「工人舎」が大健闘し1位獲得、「小型ノートPC」メーカー別台数シェアで
できることならPCを持ち運びたいけれど、大きくてちょっと……とためらっている人向けに、ひとまわり小さなノートPCが売れている。画面サイズで12.1型が一般的なB5ノートよりも小さい、11.0型以下のモデルを「小型ノートPC」と分類し、「BCNランキング」で最新の売れ筋をピックアップした。
●いつでもどこでも持ち歩きたい! 軽さ、コンパクトさがウリの小型PC
スマートフォンの普及で携帯電話も高機能化し、かなりのことはケータイだけでできるようになってきた。しかし、外出先で「あ、ここにPCがあったらいいのに……」と思う機会は意外に多い。画面の大きさや入力のすばやさなどを考えると、PCの方が便利だ。特に地図の閲覧や写真の鑑賞、長文の文書作成なら、使い勝手に勝るのは断然ノートPC。とはいえ、大きくて重いノートは持ち運びが大変。そこで注目したいのが画面サイズが11型以下の小さくて軽い小型ノートだ。
PC本体が小さいため、難点はキーボードは小さく打ちにくいこと。しかし、個人差が大きいものの「慣れれば苦もなく打てるようになる」という人も多い。またほとんどドライブ類が装備されていないので、ソフトのインストールや、データのやり取りで工夫しなければならない場面も出てくる。このように、多少の不便さはあるが、持ち運びのしやすさはダントツ。また、タッチパネル搭載モデルは携帯型ゲーム機のように、直感的操作ができたり、手書き文字入力に対応し、PC初心者でも使いやすいモデルもある。
07年9月、12.9%で販売台数シェア1位を獲得したのは松下電器産業の「Let's note LIGHT R6」シリーズの「CF-R6AW1BJR」。ディスプレイサイズは10.4型で、重さは約940g。ピュアモバイルで「Let's note」というブランドはすっかり定着した感がある。
最大の特徴は、満員電車の中でも耐えられる堅牢性とキーボードに施した全面防滴加工。76cmの高さからの底面方向の落下試験や、100kgf加圧振動試験をパスする強度は、日常的に持ち歩く場面を想定した「実用の強さ」を求めた結果だ。標準バッテリで約7.5時間駆動する点も魅力の1つだろう。
おもなスペックは、Windows Vista Business、Core 2 Duo 超低電圧版U7500(1.06GHz)、1GBメモリ、HDD 80GBなど。なお、ドライブは非搭載。外付けのUSBバスパワー駆動ポータブルDVDドライブはオプションだ。
●折りたたんで使えるコンバーチブル型が人気! 手で持ちながら操作も
2位は富士通の「FMV-BIBLO LOOX U」のダイアモンドブラックモデル「FMVLU50XVB」で、シェアは12.6%。ディスプレイサイズは5.6型で、タッチパネル液晶を採用している。重さも599gも軽く、カバンに入れて持ち運びしやすい。
ディスプレイ部分が180度回転する「コンバーチブル型構造」を採用し、キーボード入力時はノートPC型、ペンタッチ操作を行う時はタブレットPC型として、利用シーンに合わせてスタイルを使い分けることができる。ワンセグチューナーを内蔵するほか、全14種25コンテンツの辞書ソフトを搭載し、電子辞書としても利用できる。
おもなスペックは、Windows Vista Home Premium、インテル A110(800MHz)、1GBメモリ、HDDは40GB。DVDドライブは非搭載で、標準バッテリの駆動時間は3.8時間ほど。
3位は工人舎の「SA1F00A」でシェアは6.8%。ディスプレイは7.0型のタッチパネルで、液晶画面が回転する「コンパーチブル型構造」を採用した。また、タブレットPCとしての利便性を高めるため、ディスプレイの左右に操作ボタンを装備。ディスプレイの右側、両手で持った時にちょうど親指がかかる位置にスクロール/マウスボタンを搭載した。
スペックは、Windows XP Home Edition、AMD Geode -LX800、512MBメモリ、40GB HDDなど。またワンセグチューナー、コンパクトフラッシュカードスロットのほか、SDHC対応SDカードなどが使用できる3in1メディアカードスロットなども備えた。重さは約960gで、標準バッテリは約5時間駆動する。
●11.0型以下の小型ノートPC市場は工人舎がトップ 人気の理由は……?
