KDDI、米インテルなど6社、モバイルWiMAX事業会社に共同出資

ニュース

2007/09/18 21:50

 KDDI、米インテル、東日本旅客鉄道(JR東日本)、京セラ、大和証券グループ本社、三菱東京UFJ銀行の6社は9月18日、2.5GHz帯を利用した次世代の高速無線通信「モバイルWiMAX(ワイマックス)」の免許取得に向けた事業企画会社「ワイヤレスブロードバンド企画株式会社」に共同出資することで合意したと発表した。



 企画会社の資本金は8億5000万円。KDDIが32.8%、インテル キャピタルとJR東日本、京セラが17.65%、大和證券グループ本社が9.8%、三菱東京UFJ銀行は5%を出資する。社長にはKDDIの田中孝司・常務執行役員が就く。

 企画会社は、KDDIが8月29日に設立しており、今回の合意を受け、KDDIを除く5社が9月27日までに増資する形をとる。これにより、KDDIの出資比率を3分の1以下に抑え、総務省が既存の3G携帯電話会社が参入する場合の条件をクリアする。JR東日本は、同社が持つ駅・線路のインフラを利用し普及支援するほか、京セラ、大和証券グループ本社、三菱東京UFJ銀行は資金面で協力する。

 総務省へ免許申請は、企画会社が主体となって申請する。免許取得した場合、まずはノートPC向けにモバイルWiMAXの通信モジュールを提供することでサービスを開始する。その後、家電などにも展開する計画。KDDIがサービスを予定しているモバイルWiMAXは最大40Mbps(メガビット/秒)の高速通信が可能で、時速200km/hの高速移動時でも数Mbpsの通信が行えるという。

 自社サービスだけではなく、MVNO(仮想移動体通信事業)へのネットワークの貸し出しも積極的行い、利用を拡大していくほか、08年からモバイルWiMAXのサービス開始を予定している米スプリントネクステルと手を組み、国際ローミングサービスを展開することも視野に入れている。

 新会社の社長に就任する田中孝司氏は、「まずはモバイルPCへのWiMAX搭載を推進し、その後はネット機器や家電への対応も目指す。将来的には端末・サービスの拡大をはかり、社会インフラとしての地位も確立したい。この事業が国内の新たなワイヤレスブロードバンド事業を創出することに期待している」と意気込みを示した。

 2.5GHz帯について、総務省は2社に免許を割り当てる方針で、NTTドコモとアッカ・ネットワークスは共同での参入を発表。ソフトバンクモバイルとイー・アクセスも共同で免許取得を検討している。PHS事業者のウィルコムは次世代PHSでの単独参入を目指している。

 そのため、今後は免許取得の可能性が焦点となってくるが、この点についてKDDIの小野寺正社長は、「WiMAXフォーラムでの国際標準化への取り組み、米スプリントネクステルと強調して移動体での国際標準化への協調、日本の無線規格を世界標にした点と、06年に大阪で行った実証実験などの実績をアピールすることで、(総務省には)公平に審査してもらえる」と免許取得に自信を見せた。

KDDI=http://www.kddi.com/
インテル・コーポレーション=http://www.intel.com/
東日本旅客鉄道=http://www.jreast.co.jp/
京セラ=http://www.kyocera.co.jp/
大和証券グループ本社=http://www.daiwa.jp/
三菱東京UFJ銀行=http://www.bk.mufg.jp/


■関連記事
アッカとドコモ、モバイルWiMAXの事業者免許取得を目指し提携
イー・アクセス、ソフトバンクとWiMAX事業で提携、共同で実験などを開始へ
KDDI、2.5GHz帯次世代高速通信の免許取得で新会社設立も視野