充実の中・上級デジタル一眼レフ、製品選びのカンドコロ教えます
07年前半は入門機がにぎやかだったデジタル一眼レフカメラ市場。後半はメーカー各社がハイアマチュアやプロ向けの機種を続々と発売し、中・上級機に注目が集まっている。魅力的な製品が揃ってきたことで、コンパクトデジタルカメラやエントリークラスのデジタル一眼レフから乗り換えようと思っている人も少なくないだろう。そこで、中・上級デジタル一眼レフカメラ購入の注意点と、メーカー別のラインアップについて最新機種を中心に紹介しよう。
4種類のなかで、撮像素子のサイズが一番大きいのが35ミリフルサイズ。センサーの大きさが35ミリ銀塩フィルムの1コマ分と同じで、受光面積が最も大きいのが特徴だ。
一方、「APS-H」「APS-C」は銀塩フィルム時代に登場した写真システム「アドバンスドフォトシステム(APS)」をベースにした撮像素子のサイズだ。APSは、35ミリフィルムと同じ3:2の画面比率の「Cサイズ」、16:9のハイビジョンと同じ画面比率の「Hサイズ」、35ミリフィルムのパノラマと同じ「Pサイズ」のサイズで撮影できるシステム。デジタル一眼レフの「APS-C」「APS-H」は、APSの「Cサイズ」「Hサイズ」相当の面積を持ったセンサーとして開発された。
「フォーサーズ」は4/3型センサーを採用したデジタル一眼レフの独自フォーマットとして開発された。オリンパスと松下電器産業、米イーストマン・コダックが提唱。名称はセンサーのサイズが由来している。撮像素子のサイズは35ミリフィルムの半分程度の面積しかなく、「APS-C」よりもさらに小さい。
●「受光感度」「レンズの焦点距離」に違いあり
では、4つの撮像素子のサイズではどんな違いがあるのだろうか。最も異なるのは「受光感度」と「レンズの焦点距離」だ。
撮像素子は、1画素=1個の受光素子(光を電気信号に変える半導体)の集合体。素子の面積が大きければ、それだけ多くの光を取り込んで高画質な画像を記録できる。
例えば、画素数が1200万のデジタル一眼レフでも撮像素子が35ミリフルサイズとAPS-Cでは、35ミリフルサイズが面積が広く、受光素子も大きくなる。また、少ない光量でも確実に受光できるので、高感度撮影にも強くなる。
撮像素子のサイズが最も大きく影響するのは、レンズの焦点距離と写真との関係。焦点距離とは「18-55mm」「70-200mm」「50mm」などとレンズに表記されている数字のことで、レンズの中の主点と呼ばれる位置から撮像素子やフィルムまでの距離をいう。数字が小さいほど広い範囲が写り、大きいほど遠くのものを引き寄せて撮れる。多くの交換レンズを駆使して35ミリフィルムの一眼レフカメラを使っていた人なら、この数字を聞いただけで、どんな写真が撮れるかが分かるだろう。
しかし、例えば「APS-C」の場合は35ミリフィルムよりも撮像素子のサイズが小さいため、APS-Cのデジタル一眼レフに50ミリの交換レンズを装着すると、35ミリフィルムカメラで撮影するのと比べて狭い範囲しか記録されない。結果として画像がトリミングされた形になり、35ミリフィルムカメラ換算で約1.5倍の焦点距離のレンズで撮った場合と同様に被写体が大きく写る。つまりこの場合、35ミリフィルムカメラで75ミリレンズを使って撮影したものと同程度の写真が撮れるというわけだ。
フォーサーズシステムでは、撮像素子がさらに小さくなる。逆に被写体はもっと大きく写り、表記の2倍相当のレンズを使って35ミリフィルムカメラで撮影した場合と同様の効果が得られる。
●35ミリフルはプロ用で高額、その他のサイズは選択肢が多い
「画質」「レンズの焦点距離」で言えば、35ミリフルサイズのデジタル一眼レフが使い勝手が良い。しかし、35ミリフルサイズのセンサーは、プロ用のフラッグシップ機に採用するメーカーが多く、手軽に手が出せない高価な機種がほとんどだ。