最後に、メーカー別シェアを見ていこう。販売台数シェア41.7%で1位を獲得したのは工人舎。04年に設立したばかりで、ほとんどのモデルが7型液晶を搭載する小型ノートというユニークなPCメーカーだ。その特殊なラインアップゆえの1位獲得ともいえるが、並み居る強豪を抑えてのトップシェア獲得は立派。「小型ノートPC」は、古くはIBMやCOMPAQをはじめ、多くのメーカーがチャレンジしては撤退していった難しい分野だけに、工人舎の健闘を称えたい。
続く2位は富士通で29.3%、3位は松下で25.3%という結果になった。一方、販売金額シェアランキングでは順位が入れ替わる。1位は松下で32.6%、2位は富士通で32.6%、3位は工人舎で31.3%と、僅差ながら逆転している。工人舎と松下の小型ノートPCの税別平均価格では、工人舎が10万円前後であるのに対し、Core 2 Duo搭載など、機能面を重視した松下製は17万円前後と価格に開きがあることが、こうした順位変動の要因だ。
小型ノートは持ち運びを重視したPC。A4サイズやB5サイズのモデルに比べ若干割高なものが多い。日常的に持ち運ぶつもりがないのなら、避けたほうがいいだろう。またスペック的な制約を考えると、グラフィック処理中心の用途やオンラインゲームなど重い処理にはあまり適さない。こうしたデメリットを考慮したうえでも、いつも「持ち歩きたい」という人のためのPCが小型ノートだ。
もちろん、ブログの更新やウェブサイトの閲覧、メールチェックのほか、一般的なビジネス用途なら、全く問題なく活用できるだろう。さらに、ワンセグ放送を見たり、手で持ちながら操作するのであれば、「コンバーチブル型」という選択肢もある。また、「直感的な操作ができるタッチパネルタイプを購入する中高年層が増えており、2台目用としての需要が高まっている」(工人舎・広報)とも聞く。バリバリのモバイルユーザー御用達といったイメージの強かった小型ノートだが、メーカーばかりでなく利用者層もかなり変わりつつあるようだ。(BCN・山下彰子/道越一郎)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など23社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。
●いつでもどこでも持ち歩きたい! 軽さ、コンパクトさがウリの小型PC
スマートフォンの普及で携帯電話も高機能化し、かなりのことはケータイだけでできるようになってきた。しかし、外出先で「あ、ここにPCがあったらいいのに……」と思う機会は意外に多い。画面の大きさや入力のすばやさなどを考えると、PCの方が便利だ。特に地図の閲覧や写真の鑑賞、長文の文書作成なら、使い勝手に勝るのは断然ノートPC。とはいえ、大きくて重いノートは持ち運びが大変。そこで注目したいのが画面サイズが11型以下の小さくて軽い小型ノートだ。
PC本体が小さいため、難点はキーボードは小さく打ちにくいこと。しかし、個人差が大きいものの「慣れれば苦もなく打てるようになる」という人も多い。またほとんどドライブ類が装備されていないので、ソフトのインストールや、データのやり取りで工夫しなければならない場面も出てくる。このように、多少の不便さはあるが、持ち運びのしやすさはダントツ。また、タッチパネル搭載モデルは携帯型ゲーム機のように、直感的操作ができたり、手書き文字入力に対応し、PC初心者でも使いやすいモデルもある。
07年9月、12.9%で販売台数シェア1位を獲得したのは松下電器産業の「Let's note LIGHT R6」シリーズの「CF-R6AW1BJR」。ディスプレイサイズは10.4型で、重さは約940g。ピュアモバイルで「Let's note」というブランドはすっかり定着した感がある。
最大の特徴は、満員電車の中でも耐えられる堅牢性とキーボードに施した全面防滴加工。76cmの高さからの底面方向の落下試験や、100kgf加圧振動試験をパスする強度は、日常的に持ち歩く場面を想定した「実用の強さ」を求めた結果だ。標準バッテリで約7.5時間駆動する点も魅力の1つだろう。
おもなスペックは、Windows Vista Business、Core 2 Duo 超低電圧版U7500(1.06GHz)、1GBメモリ、HDD 80GBなど。なお、ドライブは非搭載。外付けのUSBバスパワー駆動ポータブルDVDドライブはオプションだ。
