売れ筋画素数で選ぶデジカメ、お買い得なら700万台、画質期待なら1000万超
●800万画素以上が全体の3割 1000万画素超は3万円台半ばで推移
コンパクトデジカメで、とくに今売れている画素数帯は700万画素台だ。2月第1週(2月5日-11日)-7月第4週(7月23日-29日)の画素数帯別販売台数シェア推移を算出してみたところ、3-5月では700万画素台のモデルが60%を超えており、6月以降は50%台に落ち着いているが依然としてダントツの状況。一方、「600万画素以上700万画素未満」のシェア下落が顕著で、2月第1週の30.9%から、7月第4週には11.3%まで落ち込んでいる。
より高画素の「800万画素以上1000万画素未満」「1000万画素以上」の製品は、緩やかな右肩上がりで伸びてきている。2月第1週の時点ではそれぞれ0.9%と10.7%だったが、7月第4週は18.1%と14.2%で、合わせて30%以上を占めるようになってきた。800万画素以上の高画素機の比率はじりじりと上昇している。
ここで、画素数帯別の平均価格の推移も見てみよう。「600万画素未満」では、2月の第1週には1万7000円台だったものが、7月の第4週では1万3000円台に下がった。「600万画素台」では2万5000円台から2万3000円台、「700万画素台」では3万1000円から2万6000円に下がっている。さらに、「800万画素以上1000万画素未満」で4万7000円から3万1000円に下落した。一方、「1000万画素以上」では緩やかで3万7000円台から3万4000円台と、平均価格は安定して推移しているといえそうだ。
●ソニーは800-1000万画素で5割などメーカーごとに画素数帯の強み
ところで、画素数帯別でメーカーの強弱はあるのだろうか。直近の7月、メーカー各社の販売台数シェアを画素数帯別にチェックしてみた。「600万画素未満」は、富士フイルムが38.8%で1位。次いで、日立リビングサプライが19%で2位、KFE JAPANが14.9%で3位。「600万画素台」では、富士フイルムが1位で、シェア58.2%。2位は松下で15.1%、3位は三洋電機で11%という構図だ。700万画素未満のレンジでは、富士フイルムが強い。
また「700万画素台」は、1位が松下で20.9%。以下、キヤノン、オリンパス、ニコンの3社が10%台で争っている。ボリュームゾーンの画素数帯だけにメーカー間の競争も激しい。「800万画素以上1000万画素未満」は、ソニーが49.4%で1位と圧倒的なシェアをもつ。続いて、キヤノンと富士フイルムが20%台で後を追う状況。メーカーごとに力を入れている画素数帯が異なることがわかる。
●1000万画素以上はカシオが一人勝ち、シリーズ別でも5割以上を獲得
さて、高画素数競争を再燃させた「1000万画素以上」の画素数帯については、少し詳しく見ていこう。まず、メーカー別の推移を見ると、5月第2週(5月7日-13日)-7月第4週(7月23日-29日)の間に40-50%で推移しているカシオ計算機が、2位の松下電器産業を大きく引き離して1位。5月の時点では、キヤノンが20%台前半の2位につけていたが、6月中旬に松下が急劇にシェアを伸ばして逆転。その後、松下は20%台をキープしている。
3位以下は、ソニー、キヤノン、ニコンの順。いずれも6月下旬以降一桁台で推移している。カシオが1000万画素以上の製品に力を入れている一方、他のメーカーは画素数帯が分散していることもあり、1000万画素以上ではカシオが主導権を握っているといえそうだ。
最後に、7月第4週で、1000万画素以上のコンパクトデジカメ売れ筋トップ10をチェックしてみよう。なおカラーバリエーションは合算して集計。画素数のうちわけは、1200万画素台が3モデル、1000万画素台が7モデル。2強のカシオと松下はそれぞれ2モデル、3モデルがランクインした。1、2位はいずれもカシオで合わせて54.3%と過半数を占めた。
●「ノイズ抑制」「広角」「顔検出」など撮影機能で差異化
1位は28.7%でカシオの「EXILIM(エクシリム)EX-Z1050」。画像処理プロセッサー「EXILIMエンジン2.0」で、見た目に近い明るさを再現し、肌や青空などで発生しやすいノイズを抑えて滑らかに撮影できるのが特徴。被写体の動きに合わせてピントを合わせる「自動追尾AF」や、1秒に約7コマ撮影する高速連写機能も備える。有効1010万画素CCDと35ミリフィルムカメラ換算で約38-114mmの光学3倍ズームレンズを搭載。カラーはシルバー、ピンク、ブルー、ゴールド、ブラック。2位もカシオで、さらに高画素競争を仕掛ける1210万画素の「EXILIM EX-Z1200」が25.6%のシェアを獲得した。CCDシフト方式の手ブレ補正機能や顔認識機能を搭載したのが大きな特徴だ。色はブラックとシルバー。
3位は松下の「LUMIX(ルミックス)DMC-FX100」で19.7%。広角28mmのライカ製レンズを採用し遠近感のある画角で撮影できるのが特徴。1秒間に8コマ撮影できる高速連写モード、被写体ブレ・手ブレを抑える機能なども搭載した。撮像素子は有効1220万画素CCDで、レンズは35ミリフィルムカメラ換算で28-100mmの光学3.6倍ズーム。カラーはミラージュゴールド、ブレードシルバー、エスプリブラック。
4位はソニーの「Cyber-shot(サイバーショット)DSC-W200」で9.1%。最大8人の人物の顔をすばやく検出する機能「顔キメ」で、肌の色や明るさなどを自動で調節して写すのが特徴。「ハイビジョン静止画出力」に対応し、別売りのアクセサリーで薄型テレビと接続すれば、大画面で写真が楽しめる。有効1210万画素CCDと35ミリフィルムカメラ換算で35-105mmの光学3倍ズームレンズを搭載。光学式ビューファインダーも備える。カラーはシルバー。
なお、同じ7月第4週で、コンパクトデジタルカメラ全体のシリーズ別販売台数シェアトップ10では、1000万画素以上はカシオの上記2モデルが6位と8位にランクインした。高画質の写真を撮るうえで、必ずしも画素数が多ければ多いほどいい、というわけではない。しかし、ノイズの発生などの技術的な問題が解決すれば、画素数の多さが画質に結びつくのもまた事実。多機能化するデジカメ市場では、もはや画素数で選ぶ時代でもないという声も聞かれるものの、全体的に徐々に高画素モデルへと移行している現状もある。
とすれば、とりあえずコンパクトデジカメを手に入れたいなら比較的お買い得の700万画素台のモデルを、コンパクトでも高画質を楽しみたいなら1000万画素以上のモデルを、といった選び方もあっていいだろう。(BCN・井上真希子)
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