また、35ミリフルサイズは、レンズの周辺まで使って光を集め撮影している。それに対応するためには周辺部までしっかり結像して、にじみや色ズレ、光量落ちがない優秀なレンズが必要だ。一般にそうしたレンズは大きく重いうえ、値段も高い。
そのほかのサイズのデジタル一眼レフは、メーカーが幅広い機種を発売しており、性能や価格で選択できる幅が多い。また、専用の交換レンズはコンパクトに設計できるので、小型・軽量なタイプが多く、持ち運びにも便利だ。
さらに、カメラに交換レンズを接続する「マウント」と呼ばれる取り付け部は、メーカーによって異なる。キヤノンは「キヤノンEFマウント」、ニコンは「ニコンFマウント」、ソニーは「αマウント」、ペンタックスは「KAF2マウント」(デジタル一眼レフカメラ「K100D」より前の機種は「KAFマウント」)、オリンパス、松下は「フォーサーズマウント」を採用している。
交換レンズは自分が所有しているカメラのマウントと違うものは使うことができないので注意が必要だ。基本的には持っているカメラメーカーの交換レンズを購入すれば安心だ。
これから中・上級機を買おうと考えている人は、こうした点を踏まえながら、予算と交換レンズを揃えていくことを念頭に、どのタイプを使いたいかをよく検討しよう。センサーの違いがわかったところで、中・上級のデジタル一眼レフにはどんな機種があるのか、メーカー別に紹介していこう。
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■キヤノン
●EOS-1Ds Mark III
35ミリフルサイズの有効2110万画素のCMOSセンサーを搭載したプロ用のフラッグシップ機。映像処理回路「DIGIC III」を2基搭載し、最高で毎秒約5コマの高速連写を実現した。
オートフォーカス(AF)は、高精度クロスタイプの19点。これに26点のアシスト測距点(任意選択は不可)を加えることで、動きの速い被写体や暗い状況下でも的確なピント合わせができる。モニターは3インチ液晶。モニターを見ながら撮影ができるライブビュー機能も搭載した。
被写体の繊細なディテールまでも余すところなく写す描写力は大判カメラにさえも匹敵するほどの画質。それだけに、このカメラを操るには、少なくとも中判カメラを自在に扱えるくらいの技術力が必要かもしれない。
●EOS-1D Mark III
「EOS-1Ds Mark III」と並ぶキヤノンのもう1つのプロ用デジタル一眼レフ。センサーにはサイズが28.1×18.7mmの「APS-H」タイプのCMOSを採用した。画素数は有効1010万。
映像処理回路「DIGIC III」を2基搭載しており、毎秒約10コマの高速連写が可能。19点AFをはじめ、階調を豊かに表現できる「高輝度側・階調優先」機能、付着したゴミやホコリを超音波振動でふるい落とすゴミ対策の「セルフクリーニングセンサーユニット」なども搭載する。モニターの大きさやライブビューなど、「EOS-1Ds Mark III」と共通する機能も盛り込まれている。
●EOS 40D
有効画素数は1010万で、22.2×14.8mmの「APS-Cサイズ」のCMOSを採用したの中級機。映像処理回路「DIGIC III」を搭載し、毎秒6.5コマの高速連写ができる。
「高輝度側・階調優先」「セルフクリーニングセンサーユニット」、3型の液晶モニター、ライブビュー機能などフラッグシップ機並みの性能を搭載した。AFは全点クロスタイプの9点で、高速で正確なピント合わせが可能。レンズキットは、レンズ内手ブレ補正機構搭載の標準ズームがパッケージされており、レンズも一緒に購入する人にはおすすめだ。
●EOS 5D
有効画素数1280万画素の35ミリフルサイズCMOSセンサーを搭載する上級機。発売当時、35ミリフルサイズの撮像素子を搭載しながら40万円を切る価格が大きな話題となった。1画素当たりの受光面積が大きく、豊かな階調と広いダイナミックレンジが特徴。画像の解像感も「EOS-1D Mark III」並みを誇り、いまだに高い人気を集めている。
■ニコン
●D3
