プリンタ買うなら複合機? 主流のA4インクジェット機で7割を突破
インクジェットプリンタの主流は最大印刷サイズがA4の製品。その中で複合機の割合が高まっている。1台でプリンタ、スキャナ、コピー機としても利用できる「複合機」のシェアは、この11月で74.5%を記録。今や個人やSOHO向けプリンタの中心的な存在になった。そこで、年末商戦序盤の11月の売れ筋動向を「BCNランキング」でまとめた。
●7割突破でますます高まる複合機の存在感
最大印刷サイズA4の製品が約9割を占めるインクジェットプリンタ。その中での複合機の割合は、04年の42.1%から05年が54.8%、06年が67.5%と、年を追うごとに広がっている。07年1月-11月までの累計では、単機能機が27.5%、複合機が72.5%という状況。10月上旬からキヤノンやエプソンを始めとする主要プリンタメーカーが冬商戦向けの新製品を投入したが、その後の11月では74.5%と、複合機の比率はさらに拡大した。
「複合プリンタ」や「オールインワンプリンタ」とも呼ばれる複合機が主流になった背景には、画質の向上や低価格化、製品ラインアップの変化などが挙げられるだろう。10・11月に発売された新製品に限ると、複合機のメモリカードスロット・液晶モニタ搭載率はほぼ100%。赤外線通信に対応し、携帯電話からダイレクトに写真などを印刷できる機種も多い。単にパソコンから印刷するだけではなく、多目的に活用できるのも複合機共通の特徴だ。
●11月の機種別トップはキヤノン、メーカー別トップは僅差でエプソンが制す
インクジェットプリンタ市場はキヤノン、エプソンの2社の寡占状態が続いている。07年11月のA4インクジェットプリンタのメーカー別販売台数シェアは、キヤノンが48%、エプソンが45%、その他が7%で、上位2社だけで実に93%に達した。
しかし、複合機に限ると、エプソンが47.7%、キヤノンが44.5%となり、順位は逆転する。機種別では、キヤノンの「PIXUS MP610」がシェア29.8%でトップを獲得。2位はエプソンの「PM-A840」でシェアは25.4%。続く3・4位はエプソンの「PM-T960」「PX-A620」、5位にはキヤノンの「PIXUS MP970」がつけた。
トップ10はこの2社のモデルしか登場せず、3位以下になるとシェアは一桁まで下がる。それぞれナンバー1機種に人気が集中しているといっていい。
キヤノン、エプソン以外のメーカーでは、ブラザー工業のインクジェット複合機「MyMio(マイミーオ)」シリーズのエントリーモデル「DCP-155C」の12位が最上位。そのほか、同シリーズからは、ADF(自動原稿送り装置)付きFAXや無線LANを搭載したSOHO向けモデル「MFC-480CN」が16位に入った。
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ちなみに、プリント機能のみの単機能プリンタに限ると、キヤノンの「PIXUS IP4500」が1位、エプソンの「PM-G860」が2位。複合機、単機能機を合算したインクジェットプリンタ総合では、複合機の「PIXUS MP610」「PM-A840」、単機能機の「PIXUS IP4500」の順だった。
●人気はメーカーイチオシ・ワンランク上の高級機・お手頃クラスの順
ここで、11月の複合機限定ランキング上位の機種について、メーカー別に簡単に特徴を紹介していこう。1位のキヤノンの「PIXUS MP610」は、昨年10月から今年7月まで月次データで1位を獲得し続けていた06年秋モデル「PIXUS MP600」の後継機種。電源を入れてからキー操作が可能になるまでの時間を「MP600」の約20秒から約4秒に大幅に短縮。従来同様、自動両面印刷や前面・背面の2Way給紙に対応し、別途ハガキソフトを購入すれば、年賀状などのハガキも自動で両面印刷できる。
