新Mac OS「Leopard」を一足先に体験、史上最大のアップデートの中身は?
Leopardには、実に300以上の新機能が追加されている。1時間ほどの説明会では、その中でもとくに特徴的なものを中心に紹介した。デモを担当したのは、同社の服部浩プロダクトマーケティング・ディレクターと櫻場浩プロダクトマネージャー。冒頭、まず服部氏が、スクリーン上で新しい機能について簡潔に紹介した。
Leopardでは、MacのMacたる由縁であるデスクトップや「Finder」(ファインダー)にも大きな変更が加えられている。その点でも、「これまでで、もっとも大きな Mac OS X のアップデート」だという。また、「Boot Camp」の正式版がようやく搭載されたことによって、Mac で Windows XP や Windows Vista を使うことが、より簡単になった。ちなみに、ベータ版「Boot Camp」のダウンロード数は、250万件を超えているそうだ。Macは、Windowsマシンとしても魅力的なPCといえるかもしれない。
今回、デモに使用されていたマシンは、24インチのiMac。これに Apple Cinema Display をつないでミラーリングし、同時に2つの画面に表示しながらデモを行ったが、その状態でも動作は軽快だった。相当に凝ったエフェクト効果が随所に施されているのだが、現行の「Mac OS X 10.4 Tiger」よりも動作はキビキビかつスムースな印象を受けた。
●深遠なる宇宙空間がLeopard のイメージ
新しいデスクトップピクチャは、宇宙空間をイメージしたもの。奥行き感があって、これが実に美しい。デスクトップ下部の「Dock」(ドック)では、アイコンの反射像まで描き出されている。この反射像は、「Finder」のカバーフロー表示など、至るところで目にすることができる。また「Finder」は、ファイルの種類や状態をより視覚的なアイコンで表示できるようになった。例えば、複数ページがあるファイルは、アイコンの左端がバインダーで綴じられたようになっている。
ソフト本体を立ち上げることなく、「Finder」上でファイルの内容を確認することもできる。これが「Quick Look」(クイックルック)という機能。アップル製ソフトや、JPEG、PDFなどはもちろんのこと、マイクロソフトの「Word」「Excel」にも対応しているので、例えば、「Word」を持っていなくても、「Quick Look」を使って文書の中身が確認できる。
●デスクトップ上を使いやすく整理できる
ともすれば、ファイルやフォルダ、開いたウィンドウで埋もれてしまうデスクトップ上を、使いやすく整理する機能も Leopard には新搭載されている。「Dock」には、デスクトップ上のファイルやフォルダをまとめて格納しておける「Stacks」(スタックス)という機能が搭載された。「Stacks」は、格納する項目数や環境設定によって、アイコンが扇形に並ぶ「ファン表示」や、タイル状に並ぶ「グリッド表示」かを選ぶことができるようになっている。
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「Spaces」(スペーシズ)は、目的に応じてデスクトップを切り替えて使える新機能。「Safari」(サファリ)と「Mail」(メール)でインターネットを使う画面、「iPhoto」(アイフォト)でデジカメ画像を扱う画面、「iTunes」(アイチューンズ)で音楽を聞く画面、仕事用の文書を開く画面など、目的に合わせた画面を使い分けることができる。
●メールやブラウザの使い方が変わるかも
「Mail」には、テンプレートから簡単におしゃれなHTMLメールをつくったり、RSSフィードを取り込んだりできる機能が搭載された。メール画面上でメモをとって、それを受信メールのように整理・保管できる機能も加わっている。そのメモから、To Doリストを設定することも可能なので、会議中にちょっとメモをとって、自分用の備忘録にしておく、といった使い方もできるようになった。
また、メール本文中に住所や電話番号があると、その情報を「アドレス帳」に新規メンバーとして登録したり、電話番だけをデスクトップいっぱいに拡大表示したりする機能も備わっている。受信したメールに記載されている電話番号を見ながら電話をかけなければいけないときなど、この拡大表示機能はかなり便利そうだ。またWebブラウザの「Safari」では、Webサイトの一部分を切り取って、「Dashboard(ダッシュボード)」のウィジェットを作成する機能が追加された。
●バックアップの概念を変える「Time Machine」
数ある新機能のなかで、もっとも注目されているのが「Time Machine」(タイムマシン)だろう。面倒な設定や手間をかけることなく、自動的にバックアップがとれる機能だ。「Time Machine」を利用する上で必要なのは、外付けのHDDだけ。あとはユーザーがまったく意識することなく、一定間隔で自動的にバックアップされていく。
注意が必要なのは、外付けのHDDが必要だということ。アップルが提供するサーバー製品は除き、LAN環境などネットワーク上にある既存のストレージはバックアップ先として利用することができない。ただ、外付けのHDDであれば容量は気にする必要はない。HDDの空きがなくなるとバックアップがとれなくなる、ということはなく、「Time Machine」は、もっとも古いバックアップ分を自動的に削除しながら、常に新しいものからHDDの容量分のバックアップを残していくようにできている。必要なファイルだけの差分バックアップなら、それほどHDD容量を必要としない。もちろん、Mac全体を丸ごとバックアップしたいのであれば、Macに内蔵するHDDと同容量以上の外付けHDDが必要ではあるが。
その他、デモでは「iChat(アイチャット)」の新機能も紹介された。これまでも、多彩なビデオチャットが可能だった「iChat」だが、Leopard では、ファイルの共有や「iChat」内でのファイルの表示、チャット相手のデスクトップを共有して遠隔操作することができるリモートデスクトップの機能なども披露された。
新機能盛りだくさんのOSだけに、Mac OS X 10.5 Leopard をインストールするには、Intelプロセッサ、またはPowerPC G5、G4(867MHz以上)を搭載したMacで、512MB以上の実装メモリ、DVDドライブ、9GB以上のHDD空き容量を必要とする。
●パッケージも大きく変化
デモを見た感じでは、多くの機能を同時に実行することになるので、実装メモリは多ければ多いほど良いのではないかと思う。可能なら、2GBは搭載しておきたい。また、CPUは、並列処理が可能な Intel Core 2 Duo のほうが、Leopard の魅力を存分に堪能できると思う。
なお、Leopard のパッケージは、これまでのMac OSで定番だった紙箱から、「iLife'08」や「iWork'08」のように、CDジャケットサイズのプラスチックケースに変更された。そのパッケージも、まさに宇宙空間を思わせるような凝ったデザインが施されている。店頭で確かめてみてほしい。(フリーライター・中村光宏)
アップルジャパン=http://www.apple.com/jp/
「Mac OS X」=http://www.apple.com/jp/macosx/
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