「ニコン FXフォーマット」と呼ぶ、35ミリフルサイズに相当する36.0×23.9mmのCMOSセンサーを搭載した最新のプロ用デジタル一眼レフ。有効画素数は1210万画素で、豊かな階調表現と広いダイナミックレンジが特徴だ。
常用感度はISO200-6400(ISO25600まで増感可能)の高感度撮影に対応。ファインダーは視野率が約100%で、51のAF測距点をもち、毎秒約9コマの高速連写が可能だ。
さらに、画像処理コンセプト「EXPEED」や、1005分割RGBセンサーを活用した「シーン認識システム」、2種類のライブビュー機能など、最先端機能も盛り込まれている。モニターは92万画素の3インチ液晶で見やすい。
●D300
有効画素数は1230万。「ニコン DXフォーマット」と呼ぶ、「APS-C」相当の23.6×15.8mmの大きさのCMOSセンサーを搭載する。画像処理コンセプト「EXPEED」、新開発「シーン認識システム」、51点AF、2種類のライブビュー機能、92万画素の3インチ液晶モニターなど、撮像素子の性能以外は「D3」と同じ機能を備える。
連写機能は毎秒6コマ。別売りのバッテリーパックを使用すると毎秒8コマの撮影が可能だ。ニコンのデジタル一眼レフでは初のローパスフィルターに付着したゴミを振動で除去する「イメージセンサークリーニング機能」も搭載した。一般的には中級機に分類される機種だが、ニコンではプロ用と位置付けている。
●D200
撮像素子に、「ニコン DXフォーマット」対応の有効1020万画素CCDを搭載する中級機。視野率が約95%の大きくて見やすいファインダー、11点AFなどで多くのユーザーから支持を集めている。「D300」の登場でやや影が薄くなった感があるが、ニコンの中級機としての位置づけはまだまだ不動だ。
●D80
「D200」の姉妹機として発売された中級機。有効1020万画素の「ニコン DXフォーマット」対応のCCDや11点AFなど、「D200」と同等の性能をもつ。記録媒体は、ニコンのデジタル一眼レフの入門機やコンパクトデジカメなどで使われているSDメモリーカードを採用している。
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■ソニー
●α700
ソニーのデジタル一眼レフ「α」シリーズの中級機。撮像素子には、新開発した有効1220万画素のCMOSセンサー「Exmor(エクスモア)」を採用。画像処理回路「BIONZ(ビオンズ)」を搭載しており、ノイズなどを大幅に抑えながら、高い解像度と豊かな階調表現を実現した。
AFは、中央デュアルクロスの11点。撮影画像を瞬時に分析し、白飛びや黒つぶれなどを検出して、最適な露出と階調表現に自動補正してくれる「Dレンジオプティマイザー機能」を搭載。ボディ内蔵手ブレ補正を備えており、最大4段分の効果を発揮する。ゴミ対策機能も備える。
3インチの液晶モニターは、約92.1万画素と高精細で、画像の細部まで色鮮やかに表示できる。HDMI端子を搭載しており、液晶テレビ「BRAVIA(ブラビア)」と接続すれば、撮影画像をハイビジョン画質で楽しむことも可能だ。
■オリンパス
●E-3
オリンパスの最新フラッグシップ機。画素数は有効1010万。AFは、新開発の11点全点ツインクロスセンサーを採用し、同時に発売する小型超音波モーター「SWD」内蔵した交換レンズを使用することで、世界最速のAFスピードを実現した。
シャッタースピードで最大5段分の手ブレ補正効果をもつボディ内蔵手ブレ補正機構を搭載。ライブビュー機能も備える。液晶モニターは2.5インチで縦と横に自在に回転する2軸可動式。ライブビュー機能を活用して、高い位置や低い場所を撮影する場合に便利だ。
●E-510
