2台目狙いのカラバリモデルが人気、売れ筋に見る液晶テレビの選択ポイント

特集

2007/06/28 02:26

 リビングから個室へと、すでに「2台目」需要の時代に入ったと言われている液晶テレビ。この春は、新生活需要も後押しして20V型台の小ぶりのモデルが売り上げを大きく伸ばした。一番の売れ筋はやはり30V型台のモデルだが、最近では2台目以降もこのクラス、という声も聞かれはじめている。さらに、サイズや画質に加え「リンク機能」や「本体の色」「動画表示性能」など、チェックポイントが増えてきた。「BCNランキング」で売れ筋を探りながら、液晶テレビ選びのポイントをまとめた。<br />


 リビングから個室へと、すでに「2台目」需要の時代に入ったと言われている液晶テレビ。この春は、新生活需要も後押しして20V型台の小ぶりのモデルが売り上げを大きく伸ばした。一番の売れ筋はやはり30V型台のモデルだが、最近では2台目以降もこのクラス、という声も聞かれはじめている。さらに、サイズや画質に加え「リンク機能」や「本体の色」「動画表示性能」など、チェックポイントが増えてきた。「BCNランキング」で売れ筋を探りながら、液晶テレビ選びのポイントをまとめた。

●売れ筋サイズと購入のチェックポイントは?

 このところ、液晶テレビの売れ筋サイズは32V型や37V型といった30V型台のモデル。06年12月-07年5月の「BCNランキング」で販売台数シェアを集計してみると、一番売れているこのクラスは、年末商戦真っ盛りの06年12月で50.1%と過半数を占めた。しかし、07年3月には一人暮らしをはじめる人たちも増える新生活需要などから20V型台の伸びに押されて36.7%まで後退。5月は48.7%まで盛り返してきた。こうしてみると、季節変動はあるが、全体のおよそ半数が30V型台のモデル、と言えそうだ。一方、さらに大型モデルの販売台数シェア推移を見ると、40V型以上50V型未満は10%前後でほぼ横ばい、50V型以上も1%前後で推移している。


 メーカー別でみると、液晶テレビ市場全体のほぼ半数近いシェアを占める勢いのシャープがトップ。2位のソニーはしばらく20%台を維持していたが直近の5月には19.4%と20%台を割り込んだ。3位は松下電器産業。10台%で推移している。注目メーカーは東芝で、なかなか超えられなかった10%の壁を5月に突破し11.3%を記録。12.2%の松下を追い抜きそうな勢いだ。


 ところで、最近よく目にするようになった「標準HD」と「フルHD」。液晶テレビの選択ポイントとしてチェックしておきたい。HD(ハイビジョン)と一口に言ってもさまざまな画素数のものがあるが、電子情報技術産業協会(JEITA)では、「HD」の画素数を垂直方向で650以上と定めており、一般に水平1024×垂直768画素以上であれば「HD」と分類される。中でも、HD規格で最も画素数が多い水平1920×垂直1080画素のモデルを「フルHD」「フルスペックハイビジョン」などと呼び、それ以下を「標準HD」などとして区別している。必ずしも画素数が多ければ画面が美しいとは限らないが、基本的には「フルHD」のほうがキレイな画面が期待できる。

 また、動画を滑らかに表示する「倍速表示」という技術もある。通常、液晶テレビはプラズマテレビと比べて動きの早い映像を表示するのが苦手で、残像が出やすいと言われる。しかし、「倍速表示」では、例えば、通常1秒間に60コマで構成される映像に新たに60コマを加えて表示することで、残像を抑えるなどで「動画表示性能」を向上させる。メーカーごとに名称が異なり、シャープでは「倍速フルHD液晶技術」、日立製作所では「倍速120コマ」、ビクターでは「フルハイビジョン倍速液晶ドライバー」などと呼んでいる。スポーツ観戦などが多いなら、こうした技術が使われているかどうか、購入前に確認しておきたいところだ。

 HDD-DVDレコーダーを設置する場所がない、または番組の視聴・録画をテレビ1台で行いたい、といった場合は、テレビ本体で録画できるHDD内蔵型テレビもある。最近では、東芝が外付けHDDを交換できるタイプを発売。日立もリムーバブルHDD規格「iVDR」を採用し、HDDそのものをビデオテープのように抜き差しできるタイプを売り出すなど、選択の幅も広がってきた。


