日本レコード協会、日本の楽曲の普及状況について報告会、今後は中国に力点
●台湾、韓国、香港で日本の楽曲が人気、中国に期待し認証手続きを簡素化
まず冒頭に、日本レコード協会の田辺攻専務理事が概況報告を行った。このなかで、「台湾、韓国、香港」順で日本の楽曲が売れているとしてそれぞれの傾向についても言及。新たに楽曲を販売する権利(新規ライセンス)を得たCDなどの06年出荷数量では、台湾が76万9000枚で前年比71%、韓国が35万枚で同79%と下降気味だが、一方香港は18万枚で同123%と伸びている実態を示した。
田辺専務理事は、その潜在力に注目して「今後力を入れていきたい国は中国」と語る。ただし、中国で日本の楽曲を販売するためには、第三者機関による「検閲制度」「権利認証制度」が必要。この2つの手続きに時間がかかるため、コンテンツ普及の妨げとなっているという。そこで、07年4月に日本レコード協会が認証機関として正式に業務を開始。権利認証制度を簡素化し、認証取得時間を大幅に短縮した。一般的に中国では日本の楽曲の海賊版が多いといわれているが、その要因として、正規版の発売が少ないことと、日中間の発売日に大きな開きがあることを指摘。今後は、権利認証制度に加え、検閲時間の短縮にも取り組むことで、海賊版の拡散も抑えでいく考えを明らかにした。
●ソニー、中孝介を中華圏で先行デビュー、中国の人気歌手・韓雪とコラボも
続いて、アジアで活躍する日本のアーティストの状況について、ポニーキャニオンやエイベックス・グループ・ホールディングスなどが事例を発表した。ソニー・ミュージックエンタテインメントでは、日本より先に台湾、香港、中国でデビューした鹿児島県・奄美大島出身のアーティスト・中孝介を紹介。06年11月に中華圏先行アルバム「触道心弦」をリリースしたほか、07年8月には、07年「日中文化・スポーツ交流年」のテーマソング「言葉はいらない」を、中国の人気女優兼歌手の韓雪(ハンシュエ)と共同で初披露。9月の日中国交35周年イベントにも出演するなど、アジアに軸足を置いた活動の模様をレポートした。
このほか、アジア各地でライブ活動などを行っているアーティストとしてYUIやSOUL'd OUT、ラルク アン シエル、小松亮太の事例も紹介。同社の田中章国際グループインターナショナル・マーケティング部長は、日本の音楽コンテンツがアジアで普及するためには、「映画、テレビ、アニメと連携して展開する」「その国にはない幅広い音楽を提供する」「ライブでアーティストのパワーを直接見せる」といった方法が必要、と述べた。
なお、音楽産業・文化振興財団は、「JAPAN国際コンテンツフェスティバル(CoFesta)」のオフィシャルイベントとして、「第4回東京アジア・ミュージックマーケット(TAM)」を10月15-19日に開催。一般向けでは、アジア各地のアーティストのショーケースライブに加え、音楽関係者向けのアジアの音楽市場に関するビジネスセミナーと商談会も実施する。
ショーケースライブは16-18日分の受け付けは既に締め切ったが、19日のみ有料で受付中。料金はワンドリンク付きの立ち見で2000円。ぴあ、ローソン、e+(イープラス)のいずれかで購入する。主な会場はウェスティンホテル東京、恵比寿ガーデンホール、恵比寿ガーデンルームなど。
日本レコード協会=http://www.riaj.or.jp/
音楽産業・文化振興財団=http://www.promic.net/
第4回東京アジア・ミュージックマーケット=http://tamm.jp/
JAPAN国際コンテンツフェスティバル=http://www.cofesta.jp/
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