主流は一体型へ、デスクトップPC冬商戦速報、iMacでアップルもシェア倍増

特集

2007/12/21 09:20

 デスクトップPCの売れ筋が変化してきた。市場を引っ張るのは、今年に入って過半数を突破してきたディスプレイ一体型モデル。直近の実売ランキングでも、トップ10のうち実に7モデルが占めている。前年比で元気のなかった全体の売り上げも、11月にはVista発売直後と同等の勢いを取り戻してきた。本格的に冬商戦に突入するデスクトップPC市場を「BCNランキング」で速報する。

●11月は「Vista需要」の影響を受けた2月並みに回復

 この1年を振り返ると、販売台数・販売金額ともに対前年比で7-8割程度と前年割れで推移してきたデスクトップPC。しかし、11月には台数・金額ともに対前年比で9割になり、Vistaを発売した直後の2月並みに回復してきた。



 11月の機種別販売台数シェアトップ10では、売れ筋は9-10月頃に各社が相次いで発売した07年冬モデル。冬モデルのほとんどは、OSにWindows Vista Home Premiumを搭載する。形状別では、7機種がディスプレイ一体型、3機種が分離型だ。06年11月時点では44.3%だった一体型だが、07年に入り1月には5割を突破。直近の11月でも50.5%と過半数を占めている。


●1位はNECの取っ手付きモデル、2位は富士通のCore 2 Duo搭載モデル

 11月月次の1位は、NECのディスプレイ一体型「VN750/KG」で7.6%。「VALUESTAR Nシリーズ」のなかでも、17型ワイド液晶ディスプレイを搭載する上位モデル。上部に備える取っ手で持ち運びできる今までになかったデザインで、2007年グッドデザイン賞を受賞した。デスクトップPCだが、ノートPCのように好きな場所に移動させて使用できる。CPUはAMD Turion 64 X2(1.60GHz)、HDD容量は120GB。

 2位は19型ワイド液晶ディスプレイをセットにした、富士通の「FMVCE50X9」でシェアは7.5%。「FMV-DESKPOWER CEシリーズ」2機種のうちの上位モデルで、CPUにCore 2 Duo E4400(2GHz)を搭載し、さまざまな作業をスムーズに行える。PCI Express x16スロットを1基装備し、グラフィックカードなどを追加できる。HDD容量は320GB。

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 3位は20型ワイド液晶ディスプレイを搭載するアップルの「MA876J/A」で4.3%。07年8月に新シリーズとして発売した「iMac」のエントリーモデル。スリムな本体にディスプレイを収めた斬新なデザインが人気を集めている。写真や動画、音楽などを編集できるソフト「iLife'08」も付属する。CPUはCore 2 Duo(2.0GHz)、HDD容量は250GB、OSはMac OS X v10.5 Leopard。


 スペックで注目したいのは、8位のGatewayのディスプレイ別売りモデル「GT5224j」。トップ10で唯一、2GBのメモリを搭載する。すでに店頭に登場し始めている08年春モデルでは、ほとんどが2GBのメモリを採用しており、間もなく標準的な容量になりそうだ。

●NECと富士通が接戦、アップルとGatewayはシェア倍増

 メーカー別販売台数シェア推移(06年12月-07年11月)では、NECと富士通が20%台前半で1、2位を争う接戦を繰り広げている。売れ筋の製品をそれぞれシリーズ別に見てみると、NECはディスプレイ一体型の「Sシリーズ」と分離型の「Lシリーズ」、富士通はAV機能を充実させた「LXシリーズ」とハイスペックな「CEシリーズ」が主に売れたようだ。

 3位以下はGateway、ソニー、アップルと続く。ソニーは、板のように薄いきょう体のボードPC「type L」が好調だった06年12月-07年1月は15%前後だったが、07年2月以降は10%前後までシェアを下げた。一方、アップルとGatewayは、06年12月は5%程度だったが、その後ゆるやかにシェアを伸ばし、07年11月は10%前後まで上昇した。


●Core 2 Duoが3割強に デジタルチューナーは2割まで浸透

 機能面ではどのような変化があるのだろうか。「PCの頭脳」ともいえるCPUの変遷を見てみよう。CPUはこの1年で劇的にシェアが変化した。昨年の冬から今年の夏頃まではCeleronが主流でおよそ4-5割を占めていた。ところが、Core 2 Duoが今年に入って右肩上がりに伸び続け、ついに07年10月にはCeleronと順位が逆転、11月には36.7%と3割強を獲得。Core 2 DuoはデスクトップPCのCPUとして、おおよそ普及してきた。


 現在、デスクトップPCで2割程度を占める、テレビチューナー搭載モデルについても見ておこう。11月の地上デジタルチューナーのうちわけは、地デジ対応のみが10%台半ば、地上・BS・100度CS対応が5%前後。この1年間、地上デジタルチューナーのシェアはそれほど変わらないが、一方で、地上アナログチューナーは激減。06年12月-07年5月にシェアを急激に下げ、当初10%台後半だったのが、11月には1%を切った状態。テレビチューナーはアナログからデジタルへとほぼ移行したといえる。


 こうしてみると、デスクトップPCは、CPUにCore 2 Duoを搭載するディスプレイ一体型モデルがトレンドのようだ。メーカーやシリーズ、機種によって得意分野は異なるので、「映像や音楽を楽しみたい」「持ち運びできるものがいい」「作業をサクサクこなしたい」など、用途に応じたモデルを選びたい。(BCN・井上真希子)


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。