●HDMI端子は2個が主流に、シャープと松下の「リンク機能」搭載率は5割

 HDMI端子の有無や個数も他の機器との接続を考えると重要な要素だ。テレビ側にHDMI入力端子があれば、画質を落とさずにHDD-DVDレコーダーやゲーム機、デジタルビデオカメラなどの映像を表示できる。しかし、複数の機器を同時につなぐには、それだけの数の端子が必要になってくる。

 06年12月-07年5月のHDMI端子搭載数別の販売台数シェア推移を見ると、2月までは「1個」が40%前後で推移してトップだったが、「2個」が3月には47.1%と1個を追い抜き、5月の時点では68.2%と液晶テレビの7割近くがHDMI端子を2個搭載するようになった。「0個」は1月の21.4%から下降を続け、5月には6.6%と、極めて少数派になった。一方、「3個」はシェアは少ないものの徐々に伸びており、1月に2.5%だったのが、5月では6.6%に拡大している。


 そのほか、操作性に関するポイントは「リンク機能」。HDMI規格のコントロール機能を使い、同一メーカーの薄型テレビとHDD-DVDレコーダーを接続して、リモコン1つでテレビとレコーダーを操作できるのが特徴だ。

 現在、こうしたリンク機能を採用するメーカーは、シャープ(AQUOSファミリンク)と松下(ビエラリンク)。06年12月-07年5月のリンク機能搭載モデルの販売台数シェア推移を見ると、1月はリンク機能「なし」が82.6%、「あり」が17.4%だったが、5月には「あり」が54%で、46%の「なし」を追い越した。リンク機能は今後、さらに広がりそうだ。


●カラバリありのモデルが1位に、フルHD対応は2モデル

 では実際に、5月の売れ筋ランキングを見てみよう。カラーバリエーションを合算したシリーズ別販売台数シェアトップ10を見ると、10モデル中5モデルが32V型。そのほかの内訳は、20V型が2モデル、26V型が1モデル、37V型が1モデル、40V型が1モデルだった。

 「リンク機能」は5モデルが対応。HDMI端子の搭載数は「2個」が8モデル、「1個」が2モデルだった。水平1920×垂直1080画素のフルHD対応モデルは、7位と9位にランクインした。


 1位はシャープのAQUOS(アクオス)「LC-32D10」が獲得した。07年3月発売の2台目需要を狙う「Dシリーズ」の32V型モデルだ。シェアは9.6%。黒や銀といった1色のみのモデルが多い中、ブラック、ホワイト、レッドのカラーバリエーションを展開するのが特徴。水平1366×垂直768画素の標準HD画質で、コントラスト比は1500:1。応答速度が6msec(ミリ秒)のブラックASV液晶パネルを搭載した。光の3原色「青・緑・赤」に「深紅」を取り入れた4波長バックライトを備え、深みのある赤や透明感のある肌色を再現する。1つのリモコンでテレビとレコーダーを操作できる機能「AQUOSファミリンク」を搭載。HDMI端子は2個。


 このほか、カラーバリエーションを展開する「Dシリーズ」は、20V型「LC-20D10」が2位、26V型「LC-26D10」が4位にランクインした。「液晶のシャープ」が放つ「AQUOS」ブランドの強さもさることながら、まだ珍しさがあるカラーバリエーション展開もシェア獲得に貢献していると見てよさそうだ。

 5位はソニーのBRAVIA(ブラビア)「KDL-32V2500」でシェア4%。06年11月発売の32V型、水平1366×垂直768画素の標準HDモデル。光の3原色「青・緑・赤」をバランスよく再現する広域バックライトシステム「ライブカラークリエーション」を搭載し高画質回路「ブラビアエンジン」の採用で、ノイズの少ない高精細な画像を映し出すのが特徴。左右15度まで画面の向きも調節できる。HDMI端子は2個。

 8位は東芝のREGZA(レグザ)「32C3000」でシェア3%。07年4月発売の32V型モデルで、植物や水、人の肌などの質感を自然に近い状態で表現する映像エンジン「新メタブレイン・プロ」を搭載した。オンキヨー製「ジェットスリットスピーカー」を搭載し、切れのよい引き締まった音質を再現する。HDMI端子は2個。解像度は水平1366×垂直768画素の標準HD。

 液晶テレビは、画面サイズや画質に加え、HDMI端子やリンク機能、さらにカラーバリエーションなど、選択のポイントが徐々に増えてきた。単に大きさと画面の美しさだけで選ぶのではなく、接続する機器や数、主に楽しむコンテンツやインテリアまで考慮した上で、自分にぴったりの1台を選びたい。(WebBCNランキング編集部・井上真希子)


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