有効1000万画素の4/3型Live MOSセンサーを採用した中級機。シャッタースピードで最大4段分のボディ内手ブレ補正機構と、ライブビュー機能を搭載する。超音波の振動でゴミやホコリをふるい落とすオリンパス独自の高性能ダストリダクション機能も装備。幅136×高さ91.5×奥行き68mmのサイズで、本体の重量が470gという小型軽量なボディは標準ズームレンズを装着しても小さく、軽くて使い勝手が良い。
■ペンタックス
●K10D
06年10月発売の中級機。有効1020万画素のAPS-CサイズのCCDを撮像素子に採用。撮像素子シフト方式の「手ぶれ補正機構SR(シェイクリダクション)」や、ペンタックス独自のゴミ対策機能「ホコリ除去機構DR(ダストリムーバル)」などを搭載する。
プログラムAEから瞬時にシャッター優先AEや絞り優先AEに移行できる「ハイパープログラム」、ISO感度を固定して、その感度で適正露出になるようにシャッター速度と絞りをカメラが自動制御する「感度優先」モードなど、他メーカーにはない独自の撮影機能を備えている点も魅力だ。
■松下電器産業
●LUMIX DMC-L10
撮像素子に、新開発の4/3型で有効1010万画素のLiveMOSセンサーを搭載した中級機。最大の特徴は、最大15人までの顔を検出することができるという顔認識機能「顔認識AF/AE」をデジタル一眼レフで初めて搭載した点。被写体が動いても、カメラが自動で顔を追尾する顔追従機能も備えている。
ライブビュー機能を搭載。ライブビューを使った撮影では、位相差AFとコントラストAFの2つを切り換えて撮影を行うことができる。超音波振動を利用して、付着したゴミやホコリを除去する「スーパーソニックウェーブフィルター」も装備する。
液晶モニターは2.5インチで、左右180度、上下270度に動作するフリーアングルタイプで、ライブビューの撮影で威力を発揮。レンズキットは、手ブレ補正機構を内蔵したライカのズームレンズが付属する。
※08年7月21日追記:撮像素子のサイズについて、一部不正確な記述があったため修正しました。
●4種類あるセンサーサイズ、それぞれの特徴は?
中・上級のデジタル一眼レフを購入する場合で、一番注意すべきポイントはCCDやCMOSといった撮像素子の「サイズ」。なぜなら撮像素子の大きさで、写真の写りや使い勝手が違ってくるからだ。では、撮像素子にはどんなサイズがあるのだろうか。まずはその種類と特徴について詳しく説明していこう。
中・上級デジタル一眼レフの撮像素子のサイズは「35ミリフルサイズ」「APS-C」「APS-H」「フォーサーズ」の4種類がある。それぞれの大きさはカメラメーカーごとに微妙に異なるが、「35ミリフルサイズ」が36×24mm。「APS-H」は28.1×18.7mm、「APS-C」は23.4×16.7mm、「フォーサーズ」は17.3×13mmが一般的なサイズだ。
4種類のなかで、撮像素子のサイズが一番大きいのが35ミリフルサイズ。センサーの大きさが35ミリ銀塩フィルムの1コマ分と同じで、受光面積が最も大きいのが特徴だ。
一方、「APS-H」「APS-C」は銀塩フィルム時代に登場した写真システム「アドバンスドフォトシステム(APS)」をベースにした撮像素子のサイズだ。APSは、35ミリフィルムと同じ3:2の画面比率の「Cサイズ」、16:9のハイビジョンと同じ画面比率の「Hサイズ」、35ミリフィルムのパノラマと同じ「Pサイズ」のサイズで撮影できるシステム。デジタル一眼レフの「APS-C」「APS-H」は、APSの「Cサイズ」「Hサイズ」相当の面積を持ったセンサーとして開発された。
「フォーサーズ」は4/3型センサーを採用したデジタル一眼レフの独自フォーマットとして開発された。オリンパスと松下電器産業、米イーストマン・コダックが提唱。名称はセンサーのサイズが由来している。撮像素子のサイズは35ミリフィルムの半分程度の面積しかなく、「APS-C」よりもさらに小さい。
●「受光感度」「レンズの焦点距離」に違いあり
では、4つの撮像素子のサイズではどんな違いがあるのだろうか。最も異なるのは「受光感度」と「レンズの焦点距離」だ。
