コンデジすでに8割で「顔認識」、各社とも機能横並びで大混戦時代に突入
高画素化に加えて、高感度や手ブレ補正など、機能が年々高度化しているコンパクトデジカメだが、このところ人気を集めているのは「顔認識」。現在市場で販売されている製品の約8割に搭載されており、もはや「標準機能」になりつつある。一方、製品間の機能差が縮まることで、メーカー間の競争がさらに激化してきた。年末・ボーナス商戦直前の状況を「BCNランキング」でチェックした。
●売れ筋は800万画素の手ブレ補正+顔認識機能搭載モデル
まず、最新の10月第5週(10月29日-11月4日)で、コンパクトデジカメ機種別の売れ筋トップ10をチェックしてみよう。なお、カラーバリエーションは合算して集計した。
1位はキヤノンの「IXY DIGITAL 910 IS」で、販売台数シェアは7.9%。2位は松下電器産業の「LUMIX FX33」、3位はニコンの「COOLPIX S510」で、シェアはそれぞれ7.7%、5.3%だった。トップ10の全機種が顔認識機能つき。またほとんどが07年夏以降発売モデルで手ブレ補正機能を搭載したモデルだった。
高画素化も徐々に進んでおり、07年夏には700万画素クラスのモデルが主流だったが、上位10機種中7機種が有効画素数800-899万画素の800万画素クラス。1000万画素以上の超高画素モデルも2機種ランクインした。
●最大検出可能人数がキモの顔認識、主流は「10人」前後
では人気モデルの特徴を見ていこう。1位の「IXY DIGITAL 910 IS」は、顔認識機能「フェイスキャッチテクノロジー」を搭載。最大9人までの人物の顔を検出してピントを合わせを行う。露出の調整やストロボ発光をコントロールして表情を明るく写すことも可能。また、レンジシフト式の手ブレ補正機構をもちISO1600までの高感度撮影にも対応できる。
有効画素数は800万画素で、35mmフィルム換算で28-105mmの光学3.8倍ワイドズームレンズを搭載した。広角側28mmからの撮影が可能なため、室内のような距離が取れない場面でも、広い画角で多くの人物を撮影することができる。記録媒体は、SDメモリーカード、SDHC、マルチメディアカードなど。ボディーカラーはシルバー。
2位の「LUMIX FX33」は、最大15人までの顔を検出する「顔認識機能」を搭載。被写体にカメラを向けるだけで自動的に最適な設定を行ってくれるので、ユーザーは面倒なモード設定をする必要がない。このほか、光学式手ブレ補正、高感度撮影機能、被写体の動きと明るさにあわせてISO感度とシャッタースピードを設定する「動き認識」機能を搭載し、被写体ブレを防ぐ。
有効画素数は810万画素、35mmフィルム換算で28-100mmと光学3.6倍の独ライカ製ズームレンズを装備する。記録媒体はSDメモリーカード、SDHCで、マルチメディアカードは静止画のみ利用できる。カラーはプレシャスシルバー、カクテルピンク、ショコラブラウン、コスモブルー、シェルホワイトの5色。
3位の「COOLPIX S510」は、最大12人までの顔を検出できる「顔認識AF2.0」を搭載。カメラが自動的に人の顔を認識するだけではなく、背景の明るさとのバランスを調整し、顔と背景ともキレイに写すことができる。
有効画素数は810万画素、35mmフィルム換算で35-105mmの光学3倍ズームレンズを搭載した。また起動時間を早め、800万画素クラスで世界最速の起動時間約0.7秒を実現し、とっさのシャッターシャンスを逃さず撮影できるのが特徴。カラーは、シルバー、アーバンブラック、ラズベリーレッドの3色。
●わずか2年8か月で顔認識搭載が8割に
今や「標準搭載機能」ともなりつつある顔認識機能だが、初めて搭載されたのは、05年2月にニコンが発売したコンパクトデジカメ「COOLPIX 5900」。「世界で初めて人物の顔を検知してピントを合わせることができるデジカメ」として発売した。同社広報によると「コンパクトデジカメは人の顔を撮影する機会が多い。また一眼レフユーザーと違い、カメラに詳しくないユーザーも多い。顔をキレイに撮れたらいいのに、というユーザーの不満を解消するため」搭載したという。
では、人気が高まったのはいつぐらいか。今からちょうど1年前の06年11月第1週(11月6日-11月12日)の時点では、顔認識機能を搭載したモデルの販売台数シェアは21.2%。その後、徐々に普及したが、07年3月第3週(3月19-25日)の時点でも、シェアは3割程度だった。
しかし、4月を過ぎ、夏に向けて販売台数シェアは急激に伸び始め、07年6月第1週(6月4日-10日)で、初めてシェア5割を突破。その後、さらに加速を続け、直近の10月第5週では79.9%にまで拡大した。ニコンが「COOLPIX 5900」を発売してから、わずか約2年8か月で、市場で販売されているコンパクトデジカメの約8割が顔認識機能つきになったわけだ。
●激しい攻防戦が続くコンパクトデジカメ市場 抜け出すのはどこか?
