IPA、受験者減少に歯止めを――情報処理技術者試験の抜本的改正案を発表
情報処理技術者試験は1969年にスタート。現在では合計14の試験を実施しているが、受験者数は02年度の80万3109人をピークに06年度では60万8210人まで減少している。こうした傾向に危機感を持った経済産業省は、06年10月に産業構造審議会情報サービス・ソフトウェア小委員会の中に人材育成ワーキンググループを設置。以来検討を加えてきたが、今年7月に「高度IT人材の育成を目指して」と題した報告書をまとめ、公表した。
この中で、高度IT人材の具体像(キャリアとスキル)の可視化、共有化が必要として、(1)目指すべき高度IT人材像を基本戦略系、ソリューション系、クリエーション系に区分し、必要なスキルを明確化、(2)人材キャリアを7段階に区分し、ミドルレベル(3段階)までは、情報処理技術者試験の合否によりレベルを判定する――などの方針を打ち出していた。
今回の新試験制度案はこれを踏まえたもので、(1)共通キャリア・スキルフレームワークのレベル1から3までは新試験の合否でレベルを判定、レベル4は新試験と業務経験で判定することにし、各人材スキル標準におけるレベル判定の尺度として用いる、(2)広く職業人一般に求められる基礎的な知識を問うエントリ試験「ITパスポート試験」を創設、(3)現行試験では分けているベンダー側試験とユーザ側試験を一体化――などを盛り込んだ。
新試験は、レベル1がエントリ試験(ITパスポート試験)、レベル2が基本情報技術者試験(FE)、レベル3が応用技術者試験(AI)になる。レベル4の高度試験はITストラテジスト試験(現行のベンダー向けのシステムアナリスト試験とユーザ向けの上級システムアドミニストレータ試験を統合、略称ST)、システムアーキテクト試験(SA)、プロジェクトマネージャ試験(PM)、ネットワークプロフェッショナル試験(NP)、データベースプロフェッショナル試験(DP)、組み込みプロフェッショナル試験(EP)、情報セキュリティプロフェッショナル試験(現行の情報セキュリティと情報セキュリティアドミニストレータ試験を統合、SP)、ITサービスマネージャ試験(SM)、システム監査プロフェッショナル試験(AP)の9試験。
新試験の実施時期は、「エントリ試験」を08年度秋期、その他は09年度春期からを予定している。
情報処理推進機構=http://www.ipa.go.jp/