撮像素子は、1画素=1個の受光素子(光を電気信号に変える半導体)の集合体。素子の面積が大きければ、それだけ多くの光を取り込んで高画質な画像を記録できる。
例えば、画素数が1200万のデジタル一眼レフでも撮像素子が35ミリフルサイズとAPS-Cでは、35ミリフルサイズが面積が広く、受光素子も大きくなる。また、少ない光量でも確実に受光できるので、高感度撮影にも強くなる。
撮像素子のサイズが最も大きく影響するのは、レンズの焦点距離と写真との関係。焦点距離とは「18-55mm」「70-200mm」「50mm」などとレンズに表記されている数字のことで、レンズの中の主点と呼ばれる位置から撮像素子やフィルムまでの距離をいう。数字が小さいほど広い範囲が写り、大きいほど遠くのものを引き寄せて撮れる。多くの交換レンズを駆使して35ミリフィルムの一眼レフカメラを使っていた人なら、この数字を聞いただけで、どんな写真が撮れるかが分かるだろう。
しかし、例えば「APS-C」の場合は35ミリフィルムよりも撮像素子のサイズが小さいため、APS-Cのデジタル一眼レフに50ミリの交換レンズを装着すると、35ミリフィルムカメラで撮影するのと比べて狭い範囲しか記録されない。結果として画像がトリミングされた形になり、35ミリフィルムカメラ換算で約1.5倍の焦点距離のレンズで撮った場合と同様に被写体が大きく写る。つまりこの場合、35ミリフィルムカメラで75ミリレンズを使って撮影したものと同程度の写真が撮れるというわけだ。
フォーサーズシステムでは、撮像素子がさらに小さくなる。逆に被写体はもっと大きく写り、表記の2倍相当のレンズを使って35ミリフィルムカメラで撮影した場合と同様の効果が得られる。
●35ミリフルはプロ用で高額、その他のサイズは選択肢が多い
「画質」「レンズの焦点距離」で言えば、35ミリフルサイズのデジタル一眼レフが使い勝手が良い。しかし、35ミリフルサイズのセンサーは、プロ用のフラッグシップ機に採用するメーカーが多く、手軽に手が出せない高価な機種がほとんどだ。
また、35ミリフルサイズは、レンズの周辺まで使って光を集め撮影している。それに対応するためには周辺部までしっかり結像して、にじみや色ズレ、光量落ちがない優秀なレンズが必要だ。一般にそうしたレンズは大きく重いうえ、値段も高い。
そのほかのサイズのデジタル一眼レフは、メーカーが幅広い機種を発売しており、性能や価格で選択できる幅が多い。また、専用の交換レンズはコンパクトに設計できるので、小型・軽量なタイプが多く、持ち運びにも便利だ。
さらに、カメラに交換レンズを接続する「マウント」と呼ばれる取り付け部は、メーカーによって異なる。キヤノンは「キヤノンEFマウント」、ニコンは「ニコンFマウント」、ソニーは「αマウント」、ペンタックスは「KAF2マウント」(デジタル一眼レフカメラ「K100D」より前の機種は「KAFマウント」)、オリンパス、松下は「フォーサーズマウント」を採用している。
交換レンズは自分が所有しているカメラのマウントと違うものは使うことができないので注意が必要だ。基本的には持っているカメラメーカーの交換レンズを購入すれば安心だ。
これから中・上級機を買おうと考えている人は、こうした点を踏まえながら、予算と交換レンズを揃えていくことを念頭に、どのタイプを使いたいかをよく検討しよう。センサーの違いがわかったところで、中・上級のデジタル一眼レフにはどんな機種があるのか、メーカー別に紹介していこう。
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■キヤノン
●EOS-1Ds Mark III
35ミリフルサイズの有効2110万画素のCMOSセンサーを搭載したプロ用のフラッグシップ機。映像処理回路「DIGIC III」を2基搭載し、最高で毎秒約5コマの高速連写を実現した。
オートフォーカス(AF)は、高精度クロスタイプの19点。これに26点のアシスト測距点(任意選択は不可)を加えることで、動きの速い被写体や暗い状況下でも的確なピント合わせができる。モニターは3インチ液晶。モニターを見ながら撮影ができるライブビュー機能も搭載した。