最後にメーカー別販売台数シェアを見ていこう。07年10月月次データで上位10位以内に入っているメーカーを抜き出し、1年間の販売台数シェアの変動を辿った。
これまでのコンパクトデジカメ市場では、キヤノン1社が抜きん出て、他社は新製品を投入した時に急激をシェアを伸ばす、といった状態が続いていた。しかし07年春ごろからキヤノンが他社に押されて失速。夏ごろから極めて激しい混戦状態に突入している。さらに9月には、新モデルを投入した松下がトップシェアを獲得するなど、ますます混迷の色を深めている。
キヤノンは9月、「IXY DIGITAL 910 IS」の発売効果で10月には何とか持ち直し、シェア19.3%で再び首位に浮上した。しかし2位以下は松下14.6%、ソニー14.0%、富士フイルム11.6%と団子状態でひしめいている。年末商戦に向け、キヤノンが加速して逃げ切るか、あるいは、さらに激しいデッドヒートを繰り広げることになるのか、注目したい。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など23社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。
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1位はキヤノンの「IXY DIGITAL 910 IS」で、販売台数シェアは7.9%。2位は松下電器産業の「LUMIX FX33」、3位はニコンの「COOLPIX S510」で、シェアはそれぞれ7.7%、5.3%だった。トップ10の全機種が顔認識機能つき。またほとんどが07年夏以降発売モデルで手ブレ補正機能を搭載したモデルだった。
高画素化も徐々に進んでおり、07年夏には700万画素クラスのモデルが主流だったが、上位10機種中7機種が有効画素数800-899万画素の800万画素クラス。1000万画素以上の超高画素モデルも2機種ランクインした。
●最大検出可能人数がキモの顔認識、主流は「10人」前後
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有効画素数は800万画素で、35mmフィルム換算で28-105mmの光学3.8倍ワイドズームレンズを搭載した。広角側28mmからの撮影が可能なため、室内のような距離が取れない場面でも、広い画角で多くの人物を撮影することができる。記録媒体は、SDメモリーカード、SDHC、マルチメディアカードなど。ボディーカラーはシルバー。
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有効画素数は810万画素、35mmフィルム換算で28-100mmと光学3.6倍の独ライカ製ズームレンズを装備する。記録媒体はSDメモリーカード、SDHCで、マルチメディアカードは静止画のみ利用できる。カラーはプレシャスシルバー、カクテルピンク、ショコラブラウン、コスモブルー、シェルホワイトの5色。
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有効画素数は810万画素、35mmフィルム換算で35-105mmの光学3倍ズームレンズを搭載した。また起動時間を早め、800万画素クラスで世界最速の起動時間約0.7秒を実現し、とっさのシャッターシャンスを逃さず撮影できるのが特徴。カラーは、シルバー、アーバンブラック、ラズベリーレッドの3色。
●わずか2年8か月で顔認識搭載が8割に
今や「標準搭載機能」ともなりつつある顔認識機能だが、初めて搭載されたのは、05年2月にニコンが発売したコンパクトデジカメ「COOLPIX 5900」。「世界で初めて人物の顔を検知してピントを合わせることができるデジカメ」として発売した。同社広報によると「コンパクトデジカメは人の顔を撮影する機会が多い。また一眼レフユーザーと違い、カメラに詳しくないユーザーも多い。顔をキレイに撮れたらいいのに、というユーザーの不満を解消するため」搭載したという。
では、人気が高まったのはいつぐらいか。今からちょうど1年前の06年11月第1週(11月6日-11月12日)の時点では、顔認識機能を搭載したモデルの販売台数シェアは21.2%。その後、徐々に普及したが、07年3月第3週(3月19-25日)の時点でも、シェアは3割程度だった。
しかし、4月を過ぎ、夏に向けて販売台数シェアは急激に伸び始め、07年6月第1週(6月4日-10日)で、初めてシェア5割を突破。その後、さらに加速を続け、直近の10月第5週では79.9%にまで拡大した。ニコンが「COOLPIX 5900」を発売してから、わずか約2年8か月で、市場で販売されているコンパクトデジカメの約8割が顔認識機能つきになったわけだ。
●激しい攻防戦が続くコンパクトデジカメ市場 抜け出すのはどこか?
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これまでのコンパクトデジカメ市場では、キヤノン1社が抜きん出て、他社は新製品を投入した時に急激をシェアを伸ばす、といった状態が続いていた。しかし07年春ごろからキヤノンが他社に押されて失速。夏ごろから極めて激しい混戦状態に突入している。さらに9月には、新モデルを投入した松下がトップシェアを獲得するなど、ますます混迷の色を深めている。
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