5位の「PIXUS MP970」は、7色独立インクタンクや4800dpiのCCDスキャナを採用した同社複合機の最上位モデル。6位につけた「PIXUS MP520」は、上位モデルの「MP970」「MP600」同様、液晶モニタの画面を見ながら指でクルクルと回して操作する「イージースクロールホイール」を搭載しつつ、自動両面プリントやDVD/CDレーベルプリント機能を省いた4色インクのスタンダードモデルだ。
一方、2位のエプソンの「PM-A840」は、「PIXUS MP600」とほぼ同じ価格帯、似通った仕様のライバル機。自動両面印刷には対応しないものの、インク数が「PIXUS MP610」の5色より1色多く、その分だけ美しい仕上がりが期待できる。
3位の「PM-T960」は、3200dpiのCCDスキャナや無線LANなどを搭載した上位モデル。インク数は「PM-A840」と同じ6色。4位の「PM-A620」は4色顔料インク採用のエントリーモデルで、「PM-A840」などに搭載されている独自の高画質技術「Epson Color」や、小顔・美白補正の効果を加えてプリントできる「ナチュラルフェイス」などには対応しない。
ちなみに、両社の上位モデルに当たる「PM-T960/990」「PIXUS MP970」は、いずれも10Base-T/100Base-TX対応の有線LANポートを標準装備し、ネットワークプリンタとして使うことが可能。対応するデジタルテレビのデータ放送の画面などを印刷することもできる。ただ、有線LANだけではなく、無線LANに標準で対応するのは、エプソンの「PM-T960/990」のみ。この違いが影響したのか、ネットワーク対応モデルに絞ったランキングでは、「PM-T960」がシェア44.4%でダントツの1位だった。
製品ラインアップの違いから、厳密には同等ではないが、キヤノン・エプソンともに、一通りの機能を備えた中級モデル、スキャナなどの基本性能を高め、プラスアルファの機能を追加した上位モデル、実売1万円台の手頃なエントリーモデルの順で売れ筋の傾向が一致した。各クラス間の価格差は1万円ほど。性能面で中級機に位置するナンバー1機種がダントツで人気のワケは、同じメーカー同士で比べた際の値ごろ感の高さにありそうだ。(BCN・嵯峨野芙美)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。
●7割突破でますます高まる複合機の存在感
最大印刷サイズA4の製品が約9割を占めるインクジェットプリンタ。その中での複合機の割合は、04年の42.1%から05年が54.8%、06年が67.5%と、年を追うごとに広がっている。07年1月-11月までの累計では、単機能機が27.5%、複合機が72.5%という状況。10月上旬からキヤノンやエプソンを始めとする主要プリンタメーカーが冬商戦向けの新製品を投入したが、その後の11月では74.5%と、複合機の比率はさらに拡大した。
「複合プリンタ」や「オールインワンプリンタ」とも呼ばれる複合機が主流になった背景には、画質の向上や低価格化、製品ラインアップの変化などが挙げられるだろう。10・11月に発売された新製品に限ると、複合機のメモリカードスロット・液晶モニタ搭載率はほぼ100%。赤外線通信に対応し、携帯電話からダイレクトに写真などを印刷できる機種も多い。単にパソコンから印刷するだけではなく、多目的に活用できるのも複合機共通の特徴だ。
●11月の機種別トップはキヤノン、メーカー別トップは僅差でエプソンが制す
インクジェットプリンタ市場はキヤノン、エプソンの2社の寡占状態が続いている。07年11月のA4インクジェットプリンタのメーカー別販売台数シェアは、キヤノンが48%、エプソンが45%、その他が7%で、上位2社だけで実に93%に達した。
しかし、複合機に限ると、エプソンが47.7%、キヤノンが44.5%となり、順位は逆転する。機種別では、キヤノンの「PIXUS MP610」がシェア29.8%でトップを獲得。2位はエプソンの「PM-A840」でシェアは25.4%。続く3・4位はエプソンの「PM-T960」「PX-A620」、5位にはキヤノンの「PIXUS MP970」がつけた。