被写体の繊細なディテールまでも余すところなく写す描写力は大判カメラにさえも匹敵するほどの画質。それだけに、このカメラを操るには、少なくとも中判カメラを自在に扱えるくらいの技術力が必要かもしれない。
●EOS-1D Mark III
「EOS-1Ds Mark III」と並ぶキヤノンのもう1つのプロ用デジタル一眼レフ。センサーにはサイズが28.1×18.7mmの「APS-H」タイプのCMOSを採用した。画素数は有効1010万。
映像処理回路「DIGIC III」を2基搭載しており、毎秒約10コマの高速連写が可能。19点AFをはじめ、階調を豊かに表現できる「高輝度側・階調優先」機能、付着したゴミやホコリを超音波振動でふるい落とすゴミ対策の「セルフクリーニングセンサーユニット」なども搭載する。モニターの大きさやライブビューなど、「EOS-1Ds Mark III」と共通する機能も盛り込まれている。
●EOS 40D
有効画素数は1010万で、22.2×14.8mmの「APS-Cサイズ」のCMOSを採用したの中級機。映像処理回路「DIGIC III」を搭載し、毎秒6.5コマの高速連写ができる。
「高輝度側・階調優先」「セルフクリーニングセンサーユニット」、3型の液晶モニター、ライブビュー機能などフラッグシップ機並みの性能を搭載した。AFは全点クロスタイプの9点で、高速で正確なピント合わせが可能。レンズキットは、レンズ内手ブレ補正機構搭載の標準ズームがパッケージされており、レンズも一緒に購入する人にはおすすめだ。
●EOS 5D
有効画素数1280万画素の35ミリフルサイズCMOSセンサーを搭載する上級機。発売当時、35ミリフルサイズの撮像素子を搭載しながら40万円を切る価格が大きな話題となった。1画素当たりの受光面積が大きく、豊かな階調と広いダイナミックレンジが特徴。画像の解像感も「EOS-1D Mark III」並みを誇り、いまだに高い人気を集めている。
■ニコン
●D3
「ニコン FXフォーマット」と呼ぶ、35ミリフルサイズに相当する36.0×23.9mmのCMOSセンサーを搭載した最新のプロ用デジタル一眼レフ。有効画素数は1210万画素で、豊かな階調表現と広いダイナミックレンジが特徴だ。
常用感度はISO200-6400(ISO25600まで増感可能)の高感度撮影に対応。ファインダーは視野率が約100%で、51のAF測距点をもち、毎秒約9コマの高速連写が可能だ。
さらに、画像処理コンセプト「EXPEED」や、1005分割RGBセンサーを活用した「シーン認識システム」、2種類のライブビュー機能など、最先端機能も盛り込まれている。モニターは92万画素の3インチ液晶で見やすい。
●D300
有効画素数は1230万。「ニコン DXフォーマット」と呼ぶ、「APS-C」相当の23.6×15.8mmの大きさのCMOSセンサーを搭載する。画像処理コンセプト「EXPEED」、新開発「シーン認識システム」、51点AF、2種類のライブビュー機能、92万画素の3インチ液晶モニターなど、撮像素子の性能以外は「D3」と同じ機能を備える。
連写機能は毎秒6コマ。別売りのバッテリーパックを使用すると毎秒8コマの撮影が可能だ。ニコンのデジタル一眼レフでは初のローパスフィルターに付着したゴミを振動で除去する「イメージセンサークリーニング機能」も搭載した。一般的には中級機に分類される機種だが、ニコンではプロ用と位置付けている。
●D200
撮像素子に、「ニコン DXフォーマット」対応の有効1020万画素CCDを搭載する中級機。視野率が約95%の大きくて見やすいファインダー、11点AFなどで多くのユーザーから支持を集めている。「D300」の登場でやや影が薄くなった感があるが、ニコンの中級機としての位置づけはまだまだ不動だ。
●D80
