オムロン、大理石や紙もスイッチにできる次世代タッチセンサー
指などが触れた際に起こる、わずかな電流の変化を検知してスイッチを切り替えるしくみ。平面でも立体でも自由な部分をスイッチにできるうえ、スイッチ部分に大理石、革、木、和紙など非伝導性の素材を自由に選択できるのが特徴。既に、日立アプライアンスのIHクッキングヒーター「HT-B10TWFS」が採用を予定している。
これまでの「静電容量式タッチセンサ」を使ったスイッチは、湿度や温度などの変化で誤作動が生じやすいため設計が難しく、開発に時間やコストがかさんでいた。新製品では、環境の変化に応じて感度を調整する「自動補正機能」を搭載するなどでこうした課題を解決した。
製品は専用ICと開発ツールで構成。ICは、タッチに反応する感度の調節が可能で、IC機能のカスタマイズなども行う。開発ツールは、専用ソフトや簡易検証用評価ボード、通信ケーブルなどをセットにしたもの。ソフトを導入したパソコンと評価ボードを接続して、電極やパネルの厚さなどを調節、シミュレーションしながらセンサーの設定を行う。
タッチセンサーは、触れるだけでスイッチが入るため、スイッチの状態や操作時の感触ではオン・オフがわかりにくい。そこで、「パチパチ」と切り替える普通のスイッチの操作感を音や光を発して再現することで、タッチセンサーの使いやすさを高める研究も、立命館大学と進めている。そのほか、タッチセンサーと音声ガイダンスを組み合わせて駅の券売機に導入し、「数字ボタンです」などボタンの名称を1つひとつ読み上げる機能など、視覚障害者でも健常者でも同じように使いやすいユニバーサルデザインへの応用も検討している。
オムロン エレクトロニクスコンポーネンツビジネスカンパニー スイッチ事業部操作スイッチ商品部の田部能浩タッチセンサ事業企画主事は、「(同センサーを導入することで)先進的なデザインが可能」とタッチセンサーの魅力を語った。
同社は05年10月に4ch/8ch対応のタッチセンサーを初めて発売。システムキッチンやDJプレーヤー、携帯電話、液晶テレビ、玩具ロボットなどのメーカーが採用してきた。07年度で同センサーのシリーズ全体で3億円の売り上げを見込んでいる。
オムロン=http://www.omron.co.jp/