トップ10はこの2社のモデルしか登場せず、3位以下になるとシェアは一桁まで下がる。それぞれナンバー1機種に人気が集中しているといっていい。
キヤノン、エプソン以外のメーカーでは、ブラザー工業のインクジェット複合機「MyMio(マイミーオ)」シリーズのエントリーモデル「DCP-155C」の12位が最上位。そのほか、同シリーズからは、ADF(自動原稿送り装置)付きFAXや無線LANを搭載したSOHO向けモデル「MFC-480CN」が16位に入った。
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ちなみに、プリント機能のみの単機能プリンタに限ると、キヤノンの「PIXUS IP4500」が1位、エプソンの「PM-G860」が2位。複合機、単機能機を合算したインクジェットプリンタ総合では、複合機の「PIXUS MP610」「PM-A840」、単機能機の「PIXUS IP4500」の順だった。
●人気はメーカーイチオシ・ワンランク上の高級機・お手頃クラスの順
ここで、11月の複合機限定ランキング上位の機種について、メーカー別に簡単に特徴を紹介していこう。1位のキヤノンの「PIXUS MP610」は、昨年10月から今年7月まで月次データで1位を獲得し続けていた06年秋モデル「PIXUS MP600」の後継機種。電源を入れてからキー操作が可能になるまでの時間を「MP600」の約20秒から約4秒に大幅に短縮。従来同様、自動両面印刷や前面・背面の2Way給紙に対応し、別途ハガキソフトを購入すれば、年賀状などのハガキも自動で両面印刷できる。
5位の「PIXUS MP970」は、7色独立インクタンクや4800dpiのCCDスキャナを採用した同社複合機の最上位モデル。6位につけた「PIXUS MP520」は、上位モデルの「MP970」「MP600」同様、液晶モニタの画面を見ながら指でクルクルと回して操作する「イージースクロールホイール」を搭載しつつ、自動両面プリントやDVD/CDレーベルプリント機能を省いた4色インクのスタンダードモデルだ。
一方、2位のエプソンの「PM-A840」は、「PIXUS MP600」とほぼ同じ価格帯、似通った仕様のライバル機。自動両面印刷には対応しないものの、インク数が「PIXUS MP610」の5色より1色多く、その分だけ美しい仕上がりが期待できる。
3位の「PM-T960」は、3200dpiのCCDスキャナや無線LANなどを搭載した上位モデル。インク数は「PM-A840」と同じ6色。4位の「PM-A620」は4色顔料インク採用のエントリーモデルで、「PM-A840」などに搭載されている独自の高画質技術「Epson Color」や、小顔・美白補正の効果を加えてプリントできる「ナチュラルフェイス」などには対応しない。
ちなみに、両社の上位モデルに当たる「PM-T960/990」「PIXUS MP970」は、いずれも10Base-T/100Base-TX対応の有線LANポートを標準装備し、ネットワークプリンタとして使うことが可能。対応するデジタルテレビのデータ放送の画面などを印刷することもできる。ただ、有線LANだけではなく、無線LANに標準で対応するのは、エプソンの「PM-T960/990」のみ。この違いが影響したのか、ネットワーク対応モデルに絞ったランキングでは、「PM-T960」がシェア44.4%でダントツの1位だった。
製品ラインアップの違いから、厳密には同等ではないが、キヤノン・エプソンともに、一通りの機能を備えた中級モデル、スキャナなどの基本性能を高め、プラスアルファの機能を追加した上位モデル、実売1万円台の手頃なエントリーモデルの順で売れ筋の傾向が一致した。各クラス間の価格差は1万円ほど。性能面で中級機に位置するナンバー1機種がダントツで人気のワケは、同じメーカー同士で比べた際の値ごろ感の高さにありそうだ。(BCN・嵯峨野芙美)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。