「D200」の姉妹機として発売された中級機。有効1020万画素の「ニコン DXフォーマット」対応のCCDや11点AFなど、「D200」と同等の性能をもつ。記録媒体は、ニコンのデジタル一眼レフの入門機やコンパクトデジカメなどで使われているSDメモリーカードを採用している。
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■ソニー
●α700
ソニーのデジタル一眼レフ「α」シリーズの中級機。撮像素子には、新開発した有効1220万画素のCMOSセンサー「Exmor(エクスモア)」を採用。画像処理回路「BIONZ(ビオンズ)」を搭載しており、ノイズなどを大幅に抑えながら、高い解像度と豊かな階調表現を実現した。
AFは、中央デュアルクロスの11点。撮影画像を瞬時に分析し、白飛びや黒つぶれなどを検出して、最適な露出と階調表現に自動補正してくれる「Dレンジオプティマイザー機能」を搭載。ボディ内蔵手ブレ補正を備えており、最大4段分の効果を発揮する。ゴミ対策機能も備える。
3インチの液晶モニターは、約92.1万画素と高精細で、画像の細部まで色鮮やかに表示できる。HDMI端子を搭載しており、液晶テレビ「BRAVIA(ブラビア)」と接続すれば、撮影画像をハイビジョン画質で楽しむことも可能だ。
■オリンパス
●E-3
オリンパスの最新フラッグシップ機。画素数は有効1010万。AFは、新開発の11点全点ツインクロスセンサーを採用し、同時に発売する小型超音波モーター「SWD」内蔵した交換レンズを使用することで、世界最速のAFスピードを実現した。
シャッタースピードで最大5段分の手ブレ補正効果をもつボディ内蔵手ブレ補正機構を搭載。ライブビュー機能も備える。液晶モニターは2.5インチで縦と横に自在に回転する2軸可動式。ライブビュー機能を活用して、高い位置や低い場所を撮影する場合に便利だ。
●E-510
有効1000万画素の4/3型Live MOSセンサーを採用した中級機。シャッタースピードで最大4段分のボディ内手ブレ補正機構と、ライブビュー機能を搭載する。超音波の振動でゴミやホコリをふるい落とすオリンパス独自の高性能ダストリダクション機能も装備。幅136×高さ91.5×奥行き68mmのサイズで、本体の重量が470gという小型軽量なボディは標準ズームレンズを装着しても小さく、軽くて使い勝手が良い。
■ペンタックス
●K10D
06年10月発売の中級機。有効1020万画素のAPS-CサイズのCCDを撮像素子に採用。撮像素子シフト方式の「手ぶれ補正機構SR(シェイクリダクション)」や、ペンタックス独自のゴミ対策機能「ホコリ除去機構DR(ダストリムーバル)」などを搭載する。
プログラムAEから瞬時にシャッター優先AEや絞り優先AEに移行できる「ハイパープログラム」、ISO感度を固定して、その感度で適正露出になるようにシャッター速度と絞りをカメラが自動制御する「感度優先」モードなど、他メーカーにはない独自の撮影機能を備えている点も魅力だ。
■松下電器産業
●LUMIX DMC-L10
撮像素子に、新開発の4/3型で有効1010万画素のLiveMOSセンサーを搭載した中級機。最大の特徴は、最大15人までの顔を検出することができるという顔認識機能「顔認識AF/AE」をデジタル一眼レフで初めて搭載した点。被写体が動いても、カメラが自動で顔を追尾する顔追従機能も備えている。
ライブビュー機能を搭載。ライブビューを使った撮影では、位相差AFとコントラストAFの2つを切り換えて撮影を行うことができる。超音波振動を利用して、付着したゴミやホコリを除去する「スーパーソニックウェーブフィルター」も装備する。
液晶モニターは2.5インチで、左右180度、上下270度に動作するフリーアングルタイプで、ライブビューの撮影で威力を発揮。レンズキットは、手ブレ補正機構を内蔵したライカのズームレンズが付属する。
※08年7月21日追記:撮像素子のサイズについて、一部不正確な記述があったため修正しました。