カシオとドコモ、中小店舗向け電子決済・店舗支援サービスで新会社
カシオ計算機とNTTドコモは7月3日、電子決済サービスの新会社「CXDネクスト」を7月9日に設立すると発表した。資本金は7億5000万円。ドコモの携帯電話決済用システム「iD」など電子決済サービスを提供し、売り上げ集計や分析などの支援サービスも行うもので、個人商店や5店舗程度までの中小売り・サービス業を対象とする。
出資比率はカシオが60%、ドコモが40%。社長にはカシオの尾平泰一・開発本部システム統轄部第一開発部事業開発室室長が就く。従業員は20名で、9月1日に営業を開始する。今後5年で、「新規事業の立ち上げでは社内で了解となっている年商100億」(樫尾常務)を目指す。
電子決済サービスでは「iD」やクレジットカードの売り上げ処理や請求・精算業務の代行サービスを提供。「iD」の決済ではドコモのデータセンターを利用する。また店舗支援サービスでは、売り上げデータを30分ごとに自動集計し、帳票やグラフに加工して専用ウェブサイト上に表示。さらに、売り上げ速報や業務連絡を携帯電話へ配信する機能も提供する。このほか、レシートに独自のプロモーションメッセージ印字するサービスも行う。料金は未定。従来のPOSを使った同様のサービスでは、初期投資を含めた初年度の投資額は約50万円程度になるが、新サービスでは5-10分の1程度の投資額になる見通し。
新会社の設立に合わせ、カシオではサービスに対応しインターネットに直接接続できる電子レジスターを8月1日に発売。「IT化を望むができない中小店舗の悩みを解決」(樫尾彰・カシオ計算機常務)することで、約200万店といわれる中小小売りやサービス業を開拓する。
ラインアップは、ストロークキーを採用した小売りやサービス業向けの「TE-2500」、タッチキーを採用した飲食店向けの「TK-2500」の2機種。いずれも売り上げ処理がレジ上の操作で完了するため、二度打ちが不要。さらに本体にはLANポートを備え、一般のADSLや光ファイバーと接続すれば自動的にCXDネクストのデータセンターに接続するしくみになっている。
またVPN(仮想私設網)機能も内蔵し、セキュリティにも配慮した。サイズは幅330×奥行き360×高さ240mmで、カラーはホワイトとブラックの2色。価格はオープンで、実勢価格は「TE-2500」が7万円前後、「TK-2500」は8万円前後の見込み。「iD」のクレジットカードや対応するおサイフケータイの読み取りには専用端末「KT-10」が別途必要。
発表会で樫尾常務は「電子決済がいろいろとある中で、今後どれがメジャーになるかを判断した結果、『iD』が一番事業的にメリットがあると判断した」とドコモと手を組んだ理由について述べた。一方、NTTドコモの夏野剛・執行役員は「電子決済、おサイフケータイは(個人利用から法人利用への)次のフェーズに入った。(iDが)中小小売業のインフラになり、流通業のIT革命を起こす」と自信を見せた。