じて大阪・堺市に液晶パネル製造の新工場の建設に着手、09年度には稼動させる計画。東芝と長期契約を結び、液晶パネルを大量に供給することで、安定的な生産体制を敷くと同時に、投資の回収を早める。

 薄型テレビは価格競争が激化しているが、西田社長は「今回のようなお互いに強みを持つ同士が提携することが国際競争に勝つためのベストな方法」と強調、「今後は提携領域の拡大も視野に入れている」と述べた。シャープの片山幹雄社長は「お互いの技術のすり合わせを長期にわたり、じっくりすることで海外メーカーにはないオンリーワンの技術が創出できる」と自信を見せた。