失敗しない「薄型大画面テレビ」の選び方 07年冬編

特集

2007/12/12 20:00

 地上デジタル放送(地デジ)の視聴エリアは、昨年末で全国80%以上をカバーした。現在店頭に並ぶテレビのほとんどは地デジのハイビジョン映像に対応し、価格もこなれてきている。いまがまさにテレビの買いどきだ。

=本記事は2007年12月時点の内容です。最新の内容の記事はこちら

液晶かプラズマか――「どこで」「何を」見るかで選ぶ

 現在のテレビの主流は、液晶とプラズマだ。同じ薄型パネルで、外見からでは区別がつきにくい。店頭で実際に画面を見比べても、どちらを選んだらいいのか迷う方も多いだろう。液晶か、プラズマか――それは「どこで」「何を」見るかで決まってくる。

 まずは、自分の視聴環境をチェックしよう。液晶テレビは、明るくメリハリのある映像が特徴。照明が強いリビングや日が差す窓際など、明るい場所で見ると映像がきれいだ。

 一方、プラズマテレビは暗い部屋で鮮明に表示する。逆に部屋が明るいと、画面に映り込みが発生することもある。視野角が広く、大きな部屋に置くのに適している。

 次にポイントになるのは、どのようなコンテンツを視聴するかだ。液晶テレビの明るい映像は、テレビ番組を見るのに適している。スポーツ番組などの動きが速い映像を映すと残像が出るといわれているが、最近の高速液晶技術を備えたモデルなら、残像を抑えて動きは滑らかだ。

 プラズマテレビは、動きが速い映像に強く、残像が少ない。また、引き締まった黒を表現するので、暗いシーンが多い映画を楽しむのにピッタリだ。基本的には、ふだんリビングでテレビ番組を楽しむのなら液晶テレビ、ホームシアターのように部屋を暗くして映画を楽しむことが多いならプラズマテレビを選ぼう。

より大きな画面で迫力ある映像を――サイズは視聴距離で選ぶ

 テレビの大画面化が進んでいるが、実際に自宅のリビングに置くことを考えると、何インチにすればいいか、迷ってしまうもの。薄型テレビの最適な視聴距離は、画面の高さの約3倍が目安。42V型(高さ約53cm)なら、約1.6m。6畳の部屋でも問題なく視聴できる距離だ。

 ブラウン管テレビから買い換える場合、同じ型では縦横比の関係で画面の高さが低くなり、全体的に小さくなったように感じる。サイズアップを実感したいなら、10インチ以上大きなサイズのモデルを選ぼう。いまのテレビは薄いぶん、ブラウン管テレビと同じ場所に10インチ以上大きなサイズのモデルを置くことができるのだ。大画面の迫力は、一度味わうとやみつきになる。

フルHD対応や録画にも注目――性能・機能で選ぶ
 現在販売中のテレビのほとんどは、ハイビジョンに対応している。だが、ハイビジョンの画質を忠実に再現するには、パネルが縦1080×横1920の画素数をもつフルハイビジョン(フルHD)に対応していなければならない。フルHDかそうでないかの違いは、大画面になるほど、はっきりする。ハイビジョンの魅力を存分に堪能したいなら、フルHD対応のモデルを選ぼう。

 ただし、自分が快適に思う画質は、人それぞれだ。パネルの性能だけでは決まらない。同じフルHD画質でも、コントラスト比や色合い、明るさなどが機種によって異なる。特にメーカー各社が技術を競う画像処理回路の“味付け”は、各社各様だ。スペックをきちんと押さえたうえで、店頭で実際の映像を見て、好ましい「自分画質」を選ぼう。

 HDD/DVDレコーダーやゲーム機、ビデオカメラなどの外部機器をつなぐ接続端子もチェックポイント。テレビに接続する機器が多いなら、端子の数が多いモデルを選んだほうがいいし、種類もチェックしておいたほうがいい。

 注目は、1本のケーブルで映像や音声を伝送するHDMI端子だ。データをデジタルのままやりとりするので、映像が劣化しない。機種によっては、同じメーカーのレコーダーやサラウンドシステムとHDMI接続すれば、テレビのリモコンで外部機器を操作できるリンク機能を備えている。リンク機能に対応したHDD/DVDレコーダーを持っているなら、同じメーカーのテレビを選ぶという手もある。

 HDDを内蔵したテレビなら、番組の視聴中にリモコン一つですぐに録画できるので便利だ。HDDを交換・追加できる機種も登場している。HDD/DVDレコーダーを置くスペースがない人、DVDに残しておくことがない人は、HDD内蔵も選択肢に入る。

 次のページからは、プラズマテレビ、液晶テレビの最新トレンドを解説していく。同時に、各社の注目機種も紹介していくので、購入の参考にしてもらいたい。

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【プラズマテレビ編】
サイズの拡充が進み、導入しやすくなったプラズマテレビ


 地上デジタル放送や次世代DVDなど、ハイビジョンの普及にともない、美しい映像をより大きな画面で楽しみたいというユーザーが増えたことで、薄型テレビは大型・高精細化の需要が高まっている。こうした動向をにらみ、プラズマテレビではメーカー各社が40-50V型のラインアップを拡充。現在は50V型以上の製品に力を入れている。

メーカー各社の注目モデル、その特徴は?