●折りたたんで使えるコンバーチブル型が人気! 手で持ちながら操作も
2位は富士通の「FMV-BIBLO LOOX U」のダイアモンドブラックモデル「FMVLU50XVB」で、シェアは12.6%。ディスプレイサイズは5.6型で、タッチパネル液晶を採用している。重さも599gも軽く、カバンに入れて持ち運びしやすい。
ディスプレイ部分が180度回転する「コンバーチブル型構造」を採用し、キーボード入力時はノートPC型、ペンタッチ操作を行う時はタブレットPC型として、利用シーンに合わせてスタイルを使い分けることができる。ワンセグチューナーを内蔵するほか、全14種25コンテンツの辞書ソフトを搭載し、電子辞書としても利用できる。
おもなスペックは、Windows Vista Home Premium、インテル A110(800MHz)、1GBメモリ、HDDは40GB。DVDドライブは非搭載で、標準バッテリの駆動時間は3.8時間ほど。
3位は工人舎の「SA1F00A」でシェアは6.8%。ディスプレイは7.0型のタッチパネルで、液晶画面が回転する「コンパーチブル型構造」を採用した。また、タブレットPCとしての利便性を高めるため、ディスプレイの左右に操作ボタンを装備。ディスプレイの右側、両手で持った時にちょうど親指がかかる位置にスクロール/マウスボタンを搭載した。
スペックは、Windows XP Home Edition、AMD Geode -LX800、512MBメモリ、40GB HDDなど。またワンセグチューナー、コンパクトフラッシュカードスロットのほか、SDHC対応SDカードなどが使用できる3in1メディアカードスロットなども備えた。重さは約960gで、標準バッテリは約5時間駆動する。
●11.0型以下の小型ノートPC市場は工人舎がトップ 人気の理由は……?
最後に、メーカー別シェアを見ていこう。販売台数シェア41.7%で1位を獲得したのは工人舎。04年に設立したばかりで、ほとんどのモデルが7型液晶を搭載する小型ノートというユニークなPCメーカーだ。その特殊なラインアップゆえの1位獲得ともいえるが、並み居る強豪を抑えてのトップシェア獲得は立派。「小型ノートPC」は、古くはIBMやCOMPAQをはじめ、多くのメーカーがチャレンジしては撤退していった難しい分野だけに、工人舎の健闘を称えたい。
続く2位は富士通で29.3%、3位は松下で25.3%という結果になった。一方、販売金額シェアランキングでは順位が入れ替わる。1位は松下で32.6%、2位は富士通で32.6%、3位は工人舎で31.3%と、僅差ながら逆転している。工人舎と松下の小型ノートPCの税別平均価格では、工人舎が10万円前後であるのに対し、Core 2 Duo搭載など、機能面を重視した松下製は17万円前後と価格に開きがあることが、こうした順位変動の要因だ。
小型ノートは持ち運びを重視したPC。A4サイズやB5サイズのモデルに比べ若干割高なものが多い。日常的に持ち運ぶつもりがないのなら、避けたほうがいいだろう。またスペック的な制約を考えると、グラフィック処理中心の用途やオンラインゲームなど重い処理にはあまり適さない。こうしたデメリットを考慮したうえでも、いつも「持ち歩きたい」という人のためのPCが小型ノートだ。
もちろん、ブログの更新やウェブサイトの閲覧、メールチェックのほか、一般的なビジネス用途なら、全く問題なく活用できるだろう。さらに、ワンセグ放送を見たり、手で持ちながら操作するのであれば、「コンバーチブル型」という選択肢もある。また、「直感的な操作ができるタッチパネルタイプを購入する中高年層が増えており、2台目用としての需要が高まっている」(工人舎・広報)とも聞く。バリバリのモバイルユーザー御用達といったイメージの強かった小型ノートだが、メーカーばかりでなく利用者層もかなり変わりつつあるようだ。(BCN・山下彰子/道越一郎)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など23社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。