キヤノン「40D」発売3日のスタートダッシュは? 始まった秋のデジ一眼決戦
●3日間で販売台数別シェア34.0%獲得、まずまずの滑り出し
「EOS 40D」は、キヤノンのデジタル一眼レフカメラの中で中級者向けに位置づけられるモデルだ。前モデルの「30D」では820万画素だった有効画素数は1010万画素に増え、画像処理能力が2倍に向上した映像エンジン「DIGIC III」を搭載。連写機能も秒5コマから6.5コマに高速化した。
「40D」は発売直前の26日の段階で「予約数だけでも発売当日の31日にお渡しできるかどうか分からない」(都内大手家電量販店)ほどの人気だった。そこで実際にどれくらいの立ち上がりを見せたかを、日次データで集計してみた。期間は発売日から9月2日までの土・日を含む3日間。まさに新発売時の瞬間風速だが、販売台数別シェア34.0%でランキング1位を獲得した。
前モデル「30D」は、発売直後の3日間でランキング1位は獲得したもののシェアは26.2%。「40D」はこの値を大きく上回っており、好調な立ち上がりだ。好スタートの理由は、前モデルの「30D」が、さらにその前のモデル「20D」から画素数や映像エンジン「DIGIC II」などを据え置いたマイナーチェンジモデルだった、ということにありそうだ。「30D」は買い控えたユーザーもフルモデルチェンジした「40D」の購入に走ったということだろう。
しかし、デジタル一眼レフの中で現在、圧倒的強さを維持しているのは「EOS KissデジタルX」。「40D」発売直後の3日間こそシェア20.6%で一時的に2位に後退しているが、いずれは定位置のトップの座に戻ると思われる。こうした状況で、「40D」がどこまで高いシェアを維持できるかが、今後予想されるデジタル一眼のシェア争奪戦で勝敗を分けることになりそうだ。
●キヤノンはシェア1位奪還なるか、熾烈を極めるシェア争奪戦始まる
昨年3月、キヤノンは「30D」発売を経て、48.1%のメーカー別シェアを獲得。前月までシェア1位を僅差で争っていたニコンに大差をつけてトップに立った。同年7月にはソニーのデジタル一眼レフ「α100」やペンタックス「K100D」の発売でメーカーシェアを33.3%にまで落とすが、キヤノンのシェア1位は揺るがなかった。9月にはエントリー向け一眼レフ「EOS KissデジタルX」発売で再びシェアを48.6%に回復し、11月まで9か月連続メーカー別シェア1位を獲得した。
しかし、06年9月にニコンが中級者向けデジタル一眼レフ「D80」、12月にエントリー向けデジタル一眼「D40」を発売し、ニコンが12月の月次メーカーシェア49.8%でキヤノンを抜いて1位を獲得した。さらに07年3月には有効画素数を610万画素から1020万画素にアップした「D40」の上位モデル「D40x」を発売して首位固め。その後も07年8月までニコンが首位をキープし続けている。
キヤノンは今回の「40D」の発売に加えて、11月下旬にデジタル一眼「EOS-1Ds Mark ?」も発売するが、あくまでもプロ向けフラグシップ機。より台数が出る「40D」がどこまでシェアを獲得できるかがメーカーシェア首位奪還のカギを握る。「40D」の発売直後3日間に限れば、ニコンの31.9%に対し、キヤノンは56.8%とメーカー別の販売台数シェアでキヤノンがトップを獲得したが、これをどの程度持続できるかが注目ポイントだ。ライバルのニコンは11月に中・上級者向け「D300」とプロ向けフラグシップ「D3」を発売。さらにソニーも間もなく新製品を発表する模様で、この秋のデジタル一眼は、メーカー間で熾烈なシェア争いが繰り広げられることになりそうだ。(BCN・岡本浩一)
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