●松下電器産業
 松下電器産業のプラズマテレビ「VIERA(ビエラ)」の「PZ750」シリーズは、フルHDのパネルを採用。画面サイズが42、50、58、65V型の機種を揃える。

 10000:1の高コントラスト映像に、3ウェイ6スピーカーの「ダイナミック サウンドスピーカーシステム」を搭載。HDMIケーブルで接続することで、テレビのリモコンで同社製のHDD-DVDレコーダーなどを操作できるリンク機能「ビエラリンク」にも対応する。

●日立製作所
 日立製作所のプラズマテレビ「Wooo(ウー)」の「XR01」シリーズは、コントラスト比が10000:1のフルHDパネルを搭載。250GBのHDDを内蔵しており、ハイビジョン番組をそのまま録画することができる。50、60V型の機種が発売されている。

 最大の特徴は、外付けHDD用スロット「iVポケット」の搭載。専用の着脱式HDD「iVDR-S」を使って、ハイビジョン番組をそのままの画質で録画することができる。ドラマや番組のジャンルごとでディスクを使い分ければ、録画番組の整理も簡単に行える。

●パイオニア
 映像の黒色の再現に力を入れたプラズマテレビがパイオニアの「KURO(クロ)」だ。プラズマテレビがパネルを光らせるために必要な予備放電の光を小さくすることで、黒色の輝度を5分の1に抑制。深い黒を表現するのが難しいといわれているプラズマテレビの弱点を克服した。フルHDパネルの「PDP-HD」シリーズでは、50、60V型の画面サイズを用意。コントラスト比は20000:1で、メリハリのある映像を表示する。



【液晶テレビ編】
カラー選びの幅が広がった液晶テレビ


 薄型テレビのカラーというと、ブラックやシルバーというイメージが一般的だ。この2色はどんなインテリアでもあうが、より部屋のトータルコーディネートにこだわる人にとっては2色では物足りない感があった。しかし、最近の液晶テレビでは、黒や銀だけではなく、個性的なカラーバリエーションを揃えた機種が登場。色の選択肢が広がっている。

 その1つがソニーの液晶テレビ「BRAVIA(ブラビア)」。「X5000シリーズ」ではシルバー、ブラック、ホワイト、ブラウン、ブルー、レッドと6色のカラーを用意している。


 そのほかにも、シャープの液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」の「Dシリーズ」が3色、東芝の液晶テレビ「REGZA(レグザ)」の「RF350シリーズ」の40V型が4色など、複数の色を展開する機種は増えてきている。テレビの新規購入や買い替えを検討していて、インテリアとの調和を追求するならば、自分の部屋に合う色をポイントに、テレビを選ぶのも楽しいだろう。

壁かけモデルや設置自由な「超薄型」モデルも登場

 液晶テレビは、カラーバリエーションが増える一方で、薄型・軽量化も進んでいる。そのため、これまでのようにラックに載せて部屋の壁に沿って置くだけではなく、壁に直接かけて使うこともできるようになってきた。

 「AQUOS」の「Gシリーズ」は、重さが46V型で26.5kg、32V型では15kgで、液晶パネルからテレビの仕様まで一貫して設計することで、軽量化、スリム化を実現。以前は壁内部の補強工事などが必要で、手軽にはできなかった壁かけを専用金具だけで簡単にできるようにした。


 一方、薄型を超えた「超薄型」モデルも登場している。日立の液晶テレビ「Wooo UTシリーズ」は、ディスプレイとチューナーを分離することで、最薄部で35mmを実現した。ディスプレイとチューナーは、HDMIケーブルで接続する。


 ディスプレイとチューナーを切り離し、ディスプレイ部を薄くしたことで、場所をとらずに済み、ユーザーがテレビを置く場所を選びえる自由度が増した。

 別売のワイヤレスユニットを使用すれば、HDMIケーブルの接続も不要で、さらに思い通りのレイアウトにすることが可能。チューナー部には「iVポケット」を搭載しており、「iVDR-S」にハイビジョン番組を録画することもできる。

超薄型の次世代TV有機ELにも注目

 「超薄型」ということでもう1つ注目なのは、ソニーの有機ELテレビ「XEL-1」。有機ELは有機材料に電圧をかけて発光するため、バックライトが不要でパネルを薄くすることができる。XEL-1ではパネルの薄さは3mmを実現した。コントラスト比は100万:1以上で、輝度、色再現性、動画性能は、液晶やプラズマテレビより優れているという。


 XEL-1は画面サイズは11V型と小さく、2台目のパーソナルテレビという位置付けだ。ソニーでは将来的には大画面の有機ELテレビの発売も検討している。